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愛鳥週間だ、今日まで。

「妻がバードウォッチングにすっかりはまってしまってね、仕事のない週末は探鳥仲間とあちこち出掛けてしまってボクとはすれ違いなんだよ。」「老後の趣味にしたら夫婦で楽しめそうだと思ってボクが教えてあげてたんだがなぁ最初の頃は。」「鳥なんて嫌いだからこうして喰ってやる。」

等々と彼が話すのを聞いていたのは予約のできないことで有名な高級焼き鳥屋だった。もう17年も前のことになる。彼より17才若かった当時の私は「はぁ、そうなんすかぁ、ところでこの手羽先のいかだ串、めちゃくちゃ美味いっすね。」なんて、とんちんかんな相槌をうっては喰ってばかりいた。

どう受け止めたら良いのかわからなかった。いや、今だってわからないままだけど。

鳥の声を聞くと彼を想う。
背景音として使われる鳥の声が登場人物たちの語らざる心情を表している、というくますけさんの「光る君へ」の解説noteを読んで以来、「鳥の声」ではなく△△△の◯◯鳴きの声、と言えたらいいのにと思いながらも、彼の手解きをやんわりと拒んだ私にはなんの鳥の声を充てるべきなのか皆目見当もつかないままだ。


https://note.com/kumasuke902/m/m4a48a78c29a3

葬儀には、呼んで貰えなかった。
彼の奥さんは知っていたのだと思う。

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