第8期指す将順位戦を終えて② 対局振り返り~序盤編~

はじめに

 どうも、わんなくです。
 今回から、世界一遅い(暫定)対局振り返り記事の更新を始めていきます。めんどくさかった諸事情により書けていなかったのですよね、これが。

 書くに至った経緯なのですが、第9期に向けての意気込みnoteがわりかし評判がよく、指す順でお世話になった方々から楽しみにしてますとポストをいただいたり。なぜか『「今、このnoterが面白い」選考担当』マガジンに追加されたり(本当になぜ???)。非常にありがたいですね。

 (評判が良かったと噂の現代版徒然草記事はこちら)

 そんなこんなでnote熱が再燃したため投稿に至っております。
 ぜひ燃え尽きることなく第9期はリアルタイムで振り返り記事を書いていきたいところです。意気込みコメントで宣言しちゃったし。
 燃え尽きた矢吹丈の画像準備しとかなきゃ

 今回は序盤編です。各対局1局面ずつ切り取って紹介していく形になります。どうしても長くなっちゃいますからね。
 それでは本編どうぞ。


第1局 対うりゅんさん


わんなく後手。26手目△75歩まで

予想通りだが準備不足

 第1局のお相手はうりゅんさん。前期昇級され、第9期はA級1組でエントリーされています。将棋は四間飛車党で48銀型を多用される印象です。
 事前情報があったことに加え、指す将順位戦初対局で気合いを入れていたこともあり、概ね予想通りに進行しました。

 △75歩から早々に7筋を交換しにいくのが用意の順。▲同歩△同飛に通常の振り飛車の要領で▲88角と飛車交換をするのは、交換後に△15歩があり難解ながら後手も指せます。かといって▲76歩と打つようでは悔しいでしょう、というのが準備。

 実戦は▲76歩で局面が収まり、第二次駒組み合戦に。ここからはほぼアドリブでした。もうちょっと準備しとけよ感が否めないですが、それほどに先述の△15歩や他の変化も難しかったという事情があります。

 なお、この局面に関してはうりゅんさんのnoteにも言及がありました。そちらも是非ご覧ください。というか詳しすぎて私が記事書く意味ない

 (詳しすぎると噂のうりゅんさん振り返り記事。他の対局は書かれないんですか?)



第2局 対岸亜双さん

わんなく後手。38手目△16歩まで

理想の展開

 第2局のお相手は岸亜双さん。私と同じく第8期が初出場。今期も参加を表明されています。また、今期から始まった指す順放送局のパーソナリティを務められています。将棋は右玉・左玉を指しこなす力戦党という印象です。

 戦型は、第1局で右玉を指されていたこと、対左玉の方が実戦経験が多いことから振り飛車を選択しました。対左玉の実戦経験多いってなんだよ 左玉は一時期よく指していたので、弱点もまあまあ知っているという事情がありまして。今でもたまに指します。
 実戦は予想通り対左玉に進みます。

 左玉は組み切るまで時間がかかり、玉と逆サイドの端攻めを食らうと弱いという弱点があります。そこに狙いをつけたのが上の局面。先手は左玉を組み切れていない一方で、後手は穴熊+端攻めの体制が整っているため、思い通りで不満のない序盤です。

 実は穴熊にする予定は無かったのですが、成り行き上でなんか組んだら意外と早く組めたのでよかったです。事前の狙いがズバリはまったな!!



第3局 対ガスボンベさん

わんなく後手。47手目▲48金左まで

罪深い右銀

 第3局のお相手はガスボンベさん。noterの(たぶん)大先輩で、X上でもたまーにリプをいただいたりします。一度結果報告漏れをご指摘いただきました。あの時はありがとうございます。将棋は「天撃システム」と名乗られている、▲25歩▲27銀▲56歩を早々に決める独特な序盤が特徴の一つです。

 天撃システムの正直な直観は「いや有利にはならないでしょ」だったのですが、有効な対策が思いつくでもなく。矢倉に組むと無理に居飛車にはせず陽動振り飛車をする、と事前情報があったため矢倉を選択。
 そもそも矢倉が振り飛車に弱い囲いというわけでもないと思っている (電王戦の習甦菅井戦のイメージ) ので、悪くない選択かなと思いました。

 その後は▲25歩の形を咎める意味で穴熊への組み換えを選択。25桂を跳ばれないのは穴熊にとって非常に都合がいいので、構想としては悪くないかなと思っています。

 罪深かったのは△74銀でした。▲66歩を突かせて先手の角を重くする意味合いなのですが、△74歩~△73桂などの左桂の活用が見込めなくなること、74の銀が利く展開が少ないことからマイナスの方が大きかったです。

 なお本譜は局面図から結局△63銀と引くのですが、すかさず▲65歩と突かれ劣勢になります。次に▲64歩△同銀▲65歩となれば銀が落ちますし、本譜の△同歩には▲同飛が次の▲85飛をみせて激痛。天撃されちゃった


 

第4局 対ぽったいしさん

わんなく先手。41手目95歩まで

味を占める

 第4局のお相手はぽったいしさん。ぽったいしさんも指す将順位戦初参加で、Xでも面識が無くはじめましてでした。なお、第8期は途中で辞退されており、第9期は不参加です。将棋は基本的には居飛車党ですが、たまに対振りで左玉を指されているような印象です。

 戦型は居飛車でした。だって対局直前に書いた記事に居飛車を指すって書いていたから。どう見ても振り飛車ですが居飛車ですよ、これは。違いますか? ええ違います すいません

 冗談はさておき、ほんとに無意識に初手▲78飛と指して呆然としてました。「通常の相振りは嫌だ」と念じ続けた結果、グリフィンドールに入寮戦型は注文通り対左玉になりました。

 完全に第2局に味を占めての駒組みです。局面図は第2局の後手とほぼ同じ形です。後手の形は1筋を狙う駒が多いものの、陣形が整ってはいないため不満はないかなと思っていました。

 が、ソフト的にはこの局面はやや後手持ちらしいです。端を狙われる形ができてしまっているのと、角銀がクギ付けの形になっているのが良くないのかなと思われます。穴熊を組むのも考えものですね。


第5局 対おはちよさん

わんなく後手。38手目△65歩まで

回避しにいったら

 第5局のお相手はおはちよさん。もはや定期といいたくなる初参加勢です。昇級候補でしたが不戦敗3回で失格となり、第9期も不参加です。将棋は対抗型党かと思っていました。このときまでは。

 おはちよさんの第4局までの棋譜を見て、見事な金無双急戦で対振り勝利を収めているのを拝見。さすがに金無双急戦相手には厳しいな、対抗型であればまだ居飛車を持った方が望みがあるのでは? と思い居飛車を選択。どこが「相手の得意型に飛び込む」だよ

 なのですが。回避しに行った結果、戦型は予想外の相居飛車に。空中戦であればまだ少し自信があったため、空中戦を志向しにいったのですが▲66歩と拒否宣言されます。ならばと右四間に組み、必死にポイント稼ぎに奔走した結果、局面図に至ります。

 局面としては攻め切れたら勝ち、攻めが切れたら負けという右四間飛車特有の形になっているかと思います。厳密には先手が受けきれるような気がしますが、実戦的には大変な展開には持ち込めたのではないかなと思っています。


第6局 対Link0905さん

わんなく先手。図は35手目▲37銀まで

堅さ対広さ

 第6局のお相手はLinkさん。第7期はA3を一位で昇級していらっしゃいます。第8期もA2を一位昇級し、第9期もA1を一位昇級する期待が高まってたり高まってなかったりします。将棋は四間飛車党で、角交換振り飛車も指されるような印象です。

 戦型は対角交換振り飛車に。ノーマル四間飛車を予想していたのですが、予想されるかと思い角交換型にしたとのことです。noteも書いとくもんですね。もともと持久戦にできればいいなと思っていたため、角交換振り飛車相手でも銀冠を選択して局面図。

 ▲37銀は疑問とは言いませんがやや不自然な手で、▲56歩~▲57銀のように中央に活用した方がよかったのかなとソフト氏。▲37桂も使えますし、より堅さも見込めるということだと思います。

 とはいえここまではそこまで文句をつけるところは無いんですよ。ここまでは。。。先手の銀冠は堅い。後手は堅くは無いですが、いざというときに左辺に逃げられるので広い形ですね。堅さ対広さの戦いが行われるのでしょう(フラグ)


第7局 対朧月さん

わんなく後手。図は27手目▲17桂まで

余計な思いつき

 第7局のお相手は朧月さん。やってまいりました第8期初参加定期。第9期もエントリーされています。将棋は三間飛車をよく指されている印象です。

 戦型は対三間飛車トマホークになりました。実は対局前は△54歩と突き、対カナシス (注: ▲56銀と早めに出て居飛車の角道を止めることで▲75歩~▲59角の組み換えをする作戦) を想定していました。そうするとトマホークにはならないのですが、対局直前で「あれ?△54歩を突かなかったらカナシス使えなくない?」と余計な思いつきが発動したため、現局面に至ります。

 なんと私、三間飛車党と謳いながらトマホークの勉強をほぼしておりません。三間飛車党の風上にも置けないですね。なのでこの局面になること自体が大事故まっしぐらです(フラグ)

 実際、この局面はすでに居飛車やや不満っぽいですね。勉強しないとなー(結局勉強しない)


第8局 対あじゃさん

わんなく後手。21手目▲56歩まで。

方針ガン無視

 第8局のお相手はあじゃさん。第7局までを6-1で本局を迎えています。Xのアカウント名が「石田流やめて」や「穴熊やめて」などユニークなのが印象深いです。第9期は指す順システムいわくエントリーされていないようです。将棋は振り飛車党だったと記憶しています。

 第7局までの私の成績は3-4。降級争いが見える中、「相手の得意に飛び込む」という方針をガン無視し、とにかく勝つための戦型選択を目指しました。当時のあじゃさんのXアカウント名が「穴熊やめて」だったため、穴熊を目指せる中飛車左穴熊を志向。

 対してあじゃさんは穴熊に組ませない方針。低い陣形から▲56歩と早くから仕掛けたのが局面図です。

 このような展開自体は過去の24棋譜にもあったため想定内でした。もちろんこの局面をピンポイントで想定していたわけではないのですが……。
 互いに神経を使う展開になるので、自分も嫌だけど相手も嫌でしょうという気持ちで臨んでいました。実際、現局面はほぼ互角かと思います。


第9局 対カタン民さん

 ~局面図なし~(理由は後述します)

空中戦

 第9局のお相手はカタン民さん。カタンといえばカタンの開拓者、サイコロの期待値は短期的にはあてにならないことが学べる有名ボードゲームで、アイコンもその盤面(?)にされています。カタン民さんのカタンの話のポストみたことない将棋は確認できる棋譜が少なかったのですが、居飛車も振り飛車も指されている印象です。

 戦型は相掛かりに。局面図を見ていただくと……あれれ??おかしいですよ?? 棋譜を残していなかったのですが、フリー対局で指したため棋譜が残っておらず、半年経過しているので棋譜があいまいでして。こういうことがあるから振り返りは早く書けですね。反省します。

 相掛かりを選んだ理由ですが、振り飛車党が多い印象なので居飛車指す役になりたいな、という思いがありました。あと単純に対抗形振り飛車より相居飛車の方がいいかな、という選択です。どこが振り飛車党なのか
 そんなこんなで相掛かりの空中戦になりました。ここまでで初めての相居飛車空中戦です。序盤は互角に進んでいた記憶はあります。

 これほどざっくりした対局振り返りがいまだかつて存在しただろうか。


第10局 対たこ焼きさん

わんなく先手。46手目△55歩まで

3度目にしてボロが出る

 10局目のお相手はたこ焼きさん。当時は大学生で、春から新社会人とのことです。第9期は不参加表明されていますが、第10期は「出れたら出る」とのこと。翻訳すると出ないということか 将棋は居飛車振り飛車どちらも指されている印象です。

 戦型は第2局、第4局に引き続きなんと3局目の相振り飛車対左玉に。左玉ってこんなメジャー戦法でしたっけ??
 第4局の詳細な検討をしていない状態なのもあり、本局でも私は穴熊に。対してたこ焼きさんは6筋から機敏に動いてこられ、受け止めようとしたところ局面図。

 はい、6筋がどうやっても受かりません。そもそもこの歩を▲同銀と取ると、△65歩~△54歩~△45歩で銀が助かりません。かといって▲67銀と引くと△65歩で何をやっているか分かりません。

 この局面図の時点ではっきり作戦負けでした。対左玉3度目にして序盤のボロが出てしまいました。序盤の作戦負けで言えば第7局以来ですね。頻度高くない??
 第9期ではこういった展開は絶対にならないようにしたいものです。

 

第11局 対†JANUS†さん

わんなく先手。33手目▲86飛まで

負の連鎖が起こっていた

 最終局の第11局、お相手は†JANUS†さん。ウォーズの対局ポストがいっぱい流れてくるので、すごく局数さしていらっしゃるなーという印象です。爪の垢を煎じて飲まないとですね。第8期は入れ替え戦でA3に降級さており、今期は指す順システムいわくエントリーされていないようです。将棋は居飛車党という印象です。

 戦型は私の三間飛車に。第9局で居飛車指す役になりたいと言っていたのはなんだったのか 本局は成り行きで角交換型の石田流になります。▲96角△94角を打ち合う升田式石田流。部分的な定跡で▲85角△同角▲86飛としたのが局面図です。

 本譜は△94角打でしたが、ここが大事件未遂の局面。通常この手筋を使う局面と異なり82の飛車にひもがついているため、△94角と引かれるとただただ角損です。なぜか対局中は全く気付かなかったです。

 前局に引き続きの序盤のウッカリでした。完全に負の連鎖が起こっていました。再度になりますが、第9期ではこういうことが起こらないように気を付けたいと思います。気を付けても起こるのがウッカリなんですけどね

統計というほどでもない何か

使用戦法
 振り飛車5回 (対左玉3回、三間飛車、中飛車左穴熊1回)
 居飛車6回 (対振り3回、相掛かり、相居飛車力戦、対天撃システム1回)

使用囲い
 穴熊5回(対左玉3回、対天撃、対振り居飛車1回)
 舟囲い(金無双含む)2回 (対振り居飛車1回、中飛車左穴熊1回)
 美濃囲い1回(三間飛車)
 銀冠1回(対振り)
 その他2回(相居飛車力戦、相掛かり)

おわりに

 以上、全11局の序盤編でした。なかなかボロボロなのが分かったかと思います。こういうことにならないように立てた「相手の得意に飛び込む」方針だったのですが、全然機能しなかったですね。 

 こうやってまとめて書くのも結構楽しかったです。中盤編はどの局面を切り取ろうか、頭を悩ませつつも今から楽しみにしています。このモチベがあれば完走できるはず。

 それでは、次回中盤編にてお会いいたしましょう。お読みいただきありがとうございました。


書いてから気づいたけど序盤・中盤・終盤って分けるの見にくいですね



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