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【神社のお話:なぜ、海辺でもないのに海の神様が祀られているのでしょうか?】

【2017年11月29日記録】
私の生まれは遠州森町。静岡県西部の人口2万人ほどの小さい町の病院で生まれました。その近くに欽明天皇の時代の創建といわれる天宮神社があります。6世紀中ごろと考えますと1500年前というほんまかというくらい古い神社さんです。

この神社の御神体は宗像三神です。そうです。あの福岡県の世界遺産と同じ神様ですね。

遠州森町は海から20キロ以上離れていて、実際に行ってみると海は全く見えませんし、山脈が始まるあたりですので、なぜ航海の神様がまつられているのか多少不思議な感じがします。

江戸時代には船が近くを流れる太田川を上ってきていたという話もありますが、それにしてもなぜ海上交通の神様なのかと長年疑問を抱いてきました。
 
あるとき校正の資料検索の際に「古代の海岸線」の地図を偶然目にしたことがありました。その時に、「ああ、海岸線は時代によっていまとは違っていたのだ」ということを知りました。

先ほどの天宮神社は現在では町中にあるのですが、元々の本殿ははるか山の上にあったそうです。物の本にあるように、日本にあるかなりの神社さんが山頂など高所にあるのは「ランドマーク」であったのではないかと思います。

ですから、今よりかなり航路は北側にあったのかもしれません。「ランドマーク」として天宮神社が役割を果たしていたのかもしれません。遠州灘は波が荒い難所でもありました。航海中にも海から航海の神を拝めるということには今では想像できないような大きな意味があったように思うのです。
 
 
 【おしまい】

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