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奇跡的に予定になかった連休が取れた!!!!しぬ!!!!→そして関西へ行ってきた


道のない城跡で「起」をタイトルに任せたまま置き去りにしてしまった 矢印が見えるなら旅のエッセイに帰れ そして再び砂原を訪れて、土産に好きなタイトルの話でもしてほしい 私は私で全国を巡る動機が必要だ 今回の動機はこういったところ→天守閣を描いたから、百聞は一見に如かずになるか試しましょう


物を買うのが苦手だった だから一人暮らしを始めてみたら全然家具が揃わなかった 炊飯器は床に直置き、テーブルは段ボール、寝床はお情けでいただいたマットレス 骨のような部屋である 本は迷わず買えた 本とは読む以外の役割を持ちようがないと思えた 本というもののこの……単純さというのか……独立したところが私を惑わさなかった ランナーが通り過ぎる ランナーとは見たまま人である 混沌である 信用とはかけ離れた存在である それはランナーをただの人と見た場合だが、走る姿は別格だ ランナーとは走る人である 純粋である より速く走ることを求める風である 人というのは色々できすぎるから迷うのだ 爪が伸びたら爪切りがある 素晴らしい 爪を切る以外にできることはない 他に手軽な体験としたら、おニューのパンプスを履くことをおすすめする 私のパンプスは3センチほどのヒール、大した高さではないが足幅に問題があるのか歩けば歩くほど痛くなる 遠出をする前に履き慣らすのが通例だが、こいつは特別痛かった 頭の中が痛い、痛い、しぬ、むり、痛い、しかない こんな痛みに意味があるとしたら可愛いを体現するため以外にあるか!? 殺伐とした内情を通行人は知る由もない、もちろん知ったことではない 私は歩く無限パンプス地獄女である 意外に美しいウォーキングである 歩行が痛覚によってより純粋に研ぎ澄まされたものになる 拷問ってこれを引き出すためのものかなー 時に、人には足に合わないパンプスを履く時間が必要だろう


……白亜の城で右に左に回っていたら思考の網目が狂ってしまった 右に左に登るなら逆さに解いて左に右にと帰り道がある……


魔界の入口の案内板
足に合わないパンプスではなく、兜を被るものをなんと呼ぶ?
→それは動機→それは意味→それはもはや人ではない


ルイス・フロイス曰く 彼らは武装具を着ける時、生まれたままの姿になる
バリアフリーの対極にあるイロハの城で固く結ばれた鞘を見る 五重の要塞 万の刃文が螺旋を巡るその渦中、戦火で研がれる白波に誘われて天を泳く鯉一匹 沈む
ルイス・フロイス曰く 真中には、彼らが天守(ママ)と呼ぶ一種の塔があり……
はらりと舞う天竺 鮮血 恐るべき魔の主!

暗転

パチッ(電気がつく)お風呂に入ると完全に洗いという作業をする時間だからあれこれ考えすぎる 考えすぎてどこまで洗ったのかわからなくなるのでコンディショナーは勘でつけている 迷走したなりに道筋はしっかり見えていたはずなのに、不思議なことにお風呂から出た瞬間に入口すら忘れてしまう あれってお風呂で一度死んだのかもう一度産まれたのか 並べたわりに全然違う 産まれたとしたら、一体私はどこを通ってきたんだ なんかシャンプーを2回プッシュした気がする コンディショナーをつけてない気がする お風呂を出てからやり直すやつはいない パチッ(電気が消える)


薄く光る衣 徐々に純白に身体が馴染んでいく 世界観が出来上がりすぎていて私って恐怖の女神様だわ、と心から錯覚させられてしまう 恐怖の女神様って例えば……魔女……魔人……魔性……魔界の女 ガラスに囲われた城のレプリカを眺める 削がれた山さえなんて美しいんだろう 女神様は人を恨むけれど、私もレプリカだもの もっと近く もっと遠く 山の峰 泉を棲家とする龍神の目となる 天から見下ろし、破風やエノキに気まぐれに腰掛けて悪戯小僧を竦ませる それは鯱鉾かもしれなかった 枝木かもしれなかった ふわりと瓦から躍り出る 澄んだ水を伝い外輪の藻屑、内輪の鯉に紛れて覗く人の営みというもの たった一つの美しさのために全てを許したい 危ういバランスで全てをなぎ倒したい 女神様のお心は「足に合わないパンプス」みたい これは 誰の 心だっけ…… 庭でカロンと石橋を鳴らす 水面に映る白亜の城 合わせ鏡は月光


天守さま あなたはシンボル あるべき場所から動けない


合わせ鏡に白刃を差し出す イロハの城に結ばれた元の鞘を探している 胸に抱いた血みどろの兜は人の主の面影がある 


兜を被るものは魔の主 魔道のもの 死んでも終わらない夢を見る 兜を被るものは人の主 惑うもの あなたから産まれ、あるべき場所を与えられる


筒になるのは五重の要塞 万華鏡を回す 右回り 左回り 右回り


……遠くで風の歌が聞こえる 懐かしい本をめくる音が聞こえる 迷わないように 見失わないように……


時に、心は一塊に留まることはない 時に、心は一界に留まることはない
→私って恐怖の女神様だわ
→水面に映るのは百合だわ

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