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1.5(イッテンゴ)
2020年3月8日 06:36
作業場の彼女の目はとても真剣だ。 大きな紙を前に、長い尺を当て、カッターを滑らせる。 シャーッ… 迷いの無い潔い音。 彼女は半端なサイズの余り紙を沢山取り置きしている。それはもう山のような量を。「だって何だか愛しくて」 どうにも捨てられないのだとか。 僕は頬杖をついて、彼女を眺める。 見飽きない。 ふと彼女が目を上げた。「何よ?」「何が?」「…」 彼女は黙っ
2020年3月7日 22:33
先日、川辺に倒れていた子供を拾った。 行く宛ても帰る場所もないと言うので、里親が見つかるまで旅に同行させることにした。 道中、茶店で団子を一皿注文した。「ほれ、食べろ」「…」 拾った時からこうで、まず先には食べない。 こちらが一本摘み上げると一本取る。一口食べると同じように一口食べる。 さて、と俺は独言た。 一皿に五本、一串に団子が三つ。 きれいに分けると一個余る。口に突