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エジンバラの小さなカフェから #3

マジックコーヒーでのしごとは、とても楽しいものだった。

毎朝、苦手な早起きをし、目をこすりながら小走りでカフェに向かう。

フラットの玄関を出ると、まだ外は薄暗く、お月様さえ見える日もあった。

ここで働き始めて3週目にもなると
顔や雰囲気で誰がどのコーヒーでどのサイズが欲しいのかがわかるようになっていった。

ヨガの先生、Benjiとは近所のスーパーで一緒になったり
ベジタリアンのご飯をご馳走になったりといい友達にもなった。

*    *     *

この間のシフトでは
ホットチョコレートをオーダーした
ファミリーがいた。

3人のキッズに囲まれながら
楽しそうに会話するママ。

なんて言うんだろう。

本当に楽しそう。

子供たちと本当に本当におなじ目線。

大人 対 キッズでトランプの当てっこゲームをしていたときだって、

Mom:ハイ!これは?このカードだ。
No?

Kids: No.

Mom: あらら、じゃあこれだ!

Kids: No.

Mom: これでしょ
Kids: Noo.

Mom: これ?
Kids: ......No!!

Mom: はいコレっ
Kids: Yes!

子供に混じって遊んでいる姿は本当に無邪気な子供そのもの☆

このファミリーは、次の火曜日も、そのまた次の火曜日もやって来てくれて、こんなほほえましい光景を見るのが、すっかり火曜の午後の定番になっていった。


この日も、いつものキックスクーターに乗って、ママと子どもたちがやって来た。

お目当は、やっぱりホットチョコレート。

たいてい、お客さんが落ち着いて気持ちがゆるんだ頃だから、
スクールが終わってもなお元気スイッチがONのキッズたちにいつも目を覚まさせてもらう(笑)

まるで映画のLove Actuallyに出てきそうなママがいつものように

"3 Hot chocolate, please?"

と注文をしに来て、その後にかならずその上品な顔をくしゃっとして

私のところに顔を近づけてくる。

手を口元に当てながら、

“( SMAAAALL …!! )”

(スモールでいいのよ。お願いだから全部スモールで!)

と声をひそめながら必死に一番小さなサイズをお願いしてくる。

これがたまらなく可愛くて、いつも笑わせてもらう。

それを後ろで聞いていたちびっこは すかさず

“No! NO! Medium! Medium!”

“Or, OR! LAARRGE…!!

と 特大サイズのホットチョコレートにトッピングのクリームとスプリンクルをつけて!と言わんばかりにうったえてくる(笑)

このやりとりが可愛くって。

「Large sizeなんて、全部飲めないでしょ?」

というママにかぶせるように、

“YES, WE CAN!!”

と言ってみたり、

そんなお金ないんだから と言われると

“I can pay you back!”(あとで返すから!)

(どうやってw)

とお決まりのネゴシエーションタイム。

この日はキッズが勝利したようで

一番大きなマグカップに、溢れそうになるくらいのマシュマロを入れたホットチョコレートを持っていくと、

「僕のにはGreen starのスプーンがついてる!」

「僕のやつはブルー!」「私はピンク!」と一通りはしゃいでから

無邪気な天使たちは口の周りいっぱいに溶けたマシュマロのヒゲをつけながら今日のスクールでの出来事を話しはじめる。

ママも 子供たちと本当に本当におなじ目線で心から楽しんでいるのがこっちまで伝わってくる。

元気が溢れすぎて、男の子がホットチョコレートをテーブルにこぼしちゃった時も

この素敵ママは、あわてたりおこったりしないで
キッズと一緒に無邪気に笑ってた。

その笑い方も振る舞いも、子供心いっぱいな素敵な笑顔。

あ〜 なんだかいいなあ♪

おしゃべりやカードゲームが一通り終わると

「ありがとう!」といって、また子供達を引き連れ

キックスクーターに乗って颯爽と帰って行く。

そんな後ろ姿を見ながら週に一回必ず思うこと

それは・・・

「私も、こんなママになろ♬」

イタリアンの友人たちに会いに、よく遊びにいっていたいわく付きの(?)Banana Flat。朝日と夕日がどっちも楽しめるこの場所は、いわく付きでも
私のお気に入りの場所☆





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