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セレブになれない元無職だし

いつかはセレブになってみたい。今は無職だけど。しかし、夢を見ることは自由だ。夢を見るだけなら誰にも迷惑をかけることはない。誰だって自由になれる、それが夢だ。

だから無職の私が、将来セレブになりたいと思うのは自由であり、自由なのだ。

夢には制限が無くていい。夢の中では私はセレブだ。セレブとはなんだ。実はよく知らない。響きだけで憧れている。ただの金持ちとは違う。なにせセレブだ。ただの金持ちであるはずがない。

ちょっとセレブを調べてくる。

分かったセレブが分かったぞ。おしゃれな金持ちだ。禿げて肥えた金持ちではなく、スマートな金持ちだ。それがセレブだ。そんなセレブに私はなりたい。いや、なれる。夢見ることだけは自由だから。想像の世界では今からセレブだ。本当はセレブリティというらしい。絶対にセレブと言ったほうが歯切れがいい。語尾が「ブ」だから腰に力が入れやすい。

私は今、どこか南国のビーチが見渡せる家にいる。とてつもなくデカイ家だ。トイレは4つ、バスルームも4つ、玄関も4つある。そんなにいらん。とにかくでかい家のベランダで私は海を見ている。

ここには夕日が沈む。でかい犬を散歩しているセレブだけが闊歩することを許されるビーチだ。しかし、でかい犬といってもなにもクマみたいなものではない。もしクマみたいな犬だとしたら、手に負えないからだ。でもしかし、もしクマみたいな犬だとしてもそれはひょっとして猫みたいに気まぐれで甘えてくるというなら問題はない。猫みたいな性格のクマみたいな犬。そんなものがいるなら私は飼いたい。

いや、飼ってる。今から飼うことにした。なぜなら夢は自由。想像は自由だからだ。

今、猫みたいな性格のクマみたいな犬が、私の膝の上に寝転んでいる。しかし、クマみたいな図体をしているので、身体の半分以上がはみ出ている。飼育係がシャンプーを手抜きしたおかげで臭い。あいつはクビにしよう。セレブだからクビも自由だ。

翌日、クビにした飼育係の代わりに新しいやつが来た。どこでスカウトしてきたのか、そいつは身長3メートルほどの巨人だった。猫みたいな性格のクマみたいな犬も完全に怯えきっている。

さっそくシャンプーを命じると、まるでぬいぐるみを洗うかの如く。そのスピードは風の如し。犬にかぎっては動かざること山の如し。感心すること火の如し。

ここに、風林火山極まれリ!! はあー!!

ここは海が綺麗だ。波の音、風の声。
変わらずに流れていく。時は止められない。これからの道で何があっても、今を忘れないさ。oh 忘れないさ。

反町隆史ってセレブかな。

私もセレブになりたい。でも、やっぱり止めました。

なぜならスムージーが苦手だから。セレブ止めます。

無職だし。あ、屁が出ました。ごめん。3メートルの巨人になろう。

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