保留地住宅ローンを借り換えた話 ~トータル300万円得をした方法とは~
2010年に保留地を購入し、35年の住宅ローンを組んだ私。
当初は金利1%以上の契約でしたが、交渉や借り換えなどを繰り返し、結果的に金利%は約半分、トータルで300万円近く得をしています。
実は、初めは私も諦めていたのですが、保留地の住宅ローンを借り換えることは可能です。
当記事では、保留地住宅ローンの金利交渉や借り換えできる銀行の探し方などを、自身の経験を元に解説しています。
また有料部分には実際に借り換えを行った銀行名も載せています。
「保留地住宅ローンの金利が高いので、なんとか下げたい」「保留地でも借り換えできる銀行を知りたい」「銀行との金利交渉のコツを知りたい」というような方におすすめ。
一方、ある程度銀行との交渉の仕方を知っているとか、そもそも保留地ローンの借り換え可能な銀行を知っているという方は購入をお控えください。
また、仮に同じ銀行に問い合わせをしたとしても、必ず借り換えられる保証はございません。その点もご理解の上、ご購入頂ければ幸いです(申し訳ございませんが返金には応じられませんのでご注意ください)。
私の金利交渉&借り換え遍歴は以下の通り。
以下はその際の住宅ローン契約書。
段階的に、金利を1.275%→1.075%→0.625% と下げることに成功しています。
そもそも、保留地とは
「保留地」とは、市区町村が行う土地区画整理事業の最中に販売される土地のことを言います。
通常土地の区画整理は、周辺住民との立ち退き交渉等が並行して行われるため、数年~数十年という長期に渡ることがほとんど。
その間、区画整理が終わった土地(仮換地という)を余らせておくのは勿体ないので、これを「保留地」として売りに出し、区画整理事業の原資にするのです。
保留地のメリット・デメリットは以下に記載しますが、これらを除けば通常の土地と変わりなく売買できますし、普通に住めます。
むしろ価格が安いことから人気があることがほとんどです。
保留地のメリット
ここからは、実際に保留地を購入した私の経験から、メリットとデメリットをまとめます。
メリット①:周辺相場よりも安い
まずはなんと言ってもこれ。特に市区町村が取り扱っている保留地は、周辺相場よりも安い事が多いです。
通常、不動産屋から土地を購入する際は、売買価格×3%+6万円の仲介手数料が発生しますが、市区町村が行っている土地区画整理組合から直接土地を購入する場合は、この手数料は発生しません。
また仲介手数料を除く土地価格自体も、周辺の公示地価や基準地価を元に決められるため、透明性が高い点もポイント。
要は不動産屋からボッタクられる心配が無いのです。
メリット②:土地区画整理事業者=市区町村のため、安心
ほとんどの場合、区画整理事業を行っている組合は、市区町村が兼ねているか、市区町村からの委託を受けた民間企業が行っています。
彼らは営利を目的としていませんので、契約などを含めて安心して取引をすることが可能。
実際、私が購入した際も、特に売り込みモードも無く、気持ち良い取引をすることができました。
メリット③:周辺環境が良いことが多い
区画整理事業を行っている土地ですので、当然ながら最新の建築基準法に準拠しており、かつ街づくり計画に沿っています。
公園などの近隣環境が整えられており、比較的新しい街並みである点がポイント。
また区画整理を行った新たな土地のため、その場所に住んでいる人は
・他所から引っ越してきた人
・元々近隣に住んでおり、立ち退き代をゲットして家を建てた人
どちらかです。
子供が生まれて手狭になった若い世代や、立ち退き代で裕福に暮らしている方ばかりですので、住みやすいという点もポイント。
実際、私も10年近く住んでいて、近隣住民とのトラブルはこれまで一度も無いばかりか、非常に仲良くお付き合いさせて頂いています。
保留地のデメリット
そんな保留地ですが、当然デメリットも存在します。
デメリット①:人気があるため、抽選となる事が多い
一番のデメリットはこれ。
とてもメリットのある土地なので、競争率が激しく、ほとんどの場合購入権利をゲットするための抽選があります。
倍率は20倍~30倍になることもしばしば。
※後で解説させて頂きますが、私の時は倍率約20倍でした
現在この記事をお読み頂いている方は、保留地を契約できた人がほとんどだと思いますので、恵まれた方々と言えます。
デメリット②:売買契約が煩雑
保留地はその性格上、契約上色々な制限が設けられます。
当然ですが、市区町村もあまり煩雑な契約はしたくないので、その土地を住居として利用する予定で、かつ換地まで住み続ける事が条件となっているケースがほとんどです。
区画整理を行った良い環境だからこそ、長く居住してもらい、税収や街づくりに寄与して欲しい、という市区町村側の願いも籠っています。
代表的なのは、
・区画整理完了までは売却ができない
・住居としてしか使えない(商用利用はNGであることが多い)
・区画整理完了時に再度住所が割り振られ、登記費用も発生する
等です。
また区画整理は予定通りに完了しない事が広く知られており、数年~数十年単位で延期される事がほとんど。
実質、購入時点で、その場所にずっと住み続ける事を決めないといけないのです。
デメリット③:融資を受けられる銀行が限られる
当記事のメイントピックです。
保留地を購入する際に住宅ローンを組むことになると思いますが、契約が煩雑なため、住宅ローンを組める銀行が限定されます。
大抵は、市区町村の土地区画整理組合が提携している、行政区内の銀行支店や地銀支店、JAなどのみ。
金利が安いことで有名なネット系銀行では、ローンを組むことができません。
そのため、ローン金利が高くなってしまう傾向があります。
保留地を購入してから借り換えをするまで~私の経験~
ここからは、保留地を購入してから、実際に借り換えに至るまでの私の経験をご紹介します。
2009年10月:保留地申し込み ~ 当選
お陰様で2人の子供に恵まれた我が家。
2Kのアパートも手狭になり、住宅かマンションを購入しようかと悩んでいました。
ちょうどその時妻が、住んでいた市区町村で土地を売っているという話を見つけ、応募したのがきっかけ。
駅近の角地という事もあり全く期待していなかったのですが、抽選結果をHPで見ると、そこにはなんと私達の申込番号が。
希望者は抽選の場に立ち会うことができたのですが、それすら行かなかった私達。
後から聞いた話によると、30組近い応募があったそうです。
仕事の合間、神楽坂のベローチェでPCを開いて抽選番号を見つけた時の驚きは今もはっきり覚えています。
当時の抽選申込書と当選案内です。
当選から契約手続き期限までには、約1か月の猶予があります。
その間に以下のことを行いました。
物件周辺環境の調査
実は私も妻も、当選するまで一度も現地を訪れていませんでした。
そのため現地を訪問し、駅や学校、公園からの距離を実際に歩いて測定。
また近隣住民の方にタオルを持参してご挨拶するふりで、どんな人が住んでいるのか念入りにチェックしました。
戸建てなので長期間の付き合いになりますから、おかしな人がいたら困りますからね。
更には図書館で古地図を調べ、昔周辺に川が流れていなかったか?などをチェックしました。
地盤に問題が無いかを調べるためです。
購入の意思決定
上記の結果問題無いことが分かりましたので、購入の意思決定をしました。
事前に生涯のライフプランを検討していたり、たまたまお願いしたいハウスメーカーを知っていたので、ここはすんなりでした。
契約金の準備
上記の画像の通り、契約時に土地価格の10%の契約保証金を納める必要があるので、これを準備しました。
契約保証金は住宅ローンを組むことができないのでご注意ください。
※用途を問わないフリーローンであれば可能ですが、金利は高くなります。
2010年10月:ローンを借りる銀行とのやり取り
保留地を購入する際の手順ですが、まずは銀行と契約し、それをもって市区町村と土地売買契約をする流れです。
また冒頭にもご説明差し上げた通り、保留地購入の際にローンを組める銀行は限られます。
市区町村の土地区画整理組合が提携している行政区内の銀行支店や地銀支店、JAなどのみ。
私が市区町村から提示された選択肢は、メガバンク2行と地銀1行、最寄りのJAでした。
金利交渉をしようと、全て訪問した結果が以下です。
・メガバンクA:金利優遇なし
・メガバンクB:1.4%優遇
・某地銀:1.0%優遇
・JA:ローン契約不可
驚いたのが、某メガバンクに訪問した際「金利優遇ゼロ」を告げられたこと。
つまりこの銀行は、保留地にお金を貸すつもりが無いわけです。
(実際、窓口の対応も印象が良くなかったです)
市区町村側から依頼を受けて、付き合いで仕方なく名を連ねているという事でしょう。
※ちなみに、上物を含む4,000万円を35年ローンで借りたとすると、優遇1.2%の差でトータル支払いは1,000万円以上違ってきます。
またJAに行ったときに「転職後3年が経過しないと、そもそもローンを組めない」と言われたことも落とし穴でした。
購入の2年前に転職をしたため、3年が経過していなかった形。
窓口の方の申し訳なさそうな顔は今でも忘れる事ができません。
お詫びの印に頂いたサザエさんのバスタオルは、10年経った今でも家族で愛用しております。
というわけで、購入当初は某メガバンク(優遇金利1.4%)にお世話になる事になりました。
2010年11月:市区町村と保留地購入の契約
銀行との契約が完了したら、いよいよ市区町村との購入契約です。
銀行との「消費者ローン契約書」や「保留地譲渡担保権承認申請書」「保留地担保権設定契約書」※を持参し、契約に臨みます。
※保証会社が私にお金を貸すために必要な、保留地を担保にするための申請書
市区町村との保留地売買契約書と、契約完了後の引渡書・使用承認書は以下の通り。
ハウスメーカーとの契約もありますので、引渡し(ローンの支払い発生タイミング)まで、数か月猶予をもらうことができます。
私は限界ギリギリの2か月をもらった形です。
その後、同じくこの保留地を担保にローンを契約し、ハウスメーカーで戸建てを注文。
2010年7月の入居タイミングから、ローンの支払いをスタートさせました。
2013年2月:メガバンクとの金利交渉(1回目)
ローン契約後3年程すると、金利1%未満を謡う銀行が出てきました。
「さすがに、見直さないと損をする」と考え、交渉の結果、
金利:1.275%→1.075%
総支払利息:▲135万円
まで下げることができました。
以下が、金利を下げてもらった時の変更契約書です。(土地と建物で契約が2つに分かれています)
2016年5月:メガバンクとの金利交渉(2回目)
更に3年が経過した2016年。
ネット銀行が相次いで0.5%などの金利を謡うようになり、さすがに見直さざるをえなくなりました。
ただ、この時点では残念ながら見直しNGとの回答でした。
2016年5月~8月:借り換え
上記を踏まえて、保留地ローン借り換え可能な銀行をさがし、借り換えました。
最終的に、
金利:1.075%→0.625%
総支払利息:▲157万円(1回目と合わせて、▲292万円)
となりました。
以下が借り換えを行った際の書類。契約は土地分と建物分を合算しました。
ここから先は
¥ 500
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?