ペラグラ

ペラグラについて

過去の薬剤師国試勉強用メモよりペラグラについて。

ただ国試的には病名と何が原因で起こるかくらい覚えておいたら十分な気がします。
例によって、国試勉強中には時間がなくて深堀りできなかった分を自分の気の済むまで調べてみます。

ペラグラとは何か?

ペラグラとは、顕著な慢性消耗性障害で、重度のナイアシン(ビタミンB3)欠乏症の末期段階である。

つまり、ナイアシン(ビタミンB3)不足による病気

古典的なペラグラの三徴候は、皮膚炎、下痢、痴呆であるが、近年ではこれらの三徴候全てがそろう症例は少ない。

日光に露出される皮膚に、灼熱感と強い掻痒を伴う光線過敏性皮膚炎を生じて赤褐色紅斑、水疱やびらんを生じる。急性期には触れると痛む傾向がある。ペラグラを治療しないと、多臓器不全により死に至る。

以上のことから結構重そうな症状だとわかります。


ペラグラ(pellagra)は、イタリア語で皮膚(pella)と荒い(agra)を意味する。ペラグラの臨床的特徴は3D’s(dermatitis, diarrhea, dementia)といわれるように、皮膚炎、下痢、認知症がみられる。これらに death を加え4D’s と呼ぶこともある。ペラグラは、依然、発展途上国において重大な健康問題であり、先進国においても薬物依存症やアルコール依存症患者を中心にみられる。

ペラグラは、かつて先進国で流行した疾患で、18世紀に貧困や栄養的に乏しいトウモロコシ中心の食事と関連づけられた。

1940年代および1950年代の生物化学の知識拡大に伴い、ペラグラはナイアシンやその前駆体アミノ酸であるトリプトファンの欠乏症として再認識された。

以下、参考。

なぜこのような病気が生じるのか?

ナイアシン(ビタミンB3)の欠乏、というのが原因のようです。

では、ナイアシンとは何であり、何でそれが欠乏するとこのような症状が生じるのでしょうか。

ペラグラ.001

ナイアシンはニコチン酸とニコチン酸アミドの総称であり、必須アミノ酸の一つであるトリプトファンから体内で生合成されるので、トリプトファンが欠乏することでもナイアシンが欠乏し、結果としてペラグラを発症する場合があるようです。

ペラグラ.002

ここでまたNADとかNADPとかよくわからないものが出てきたので調べます。
高校で生物選択だったらわりと馴染みがあるかもしれません。

ペラグラ.003

ここまで見てきてナイアシンが生体内で重要なものなんだなあ〜っていうのが漠然とイメージできるようになってきました。

ただ、ナイアシンが不足することと皮膚炎とか目に見える症状に至るまでの過程が繋がらない気がします。


ペラグラ.004

なので少し調べてみました。

主に説は3つあるようです。
ただ参考文献が古すぎて読めなかったのであくまで参考にしたJ-STAGEの内容からのまとめになります。

ペラグラ.005

説の1つ目としてはウロカニン酸が重要な役割を果たしているというもの。
つまり簡単に言えばウロカニン不足。


ペラグラ.006

説の2つ目は、先ほど出てきたNADなどの不足。
これは結構そのまま。
NADの前駆体であるナイアシンが欠乏すれば自ずとNADも欠乏する。
そのNADに紫外線吸収という能力があるのなら、NAD減少で紫外線受けやすくなってしまうよねって話。


ペラグラ.007

説の3つ目は、ナイアシンが欠乏するということはその経路自体が衰退していて、もう一方の経路であるキヌレン酸ができる方が活発になり、キヌレン酸が蓄積する、といったイメージでしょうか。

こちらも参考文献が読めず、イマイチ確かかどうかがわからない。

ただ、キヌレン酸の蓄積が起こっているし、キヌレン酸の蓄積は光線過敏症を誘導するらしいってこと。


ペラグラ.008

説の4というか、参考にしていたJ-STAGE書いてる人たちの研究内容。
紅斑や血管拡張といった皮膚に現れる現象を引き起こすプロスタグランジンE2の発現量が上がっているという仮説。
これはメカニズムというより、まさに皮膚病変の原因となる部分の説明になるかと思う。

ただ、こういう説明に関する研究では、100%これだけが原因と言い切るのは難しい。説が色々出ている以上、様々な要因が複合的に合わさって病気を引き起こしていると考える方が自然である気がするから。

つまり、例えばプロスタグランジンE2を抑えるような薬で治療しようとしても、根治には至らず、症状を和らげる程度に止まりそうということ。


ここまでの知識を国試レベルで要求されることはないと思いますが、気になったら調べてみるというのは大事な気がします。

ただ、突っ込んで調べていく時間など受験生の頃にはなかったので当時はモヤモヤしたまま終わっていた気がします。

少なくともペラグラ はナイアシン不足で陥る皮膚障害が主な病気、みたいなざっくりイメージを作り上げた程度でした。


以上、ペラグラ についてでした。


さんざん引用させて頂いたJ-STAGEは以下

ナイアシン欠乏と皮膚免疫
日本臨床免疫学会会誌(Vol. 38 No. 1)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsci/38/1/38_37/_pdf


以下の「健康食品の安全性・有効性情報」のサイトでもとても詳しく解説されています。

https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail181.html



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