見出し画像

「あ〜、観たい映画がU-NEXTにしかない!」でお馴染みの会社の歴史に迫る。【U-NEXTのゆるふわ企業研究#5】

僕はただ、英語ができるようになりたいだけだった。

そんなすごく安直で、安易で、軽薄な気持ちで、Amazon primeやNetflix(僕はこの2つしか加入していなかった)にて当時、配信されていたシットコムの「Friends」を見始めた。

これが、僕の中のU-NEXTへの眠れる怒りを呼び覚ますとも知らずに。

=============

Friends」(以下「フレンズ」とよぶが)、これは1994年から2004年にかけてアメリカをはじめとする世界各国で放映され、圧倒的な人気を博したシチュエーションコメディドラマだ。

もう冗談抜きで面白い。なぜ令和に生まれ、目が肥えた僕がこれほどまでに熱中する作品が、30年ほど前に生まれていたのか、全くの謎である。

リスニングの練習としてみるか〜」という程度の軽い気持ちでフレンズを身始めた僕は、気づけばどっぷりフレンズ沼にハマっていた。一瞬で、だ。

いつ斬られたのかすらわからなかった。

今でも忘れないが、23時くらいにベッドに入って、とりあえず1話だけ見るか、という感じで息巻いて視聴を始めたら、気づけば20話くらい観て翌日の昼前あたりになっていた。

そのまま、あくる日もあくる日も時間が許す限り、フレンズを見た。

雨の日も、風の日も、天皇誕生日も、ゼレンスキーの誕生日も、プーチンの誕生日も、いつだってフレンズを観た。フレンズの前で人類は皆平等だ。

世界平和の鍵はフレンズにあると言っても過言ではないということはさすがにない。

そして、気づけば3周くらいして、英語聞き取り能力も向上していた。願ってもみない結末だ。エンディングどころか数話おきに号泣し、爆笑し、驚き、喚き散らした。興奮し、ジャンプしすぎて下の階の住人から怒鳴られたこともあった。まぁ一階に住んでいたのだが。

エンディングはもう涙で、前どころか、未来が見えなかった。明後日くらいまでならギリ見えた。

この写真を見るだけで、涙ぐんでしまうくらいには調教されてしまった。

そして、「ついに観終わってしまった」、という現実はあまりにも残酷に、重く、重く僕にのしかかった。

しかし、人間とは不思議だ。

時が経つことで、徐々に「フレンズロス」は失われていった。しかし、フレンズを失った僕は、フレンズだけではなく、人生の輝きまで失ってしまっていた。

もはや、何が起きても、楽しめなかった。なぜならフレンズはもう見れないのだから。

悲しめなかった。フレンズを観終わったこと以上に悲しいことなんてこの世にはないのだから。

笑えなかった。フレンズに登場する仲間たちと一緒に笑うこと以上に、愉快なことなどないと思えたから。

そんな淡白で、味気ない僕の日々は、ある出会いによって一変する。

フレンズ:ザ・リユニオン」だ。

簡単にいうと、2004年に終わった番組のキャストが集まって、一夜限りのドリームマッチをする、という趣旨の番組だ。

この番組を見つけた時の思いは、何物にも変えがたいものだった。一種の神秘体験と言ってもいい。この日を境に、僕は敬虔なキリスト信徒になっていたかもしれない。

こうして僕は、早速この番組を見ようとした。

そして絶望した。

NetflixとAmazon primeしか加入していない僕にとって、さらにU-NEXTに加入するのは気乗りしない選択だった。学生にとってサブスクは限りある収入を搾り取ってくる悪夢的所業だ。

さらにいうと、友人などから勧められた映画のほとんどはU-NEXTの独占配信だった、という苦い思い出もあった。



とかごちゃごちゃ考える暇もなく、一瞬で課金し、一瞬でザ・リユニオンを見たのだった。

==============

改めてこんにちは、ほんもとといいます。茶番はこの辺りにして、早速本編に行きましょう。今回はUSENホールディングスが運営するU-NEXTの歴史に迫りながら、その面白い戦略について見ていこうと思います。

茶番とはいえ、冒頭にお話ししたものは全て事実で、実際に流れるように課金させられてしまったのです。これはある意味、U-NEXTがNetflixやAmazon primeなどの先駆者かつマーケットリーダーを打ち破るための戦略の凄さを示唆していると思います。

もちろんですが、僕はU-NEXTへの恨みも怒りも全くありません。そこだけフィクションです。

ということで、早速、U-NEXTについて見ていきましょう。

単発でもいいですが、マガジンで読むと2倍以上はお得になるように記事を書いています。

U-NEXTの概要

U-NEXTってご存知でしょうか?

USEN-NEXT HDの子会社、株式会社U-NEXTが運営するプラットフォームで、OTTコンテンツ・プラットフォームという事業を行っています。

ここから先は

4,148字 / 7画像

¥ 780

サポートしてくれる人は神です。感謝永遠に。TwitterのツイートやDMでサポートを報告してくれればより一層嬉しいです。