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読書ノート 「表徴の帝国」 ロラン・バルト


 カバー写真の「宝誌和尚像」が俊逸。顔の中央がぱっくり割れ、そのなかにまた顔が現れる。その顔は、宝誌和尚その人であり、かつその人でない。玉ねぎのような重層構造を人間は持っているということなのだろうか。表徴=シーニュ=しるし(すべてのイコールはニア・イコールではあるが)をもってして日本を題材に論を展開する。そこにはバルトの驚嘆した日本があり、日本人がそれを読むということは、とめどない誤読の行き着く先をたまたま見ているだけのもの。

「表徴とは裂け目である。そのあいだから覗いているものは、ほかならぬもうひとつの表徴の顔である」

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