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しゃもじを、”おしゃもじ”と言うとなんだか育ちの良さが滲み出るよな。

 しゃもじを、”おしゃもじ”と言うとなんだか育ちの良さが滲み出るよな。

 言わないもんな、いくら人が丁寧に見繕っても、”おしゃもじ”って。
 おしゃもじでご飯を掬って、みたいな。
 絶対掬われる側だもんな、おしゃもじ。
 アンパンマンとおしゃもじちゃん。
 天丼まん系列とマブの気配がある。

 他にも”お”をつけたら豪邸在住感が出る。
 お水槽。
 お花瓶。
 おしゃけ。
 お泥。
 お時計。
 お回転寿司。
 おたまごボーロ。
 おにゅうめん。
 お焼きそば。
 おかに。
 お風鈴。
 おすず。
 おさぎ。
 後半は、江戸時代の町娘みたいになってしまいましたけど。

「おにゅうめんを、お水槽に入れておしまい!」
 これは存在しない大屋敷での一幕。

「おしゃもじはお花瓶に刺すとよいわ!」
 これも。

「おさぎ、おすず、おかに、やっておしまい!」
 これは多分、くのいちに命令する江戸の令嬢。

「おたまごボーロ!おたまごボーロがなくっちゃあ、わたし……!」
 たまごボーロへ病的に魅了されたお屋敷の令嬢。

「お回転寿司…?!!」
 これは下町の回る寿司に驚愕するお屋敷の令嬢。まあ、寿司は回るなんて思うわけないだろうしな。

「お泥!お泥!!お泥!!!」
 わかんないですけど、服についたのですかね。

「おすぎです!おかにです!」
 双子。

「おはぎです!おかにです!おさぎです!」
 三子。

「なりきりおチャットですわ!」
 あまりよくないものにハマってきた令嬢。

「なりきりおチャット内にて。『おすぎです!おかにです!』」
 ”おすぎ”と”おかに”に変容した令嬢。

「お嬢様!おやめください!!」
 おセバスチャン、お止めになさってください!

 おしまい。
 おおしまい。

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