『天然コケッコー』を一気読みしたら一気に感情が溢れてきた
くらもちふさこさんの『天然コケッコー』を読みました。
読もうと思ったきっかけは、ちょっと変だと思います。
私は竹久夢二のにわかファンなので、文京区にある竹久夢二美術館に行きたくなりました。竹久夢二美術館について調べていると、同じ敷地内にある弥生美術館にも同じチケットで入れると知りました。
「どうせならどっちも行こう」と思って、弥生美術館の企画展を調べてみると、
「デビュー50周年記念 くらもちふさこ展 ―デビュー作から『いつもポケットにショパン』『天然コケッコー』『花に染む』まで―」
が開催されていることがわかりました。
私は漫画に明るくないので、くらもちふさこさんを知りませんでした。
でも、『天然コケッコー』という作品は知っていました。夏帆さんと岡田将生さんで実写化されていたので、聞いたことがありました。
私の性格上、知ったかぶりは嫌いというか、逆に知ったかぶりたいというか、くらもちふさこ展に行くなら、くらもちふさこ作品を読んでないといけないという使命感がありました。
くらもちふさこさんの作品をインターネットでザッと試し読みして、気になったのがあれば続きを読もうかな〜くらいに思ってました。
が、どれもおもしろい、、。繊細な絵と、独特な話の展開。全部続きを読みたくなりました。
でもその中でも、やっぱり、『天然コケッコー』を読み進めたいと思いました。
実写化されていて有名というのもあるけど、やっぱりそれだけ多くの人に愛された作品は、大衆の中の私にも刺さりました。
漫画は紙派なので、メルカリで全巻まとめて購入しました。常に金欠人間ですが、中古価格ならなんとか大人買いできました。
文庫版を買ったのですが、コンパクトでカラフルで、これは全巻揃えて飾りたいと思う漫画だったので、大人買いして正解でした。
あらすじは読んでほしいので細かく言いません。
そよちゃんと大沢くんという人が出てきて、田舎での日常が描かれているということだけ伝えておきます。
2人はとても儚くて、青春のその一瞬を、読者の私なんかが決して入ることのできないその空間を、2人は生きています。
2人のお互いを思いやる気持ちとか、素直になれない態度とか、全部が愛しいです。
他の登場人物もひとりひとりがとても愛らしく、みんなに愛着が湧きます。
おもしろくてどんどん読み進めてしまいましたが、7巻くらいになると1ページ1ページ大事に読みました。9巻で終わってしまうことはわかっていたので、私の中の物語がなるべく終わらないように、ゆっくり、大事に読みました。
最終巻ではじめて涙が出ました。前の巻でもめちゃくちゃ感動していたのですが、最終巻で、今までのが全部押し寄せてきたのと、ああ、もうすぐそよちゃんと大沢くんの物語が終わってしまうという感情で、涙が出ました。
最終巻は本当に苦しくて、はやくみんなが幸せになってくれないかな、と願いました。
結末はもちろん言いませんが、この後そよちゃんと大沢くんと田舎のみんながどのように成長していくのかを私は知ることができないと思うと、急に悲しくなりました。
最後のページを読んで、本を閉じて、私はボーッとしました。なんかわかんないけど、今はそよちゃんと大沢くんのことしか考えたくないし、他のことは考えられませんでした。
田舎という環境でそよちゃんと大沢くんは出会ったわけだけど、もし、出会った場所が東京だったら、もし、出会った時期が違かったら、
もしかしたら、
この2人はこんなにお互いを想い合うことはなかったんだなあと思うと、これを奇跡とか言うのかなあと思います。クサいですが。
物語の中の、田舎で暮らすそよちゃんと大沢くんは、
息苦しそうで、
窮屈そうで、
面倒くさそうで、
楽しそうで、
幸せそうでした。
私は生まれてからずっと東京に住んでいます。田舎というものがないから、自分の故郷は東京だから、東京が息苦しくなっても、帰る場所も東京です。田舎に住むみんながなんか羨ましくなりました。
とにかく、2人がこれからも私の知らないところで、幸せに生きていてくれたらいいな、と思います。
『天然コケッコー』、本当に読んでよかった作品です。間違いなく私の中の好きな漫画ベスト3に入ります。
思い出しただけでいろんな感情が溢れてきます。胸がキュッてなります。
しばらくは、この余韻ともちょっと違う、このあたたかくて切ない感情を引きずると思います。
登場人物に感情移入したり、想いを馳せたりすると思います。
こうやって、私の中で、みんなを生き続けさせたいと思います。
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