シェア
1.5(イッテンゴ)
2020年11月7日 21:43
「お手を煩わせちまって」「お得意のあなたの頼みです、訳はありません」 そう言って女は微笑んだ。 「随分と可愛らしいお頼み事ですこと」「本来は産着にするもんなんでやしょうけど」 男はそう言って頭をかいた。「道中、後ろを気にせず歩ければと思いやしてね… 気休めですが」 女が静かに首を振り、手元の刺繍を撫でる。「たかがおまじない、されどおまじない… この縫い『目』がちゃんと見張ってくれ