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この気持ちは何年か前に他の誰かに抱いた感情と似ているかもしれないけれど、本質的に全く違う。時に心が痛むかもしれないけれど、いつか嘘のように消えてなくなるとわかっていたあの気持ちとは違う。あの頃の私とは違う。

この気持ちにしがみついて離したくない。私の背中の傷や髪が退屈な時や色や痕や全て愛してほしい。誰を思い浮かべているでもないけれど誰なのかわからないあなたを心から愛している。呼び名は同じでも他の誰に対しても持ったことのないあなたに対しての思いと気持ちと言葉にならない感情を待っている。

私はあなたの声を知らないけれどあなたが笑う時に高くなる声と真剣に目を見て話す落ち着いた声と私の耳元で吐く息が、音になる瞬間から私を捕らえていて、もしかしたらテーブルの向こうかもしれないし隣の座席かもしれないし同じシーツの上かもしれないけれど実際に私に腕を回していなくても脚を絡めていなくてもあなたは私を包んでいて私は絶えずあなたのものにされている。

私は他の誰に対してもしたことも見せたことも聞かせたことも感じさせたことも考えさせたことも触れさせたこともない、ことや顔や声や弱さや問いや甘さを、あなたのためにあなたとの時まで取っておいた。取っておくことを選ぶ。あなたは私にとってこの上なく特別な存在で、だからこそ、きれいで見つけたら誰かに見せたくなるような、いやむしろすべて独り占めしてしまいたい感情を取っておく価値のある存在。あなたは待つ価値のある存在。

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07/29/2023

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