見出し画像

「えいがのおそ松さん」の4つの謎。その解釈。

記事をご覧頂きありがとうございます。

※ネタバレばかりです※

先日、私はおそ松さんの映画を鑑賞してきました。
とても面白かったです!
「おそ松さん」らしい面白さや勢いはそのままに、むつごの性格を深く掘り下げている、とても見応えのある内容だと感じました。

しかし、映画を見終わったあと、どうにもスッキリしない疑問が複数残りました。
それは、

①なぜ、「ハタ坊が、突然街に現れた象に襲われて玉突き事故に遭い、飛行機を墜落させた」という事件を、兄弟のうち3人しか覚えていなかったのか?

②「思い出の世界」とは、そもそもいったい誰の思い出から構築されたものなのか?

③黒猫の正体は?

④「後悔」の念を抱いていたのはカラ松であったと結論づけられていたが、果たして本当にそうだったのか??

ということです。

これらの謎について、帰宅後、ずっと頭を悩ませていました。そして、私なりの結論が出せましたので、こうして記事を書いてみることに致しました。
以下はかなりの長文になりますが、分かりやすく書くように心がけております。
最後までお読みいただけましたら、とても嬉しいです。

まず、一つめの謎についてです。

「なぜ、ハタ坊が象に襲われて玉突き事故に遭ったという大事件を、3人しか覚えていなかったのか?」

これについて迷ったのは、「象事件」が、過去に実際起きた事実なのか、それとも、「思い出の世界」で捏造された出来事なのか、ということです。
私の結論は、「『象事件』は、捏造された記憶上の出来事である」です。
その根拠について詳しく説明します。

初めに、高校時代の登場人物は、むつごを含め、誰一人としてメタ発言をしていません。トト子ちゃんが「ヒロインなんて嫌だ」と叫んでいましたが、あれも、「クラスの中のアイドル」と同じような意味で言ったのでしょう。
また、高校時代では、「おそ松さん」につきものである超常現象も起こりません。現在の六つ子が介入して起こる異常な出来事に、誰もが心から混乱し怯えています。
加えて、『象事件』が実際の出来事だとしたら、同窓会で、全くその話題に触れられていないのは不自然です。あれだけの大事件は、必ずニュースになり、地元の人は何年経っても忘れることはないでしょう。

これらのことから、高校時代の世界は、至ってノーマルなものであったと結論づけることができます。
漫画やアニメの世界ではありません(時系列的にも、「おそ松くん」と「おそ松さん」の間の時代です)。
象が乱入してくるはずのない、平和でありふれた世界です。

以上のことから、『象事件』は捏造された記憶上の事件であることが分かりました。

それでは、兄弟の中で、なぜ3人(おそ松、一松、十四松)だけがその記憶を持っていたのでしょう。
それは、その記憶を持つ3人だけが、先に思い出の世界に行っていたと考えることで、納得できます。
3人だけが、他の3人よりも先に、思い出の世界を旅していたのです。
しかし、その3人だけでは、後悔の原因をつきとめ、過去を変えることはできませんでした。そこで、3人はいったん現在の世界に戻ってきます。「思い出の世界に行っていた」という記憶だけを失くして。
終盤でカラ松が目覚めた時、何をしていたのかなかなか思い出せなかったシーンも、「思い出の世界」における記憶は、夢のように淡く忘れやすいということを示しています。

そして、6人全員で「思い出の世界」に行った時、彼らは協力することで「後悔」を晴らし、過去を変えることができたのです。
これはアニメの「おそ松さん」でも、たびたびテーマにされていることです。誰か一人でも欠けていては解決できなかったことを、むつごは団結することで実現してきました。
6人の絆」。
それを際立たせるために、まず3人だけが思い出の世界に行って、失敗して帰ってきたという裏設定があったのではないか......と私は考えています。
6人居てこそ、むつごです。おそ松さんです。
3人だけでは過去を変えることはできず、それどころか、象が突然出てくるような、頓珍漢な世界を作ってしまったのです。

これで、1つ目の謎
「なぜ3人だけが『象事件』を覚えていたのか」
については、解決できました。

しかし、実は、なぜこの3人だったのか、私の中でまだ結論は出ておりません。おそ松、一松、十四松に共通するところといえば、名前に片仮名が含まれないことくらいです。なにか関係はあるのでしょうか。


......気を取り直して、次の謎に移りましょう。

「思い出の世界」とは、そもそもいったい誰の思い出から構築されたものなのか?

私の至った結論は、「むつご達全員の記憶から構築された世界である」です。

まず、高校時代の街並みは、広範囲に渡ってだいたい補完されていました。それは、6人の記憶が合わさったからこそではないでしょうか。
誰か1人だけの思い出の世界であったなら、場所によって、思い出し方にもっとバラツキがあっただろうと考えられます。

また、6人の複合の記憶ではなく、誰か一人だけの記憶の世界であったなら、「一人きりでいるときの行動さえも、逐一補完されている」というのは、とても不自然な現象なのです。

たとえば、「思い出の世界」が、カラ松1人だけの記憶から構築された世界であるとします。
その場合、たとえばチョロ松が校門から出て先生と会話しているシーンなどは、「思い出の世界」に現れるはずがないのです。なぜなら、カラ松はそこにいなかったのですから。見ていなかったことは、思い出せるわけがありません。他にもこのようなシーンは沢山ありました。

これらのことを考え合わせると、「思い出の世界は、6人がそれぞれ、記憶を補完しあって構築された世界である」と結論づけることができます。

これで、2つ目の謎についても、解決できました。

それでは、3つ目の謎にいきましょう。

黒猫の正体は?
これは分かりやすかったです。高橋のぞみ さんだと結論づけて、間違いないと思われます。
最初のシーンで、高橋さんが横たわっている病室の窓辺から、黒猫がするりと抜け出しました。まるで死に際に魂がふらりと抜け出して、浮世を浮遊するかのように。
また、高橋さんの家をなぜか知っていたことからも、黒猫=高橋さんであると、断定していいのではないでしょうか。


それでは、いよいよ最後の謎に移りましょう。

「後悔」の念を抱いていたのはカラ松であったと結論づけられていたが、果たして本当にそうなのか??

私の考えは、「『後悔』の念を抱いていたのは、実はむつごのうちの誰かではなく、高橋さんだった」です。
高橋さんは、仲のいい六つ子が大好きでした。だから、自分が出した手紙が間接的な原因となって、むつごが大喧嘩してしまったことに、とても心を痛めていたでしょう。写真を一緒に撮りたくて、追いかけているときに、偶然喧嘩の様子を目にしてしまったのかもしれませんね。大人しい性格の高橋さんでは、6人の男子の喧嘩に割って入ることは、とてもできなかったでしょう。
実際、トト子ちゃんがむつごがどこにいるかを他の人に尋ねているらしきシーンがありますが、そこには、高橋さんの姿はありません。高橋さんがいつもむつごを見ていたと知っていたトト子ちゃんなら、真っ先に高橋さんに尋ねているはずです。

屋上で喧嘩しているむつごを見て、黒猫はとても悲しそうな顔をしていました。
むつごの不和の間接的な原因となってしまったこと。
それが高橋さんの大きな後悔となっており、死に面した際、その強い思いが黒猫という形をとって、おそ松たちの前に現れたのではないでしょうか。
つまり、高橋さんの望みは、「むつごが絆を取り戻すこと」でした。

その望みは、猫に導かれたおそ松たちが過去の自分たちに出会うことで、見事に叶えられました。
病室の高橋さんの生死は分かりませんが、きっと最後に亡くなってしまったのではないか......と勝手に想像しています。全て「のぞみ」が叶えられたこと。もう、思い残すことは、きっとないでしょう。死に面した時に感じる後悔は、最も重く、大きいのです。


以上が、「えいがのおそ松さん」を見て私が感じた疑問と、その解釈です。
大変長くなり、また長文を書き慣れていないため乱文で、相当読みづらかったことと思います。
最後まで目を通してくださいました方、本当にありがとうございます。いかがでしたでしょうか。

これは1回しか観ていない時点での感想ですので、多々思い違いがあるかもしれません。これからまた映画を観て、必要があれば、修正したいと思います。

最後に、おそ松さんの第3期、それ以上の長期アニメになることを願って、締めくくりたいと思います。
おそまつさんでした!!

#えいがのおそ松さん
#おそ松さん
#えいがのおそ松さん考察
#感想