指す将順位戦8th1回戦振り返り(vsわんなくさん)

みなさんこんにちは、うりゅんです。
いやー今年もついに開幕しました指す将順位戦。早いもので私は4期目の参加となります。正直なところ、今期は自戦記はそこそこに留めておくかなーと思っていたのですが、1回戦の局後にわんなくさんから圧をかけられた熱い応援を頂いたため頑張って書くことにします。

さて、1回戦の対戦相手となったわんなくさん。ツイートによると、「相手の得意型にあえて飛び込む」というテーマを持って参加されているご様子。
いつも変なことしかしてないけど大丈夫か……?分析とかしてもらえるのか……?と思いつつ、相手がするならこちらも棋譜を漁って対策の対策を、とわんなくさんの24のユーザーページへ向かいます。

あれ?棋譜が5局分(平手は4局)しか出てこないぞ……?

諦めました。いや、ちゃんと5局分の棋譜は眺めました。が、序盤の情報としては居飛車を指してるなーということしか分からず、しかもツイッターのバイオに書いてあることと違うぞー?となり考えるのをやめました。やっぱり普段通りに指すのが一番ですよね!(これって相手の思惑通りでは?)

ちなみに、わんなくさんの方はしっかり私の将棋を分析していたようで、noteを読んですごい熱量だなーと思いました。ここまで準備して頂けるのはありがたいですね。

👇思ったより長く書かれていて驚いた素晴らしい対局前note

対局記も書かれるとのことで、今から楽しみです。

対局内容


さて、前置きが長くなりましたが、対局の内容に入っていきたいと思います。こちらが先手で、先手四間飛車ー後手居飛車急戦の形に。


居飛車側は急戦・持久戦を選べる形

進んで下図。こちらはいつもの力戦志向、相手は7筋で一歩交換した後金無双に組み不満のない形でしょうか。

消費時間 先手 4:23 後手 2:52 (△3三角まで)

ここから▲3七桂△4四角と進みます。そこでの次の手候補が▲4六銀と▲4六歩。△4四角を見て端から来そうな雰囲気を感じていたため、△1五歩への対策があるかを考えました。その時の脳内がこちら。(えーっと、▲4六銀だと、△1五歩▲同歩△1七歩▲4五銀△1五香▲4四銀△同歩……うーん……端破られてるしなぁ……ここでなんかいい手ないときついか。……うーん見えない、とりあえず▲4六歩の方考えるか。▲4六歩に△1五歩なら、▲同歩△1七歩に▲4五歩があるからOKか。よし、これで両方大丈夫だな←(?)、なら3四の歩狙えそうな銀にするか!)…▲4六銀や!

?????

どこから「両方大丈夫」が出てきたのでしょうか。△1五歩を突かれ、固まっているようではひどいです。

なお、ソフトによると最善は本譜の▲4六銀。以下△1五歩▲同歩△1七歩▲4五銀△1五香▲4四銀△同歩なら▲1三歩という手があり(△同桂なら▲5五歩、△2二玉なら▲6五歩で難しい)、やや不利ながら難しいようです。

後手は当然△1五歩

対局中はそんなことは分からないので、完全にやらかしたと思っていました。とりあえず△1五歩は取るしかなく、以下数手は相手の言いなりだけどしょうがないか、の気持ちで指していました。

形勢を悲観していた

進んで上図。本譜は△8五飛▲8七歩△1五歩と進みましたが、△8五飛には▲8八飛が成立していました。飛車の間に角が挟まれている形は悪い形、という刷り込みが完了している私は全く考えませんでしたが、次に▲7七桂と跳ねれば飛車を引くしかないため、相手は香車を取りに行く手が指せない状態です。すなわち香得が確定する&香が成り込めるため、この変化はむしろこちらが優勢となっていました。
また、上図で△1七角成▲1二香成△8五飛の変化について、飛車を1筋に回られるとダメだと思っていたので深く考えませんでしたが、以下▲8八飛△1五飛▲7五角△1二飛▲8一飛成となるとややこちら有利の分かれだそうです。以下△2四香に対しては、▲2五桂打が次に▲1三歩~▲3三香を見せて逆先になります。

ここは目をつぶって桂馬

▲7七桂と跳ねて上の局面。いきおい飛車角交換から香を取ってくる手に対し、▲1二飛から龍を作りつつ歩を払います。
ここまできて、局面がさっぱりして一応駒得(2歩得)、相手からの厳しい手はぱっとは見えないため、何とか持ち直したか?と思っていました。
そして次の手が△3三金!(下図)。

両取りを気にしない前進

ふんどしの桂が目に見えているので、指されてびっくりしました。ただ、指し手としては▲4五桂と▲4五銀でだいぶ迷っていました。▲4五銀は角を取ってしまって端攻めを緩和しようという発想でしたが、結局金銀に盛り上がられて玉頭攻めされる展開になるとそんなにでかしてないかなと思い、素直に両取りをかけます。
以下△2四金▲5三桂成△同角となり下図。

チャンスを逃す

ここは▲1二龍でこちらがだいぶ良かったです。△1一香におびえてその先を読んでいませんでしたが、△1一香には▲4一銀で潰れています。かといって1一を埋めないと次の▲1一銀が痛すぎます。この順ははっきりこちら優勢でした。
本譜は分からなくなって▲1九龍。以下△1四香▲1六歩△1七歩▲1五香で下図。

一手パス

代えて△5八金を考えていましたが、端を破られ角にも成られてしまうため、回避できるなら回避したいという思いが邪魔をして踏ん切りがつきませんでした。時間稼ぎのつもりで▲1五香と指しましたが、△同香▲同歩△1六香と進むと▲1五香は一手パス。ひどかったです。
遅ればせながら▲5八金を上がり、龍の逃げ道を作ります。数手進んで下図。

遁走開始

この局面になったら百回中百回早逃げ、というくらい感覚が早逃げと言っていたので、ここでは自玉回りはあまり読まず、逃げた後どう攻めるかをずっと考えていました。

お互い寄せづらそう

逃げ出した後がこちら。どう攻めても上に逃げられそうで、もしかしたら相入玉もあるか、と思っていました。実際ソフトにかけると入玉を考慮に入れていると思われる候補手が出てくるため、そういった展開も十分あり得たみたいです。
本譜は駒を渡さずプレッシャーをかける、という方針で▲8五歩。これに対しては△3三桂という手があったようです。後の△4五桂打から金駒を狙っていく手が効果的で、こう指されていたらやや苦戦でした。
本譜は△9五歩。狙いがすぐには見えなかったため▲同歩。続いて△9六歩。これも▲同歩。続いての△9五香でもしや、と思いましたが▲同香に△9六角と打たれます。何か錯覚したんだろうなと思いつつ、何もないことを念入りに確認して▲9八飛。このやり取りで流石にだいぶ良くなっただろうと感じていました。

こういうのを無くしていきたい

数手進んで上図。形勢は良いためあとは丁寧に指したいところ。本譜▲8九龍と引きましたが、△4六馬で銀を取られた後△8八銀~△9七桂が少し気になるため▲9七龍の方が勝っていました。また、本譜△4六馬に対して▲同歩と取りましたが、▲同金の方が玉が広く、また金を攻めに使える(上部の抑えになる)ためこちらを選ぶ方がよかったです。こういった比較を正確にできるようになりたい...…

飛車は取られる形に

ここ数手のやり取りでちょっとずつ損をした結果、飛車が捕まりました。
局面自体は勝ちですが、しっかり寄せないと逆転もある展開です。
セオリー通り金を狙い、利かせるだけ利かして▲8八飛。

銀を補充する

本譜は△同歩成に▲1一角と縛りましたが、実際はもっと良い寄せがありました。
まず▲4二銀成と取り、
①△同玉は▲5一角△3二玉▲3三香△同桂▲1二金で必死、
②△同銀は▲4一角△3三玉(△2二玉は▲3二金△1二玉▲2二銀)▲3二金△4四玉に▲3五銀が良い手で必死です。
この寄せが見えるようになったら終盤強くなるんだろうなぁ……

と金と金の効きがごちゃついて見づらい

本譜最後のポイントは上図、△3五金で逃げ道を広げたところ。▲2四歩と打ちましたがこれは詰めろになっていません。代えて▲2七香なら詰めろで、より確実でした。
実戦はそれまでの差が大きかったようで、逆転には至らず、そのまま押し切ることができました。

投了図 ▲1四金まで 総手数137手

全体を振り返って

序盤はいつもの作戦を採用、組みあがりまでは(細かい部分で研究不足はありましたが)ほぼ互角で推移しました。中盤の入り口で謎の読み抜けをして仕掛けられましたが、形勢を損ねていたわけではなく、有利になる順もありました。仕掛け部分について局後に友人に聞いたところ、こういった仕掛けはむしろ先手が良くなるイメージ、という感想もあり、はーそういうもんですかーとなりました。実際対局中の形勢判断は示された評価値とだいぶずれていたため、感覚を修正しないといけないなと思っています。居飛車側としては8筋に手を付けた結果指しすぎになってしまった、といったところでしょうか。
中盤はいくつかチャンスを逃したものの、幸いにも互角の範囲内で収まってくれていたのが大きかったです。
終盤は優勢~勝勢の局面から着地を決められるか、といったところでした。
最速の寄せは逃しましたが、前期の終盤のひどさを考えると勝ち切れてよかったと思っています。まあ寄せの精度は上げないといけませんが……

137手の攻防ののち、無事、初戦を勝利で飾ることができました。あんまり意識してなかったんですが、どうやら指す将の初戦の勝率100%みたいですね。初戦全勝を今後の一つの目標にしたいと思います。

最後に、対局していただいたわんなくさん、観戦していただいた皆さん、ありがとうございました。
ではまた。


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