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「〇〇〇」校正作業における現状の問題点と改善点

【2015年某日の記録】

【〇〇〇の校正作業時の問題点についての個人的所見】
◆〇〇〇と〇〇〇編集部との相反する赤字修正(改行時のカギの字下げなどの違い)に各担当者が迷う。
◆その日のうちにどこまで作業を進めるのかが伝わってこないため自分のペース配分がわかりにくい。
◆〇〇〇編集部の原稿の遅れに対して、〇〇〇の締切がタイトすぎる場合がある。
◆タイトなスケジュールをそのまま調整されないきらいがある。

【校正のやり方についての個人的所見】
◆「スピード」が要求されることが多く、無理に急ぐ校正をしているのが現状。それでも無理な締切に間に合わせているため現状の拙速なやり方が当たり前になっているように感じる。
◆「校正ミス」は現状では出ることがやむを得ない状況にもかかわらず、〇〇〇、〇〇〇の締切時間を含めた要求は多少無理があると感じざるを得ない。
◆初めからすべての校正ミスを出さないというやり方は難しい。できるだけミスを早い段階で「消していく」というイメージで、「当然でているミスをできるだけ多く洗い出す」という加点方式の作業が精神疲労を軽減するのではないかと感じる。

【改善点についての個人的所見】
◆〇〇〇と〇〇〇編集部との相反する赤字修正(改行時のカギの字下げなどの違い)に早い段階で対応し解決することが習慣化すること。
◆〇〇〇からの原稿の遅れに対して、〇〇〇の締切がタイトすぎることを調整してもらうことが望ましい(担当からは調整が難しい場合、上司に間に入ってもらうことも検討することが望ましい)。
◆無理な工程スケジュールにならないように編集チーム全体としてスケジュールを調整することが望ましい。
※各業務の時間当たりの疲労度や年齢による蓄積疲労という視点が欠けていると感じる。それぞれの業務の違いを考慮できる進行が望ましいと感じる。
◆校正紙の時系列管理、すぐにミスの原因をつきとめられる原稿管理体制の確立が望ましい。
◆デザイナー同士の「〇〇〇」独特の組版の共通理解とデザイナーと校正、編集各担当との共通理解をスムーズにすることが望ましい。
◆校正技術を理解することと、校正の基礎を身に付けることが望ましい。

【校正のやり方について】
1、 原稿指定について
「〇〇〇」からの原稿は不完全なものがほとんどであるため、各作業の時間短縮のために編集担当が原稿を受け取った時点でわかる範囲で、「デザイナー」「校正者」が作業しやすいようにできるだけ原稿の指定の不備や誤りを直すことが望ましい(時間短縮や効率化をイメージしながら行う)。
■〇〇〇ページの原稿指定
◇〇〇〇ページは前号の最終カンプを再利用してそのカンプ自体にページノンブルの指定等を入れて「校正者」に回す。補足情報や追加の情報があれば各担当者の作業がやりやすいように考えて書き入れる。
■〇〇〇ページの原稿指定
◇「編集担当」が原稿のほか写真、キャプション、図版、表などの先方からの指定に必ず目を通し、「デザイナー」「校正者」のケアレスミスなどを軽減できるような原稿整理をすることが望ましい。

2、 デザイナーの確認事項
◇「デザイナー」はまず仕上がったカンプを一通り見て、誤りがないか簡単に確認する。
※不備があった場合はその際に直さず赤字やメモ等を書き入れて「編集」「校正」担当へ「次回のカンプで直すこと」がわかるよう渡す。
◇「指定外変化」によるミスを減らすため、「デザイナー」が作業で関わった箇所には黄マーカーなどを使い、「校正担当」「編集担当」に変更箇所を必ず知らせる(多くの校正漏れは指定外変化から生まれやすいため、明確にしておくことが望ましい)。
※字送り、行送り調整での指定外変化のミスが多いため、行調整を行った箇所は必ずマーカーが必要。
◇出力した日付時間をプリントするかまたは書き記す。
※ヘッダーやフッターをつけても可。
◇作業の終わった原稿は作業後に順番が入れ替わった場合などは、初めの通りに並べ替えて校正へ回す。

3、 カンプの管理について
◇仕上がったカンプに「1(初)校」「2校」「3校」のように何回目の作業であるかがわかるようを書き入れる。デザイナー、編集、校正の誰でも構わないので、必ず書き記す(プロ校時および原稿管理において時系列の順の管理は重要である。ミスの原因を探る際にも、時系列管理は有効)。
※校数は間違っていても気づいた人間が修正すればよいので、気づいたら書く習慣化が望まれる。
◇担当者はそれぞれ日付、時間を書き入れる。校正者は校正にかかった時間を書き入れるほうが望ましい(おおよその時間でも校正時間概算を出す際に便利である。外注校正者への依頼時の作業時間の目安にもなる)。

4、 〇〇〇ページの校正のやり方および注意点
◇校正担当者はその前号カンプの最終データと初校カンプとめくり合わせ校正や突合せ校正をして照合する。
◇前回のカンプに原稿が見当たらない場合は、「編集担当」がバックナンバーからコピーをとるなどして、「ファイル内にまとめられた資料だけで校正が進められる」ように配慮する。
◇スペックは最新の「〇〇〇表」と照合してチェック済み箇所は黄マーカーでわかるようにする(「プロ校」でももう一度スペックをチェック。合計2回が望ましい。2回の確認でかなりミスを減らせる。スペックチェックの一度目は「プロ校」担当者でなくても誰が行ってもよい)。

■〇〇〇ページの原稿指定
◇スペックは「参考小売価格表」をもとにチェックをし、黄色マーカーをつけて区別する。スペックはプロ校時にも行う。合計2回のチェックでミスをかなり軽減できる。

5、 〇〇〇ページの校正のやり方および注意点
◇表記基準は「制作ルールブック」「〇〇〇のハンドブック」を参考にする。過剰な表記統一はせず、原則「原稿通り」に進める。
◇原稿突合せは一字一字行う。赤字照合時にも赤字は一字一字照合すること。
◇素読みは原則初校時のみでよい。ただし、原稿突合せは可能であれば二名、合計二回行うことがのぞましい。

6、 辞典類およびハンドブック等の使い方
◇まず「制作ルールブック」の表記を優先し、その次に「〇〇〇」を引く。明らかな日本語の誤りは、「広辞苑」などの書籍で確認をすることが望ましい。「〇〇〇」など適宜コピーを添付して必要なら先方にも示す。
◇原則決定的な間違い以外は鉛筆出しの疑問にとどめ、担当ライターに判断は任せること。根拠のない赤字は避けることが重要。
※原則として「ネット情報」は資料として扱わない。ネット情報はほとんどが校正・校閲されていないものであるため「ウィキペディア」などの情報は参考までにとどめ、先方への裏付け資料には書籍の辞典類以外は使わないこと。
 
7、 スケールの使い方
◇級数やポイントのスケールを使うことが時間短縮および媒体の版面の理解をするうえで望ましい(「見た目で空いて見えるだけなのか」実際に「どのくらい空いているのか」を即時に判別することができるため)。スケールの使い方をマスターすれば、校正の時間が短縮できる。

8、 プロ校のやり方
◇プロ校のやり方は〇〇〇氏がレクチャーしたやり方を参考に行う。
※プロ校は「見る」作業に重点を置き本文の内容よりも原稿や朱書きが反映されているかを時系列で追って確認することを優先する。赤字を一字一字確認し、「版面」の確認を含め、体裁、ノンブル、見出しなどの「大きい部分」を優先して確認する。販売面ではもう一度スペックを確認することが望ましい。修正漏れはまず「編集担当」に確認する。自分の判断だけで赤字をださないことが望ましい。
※〇〇〇については特に重要なのは〇〇〇社からのチェックバックの赤字照合とその後の字送り調整の確認、指定外変化の確認である。

9、 赤字照合や原稿突合せの仕方
◇原稿突合せおよび赤字照合は一字一字行う。音読による誤認識を避けるために、より視覚に重点を置いた校正がミスを回避するポイント。
◇赤字照合は一度目が終わったらめくり合わせ校正をして指定外変化を確認する。その後もう一度赤字照合を再度行うのが望ましい(合計3回の赤字照合を一人が行う計算となる)。

10、 その他の校正のポイント
◇付箋は必ずセロテープで補強する。
◇校了カンプは可能であればすべてのページをプリントしたものをひと箱にまとめ、先方の電話対応時や校正漏れの連絡が来た際にすぐ確認できるようにすることが望ましい。
◇「〇〇〇」の校正に関しては、1回目に必ずしも「校正担当」が校正をしなくてもよい。「〇〇〇」は原則「原稿通り」であり、原稿照合も赤字照合もダブルチェックが望ましいことと、時間的に未校正カンプが手つかずのまま保留中になることは避けることが望ましい。

【まとめ】
◆「〇〇〇」は原則「原稿通り」で「朱書き通り」である。言い換えれば、「原稿通り」で「朱書き通り」であればよい。
◆「〇〇〇」でのミスのほとんどは「原稿照合ミス」「朱書き照合ミス」「指定外変化箇所のミス」である。原稿照合、朱書き照合、指定外変化のチェックを確実に行えばミスは起きにくい。
◆「スペック(品番、商品名等)」「固有名詞(人名、組織名、商品名等)」「著作権・商標登録などの権利関係の表示」を間違いなく表記されていれば大きな問題にはなりにくい。よって、そのことを意識して校正すれば問題は起きにくい。
◆版面や体裁の優先順位は上記三点に比べればウェートは多少下がるとはいえ、組版を〇〇〇で行っている以上、体裁の崩れや乱れは印刷物の品質の良しあしにつながるため、プロ校などにおいては基本的な体裁は必ず確認することが必要(柱、ツメ柱、版面の位置のずれの確認、帯色の整合性その他)。
◆繁忙期の校正は「通常の校正の精度は期待できないことを自覚」して、ダブルチェックやトリプルチェックを行い、事故が起きないような配慮があることが望ましい。
◆校了、下版等は拙速になることは避け、できるだけ夜遅い時点での作業でなく、可能な限り過度の疲労状態の校了、下版等は避けるのが望ましい。
◆印刷入稿後、下版までの数日間の時間の使い方が重要。特に重要と思われることを優先的に校正することが望ましい(スペック、表紙まわり、住所、URL、巻頭記事、ノンブル、大見出し、小見出し、大きな図版、表番号、固有名詞等――本文は固有名詞等以外は見なくてもよい)。


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