3年越しのカヌレドボルドーづくり
時刻は3:33、まだ朝だ。私はカヌレを作った。
遂に作った、カヌレ。それは3年前に遡る。
カヌレとの出会い
カヌレとの出会いは普通です。
お菓子屋さんの冷蔵ショーケースの上に置かれていた、可愛らしいそのカヌレを買ったことです。
美味しそう
買う
食べる
あら美味しい
よくある、へぇなるほど、表面はカリッとしてて、中はもちもち。
大好きなラム酒の香りのお菓子で、また買いたいと願いました。
みつろうとの出会い
みつろうエコラップのワークショップ活動をすすめるうちに、その蜜蝋への興味関心が湧いたのです。提供者の愛情に衝撃を受けたことによります。
オーガニック養蜂を伝え
オーガニック養蜂家を育て
オーガニック蜂蜜・蜜蝋を適正な価格で買い取り
フィードバックし養蜂家を育てる
蜜蝋は余分な熱源を発生させず
暑いサンルームで
生産物のナッツの殻を炊き
貯めた雨水を熱して精製作業をする人がいる。
私がワークショップで使う蜜蝋を扱っている人は、何と愛情深かったのか。
北海道で純粋に養蜂をしている女性を思い出しながら、SNS投稿で蜜蝋精製がしたいと書いたところ、なんと彼女から一緒に精製しましょうと声をかけてもらった。それはそれは、心のままに台所で踊ったのではないかと振り返ります。
みつろうを精製した時は、エコラップへの利用を考えていました。そこから調べること、蜜蝋はリップバームや家具の艶出しなどに使われることを、その時になってたどり着きました。
そして不意に浮かんだそれは、、、「カヌレを作りたい!」でした。
カヌレと蜜蝋①
カヌレとはフランス語による菓子名で、正式にはカヌレドボルドーと言われるとのこと。元々はフランスのボルドー女子修道院で作られていた焼き菓子で、小麦粉、牛乳、バター、卵、ラム酒などから作られる生地をオーブンで焼いた菓子で、カヌレ型(溝のついた意)と言われる特徴的な型に入れて焼かれたものになるのだそう。このボルドー女子修道院では養蜂もしており、そこで型の内側にはバターなどを塗るのではなく蜜蝋が使われたのではというお話です。
(ウィキペディアなど参照)
精製して持ち帰った蜜蝋は、エコラップ用の使い心地の研究に使いました。蜜蝋100%とオイルとブレンドした比較など、しかしながら何とも勿体なくて、大切に保管してしまうのでした。
ネットで調べた「蜜蝋を使ったカヌレ」では、どうやら高温で焼くらしく、まだ幼子のいる我が家では簡単ではなさそうだなぁ。
でもいつか何とかしてカヌレを作り、さらには彼女に持っていきたい、、、!と強く願いました。
いつ持っていくの?今日でしょ。
野菜ソムリエのコミュニティ役員になり、担当者の変更から私に回ってきた「卵の企画」。それはただの想像でしかなかったけど、養蜂のほか養鶏もしているあの彼女の元へいく企画へと正式に決まりました。
中々進まない遂行状況のほか、冬の季節に入ること、鳥インフルエンザへの不安などがよぎり、いよいよ延期になってしまうのかと思ったものです。それでも、募集期間を一週間しか無いにも関わらず、お申し込みもいただき期日が迫りました。
いつ持っていくの?今でしょ!
直前の不安
いよいよ明日が前日よというその日。息子のクラスに学級閉鎖が決まりました。息子が濃厚接触者にあたるようです。何でなのか、この卵の企画は私が足踏みするような出来事が多々降りかかります。
前日は娘の発表会。よし、生地を作っておこう。生地は一晩寝かせて焼成するからです。前日に焼きあがった方が安心だし。生地は冷蔵庫にいれました。
発表会も無事終わり、誰も具合が悪くなることなく迎えたイベント前日。が、私の頭痛が取れず、企画書を仕上げるなど内部書類に時間をかけていたら睡眠時間が1時間しかなく、3児の母としては痛い状況が続きます。夕飯後に襲ってきた寒気と睡魔に、つい眠ってしまいました。カヌレは、、、?
夜中のカヌレ
なんども起きようとしたけど起きれません。
なんども起きたけど頭痛が取れません。
思い出しました、そうだ、珈琲を飲んでいない!
私はカフェイン不足による頭痛だということに全く気づいていなかったのです。
もしやの家族陽性に備え、たくさんの買い出しをしながら、なんとなく買ったスターバックスのドリップパック。まさか、ここで役に立つとは。
いつもは豆をミルで挽いてのんびり淹れる珈琲ですが、頭痛があっては何もできません。頭痛が吐き気に変わってきた、もうぎりぎりです。蒸らしを忘れてしまいました。一口目は具合が悪いほどだった珈琲ですが、一杯飲むと、、すっきり!
いざゆかん、カヌレへの道へ。
カヌレと蜜蝋②
あきらかに生地の量が多い。型は6個、これは2回分焼くことになりそうだ。心に不安があると、つい体が躊躇する。しかし、朝を迎えたらもう行かねばならない。すぐに焼成準備をしました。
蜜蝋を鍋で少量とかし、濾過用に使っていた手ぬぐいのハギレを箸でつまみ、型に沿わせてみた。ゴワゴワ。型が冷えていたので、ハギレにしみた蜜蝋が冷えてカチカチになってしまい、塗れません。しまった。
オーブンで型を温め、無事に塗り終わりました。温めた蜜蝋を型に注いで、次の方にそそぎ入れると想像していたけど、台所の片付けを考慮してこの方法にしました。
カヌレを焼く
匙を使って生地を型に注ぎ、いざ焼成。
210度30分160度30分焼きました。前半に上面が焼けるのが見え、中盤で型から焼けた生地が持ち上がり、後半は、、焦げてる!
慌てて取り出したものの、型から外すと型の底のほうが焼きが甘いようで焼き色に及んでいませんでした。でも、切ってみると、中は焼泡も入っていて良好。ここで取り出すことにしました。
美味しい
普通に美味しい
しかし、普通に美味しい
時間の経過とともに落ち着いてきたけれど、蜜蝋が薄かったのか、カヌレ型のトップのところがフニュっとしてしまう。
2回目は200度で60分、どうでしょう。
型に軽く蜜蝋を塗うり直して生地を注ぎました。残り10分、型から生地が持ち上がっている。だから、底面が焼けなかったのかもしれない。さっきより上部の焼き色には焦げ感はなく、火の通りが心配になる程である。
しかしいい匂いがしてきた。
2回目もカヌレ型のトップが焼きつかない。もしかしたら、どこかのサイトで見た「高温で」のフレーズは、250度だったような気がするから、最初にがっつり焼き付けるのかもしれない。まだ熱い天板に、型からはみ出た蜜蝋が固まっていないから、いくつかのカヌレにその蜜蝋を塗った。どうなるかな。
カヌレの挑戦
卵の企画遂行がどうのこうので足踏みしていたのは、私のカヌレへのチャレンジが影響しているように思えてなりません。だって、絶対彼女に持っていくのはここだって決めたんですもの。
私にとって大きな一歩だったその時、2回目の生地を流し込んでいる時、このままカヌレを焼く人になりたいと願い妄想しました。
ただカヌレにこだわって焼いている人がいる、面白い。
カヌレとわたし
ただカヌレにこだわって焼いている人がいる、そんな人に私はなりたい。
そう思うと次に何をしようか、楽しくてならない。
この後7:00に家を出て、卵の企画で彼女の元を訪れる。しかし今、卵の企画でというより、カヌレを渡したいそれだけなのがよくわかる。
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