【緊急事態日記2】新宿区+渋谷区+豊島区は○万人
4月15日(水)、8日目。
AM7:30起床。晴れ。
朝食はコーヒーのみ。本日はリモートではなく、久々に出勤する。
暑すぎず、寒すぎずの4月っぽい朝。そういえば、こういう体感、久々だなと駅に向かいながら思う。
通勤電車は窓が開いているだけでなく、空いていた。空いてはいたが、やはり出勤する人って結構いた。地下鉄もしかり。
ここが感染経路をたぐれない患者数が増える最大の原因だろうにと思う(自分も乗っていて何ですが)。
電車を止めるって難しいだろうけど、出勤しないとできない仕事(インフラとか治安とか医療とかの業種を除く)って、一般的な会社であれば多くない、というのがやってみての肌感覚。
新しいことはできない。けど、業務の維持であればできる。いつもとやり方が変わるけど、それだけ。
一定期間をしのぐという前提が今回のコロナに成立するかわからないのが難しいけど、自覚とか覚悟の問題な気がする。
と、この日現在は思う。だって、出勤しているのにZOOM会議って、とんちんかんすぎる……。
ビル内の飲食店も営業休止が目立つ。昼飯は開いていたとんかつ屋でロースカツ定食を食べる。久しぶり。
昔からある家族経営の喫茶店の前を通ると、テイクアウトできますの看板が。出勤者が減り、さすがに始めたらしい。
コーヒーを持ち帰りする。「またお願いします」と2度も言われ、「必ず来ます」となんだか大仰な答えをしてしまう。こんなところにも、非日常を感じる。
人と人との接触を減らすといった対策を全く取らなければ、新型コロナで国内で約85万人がICU入りなど重篤化し、そのうち約42万人が死亡する可能性もあるという試算のニュースを知る。
厚生労働省のクラスター対策班が発表したそうだ。かなりの危機意識なんだろう。というか、専門家的にはもう限りなく手遅れだと思う、というのが正直なところかもしれない。
ふと、約85万人ってどんな感じかなと思い、東京都のHPを見る。世田谷区は90万人以上いるんだとか、自治体の人口をつらつら足したり引いたりしてみたら……
新宿区+渋谷区+豊島区を足した数
だった!
新宿・渋谷・原宿・池袋・高田馬場あたりの人がみんなICUにいる状態って……。そういうことはないんだけど、量的なイメージとして、ちょっと想像を絶するなと思い、この数字を一筆に記す。
18:00、帰宅を始める。帰りの電車は、朝よりも人が多くて驚いた。
晩ご飯はカレー。
電車は、混雑とは言わないけど、空いているとはとても言えない。あしたからは再び在宅勤務でおとなしくしようと思いつつ寝ることにする。
22:00、就寝。
4月16日(木)、9日目。
AM7:00起床。晴れ。
朝食はミルクティー、トースト。
今日は子どもがよく寝ている。ゆうべ、ホワイトボードに「ごぜん おえかき さんすう」と自分で書いていたのだが……まあいいか。もうしばらく寝かせておこう。
8:30~17:45、在宅勤務。
あまり食欲なしで、昼ご飯はシリアル。それからZOOM会議を2本立て続け。子どもが乱入。映るのが楽しいらしいが、こちらはミュートしたり解除したりと、別の意味で忙しい。参加者が「ほほえましい」と言ってくれて助かった。
緊急事態宣言を全国に拡大するという速報が流れる。約1週間で日本全部がそうなるという。映画「感染列島」のタイトルがふと脳裏に浮かび、一筆したためる。
2009年の映画だけど、「神に裁かれるのは、人間か? ウィルスか?」がキャッチコピーだったと、検索して知る。いや、そういう致死率が高いウイルスも怖いけど、新型コロナのように無症状がばらまいてしまうようなやつの方が、ボディブローのようにゆるやかに長く影響する。
オイルショックは休校までにはならなかったろうし、東日本大震災の時も東日本という局所の災害だった。グローバルにあらゆる人に影響を与える事態は、第2次大戦以後、初めてなのではなかろうか?
ワクチンや薬が開発されればコロナへの直接対処はできることになるのだろうけど、それまでの間、社会を覆った変化がなくなりはしないだろう。コロナ以前に戻ることはないだろう。PCのOSが、徐々に壊されていくみたいだ……。
とか、まじめに歴史を復習したりしたから腹が減り、晩ご飯に手巻き寿司を食べる。
飲食店が営業できないからスーパーとかに良い魚が出回っているという話があったけど、きょう食べたマグロがそうかどうかは分からないが、うまかった。
全国に緊急事態宣言が出た。5月6日まで、という。だが、それで終わるとは到底思えず、始まりでしかないのだろうなと考えながら布団に入る。
22:00、就寝。
4月17日(金)、10日目。
AM7:30起床。日本=緊急事態となって初日の朝。ゴミ出しに出ると、穏やかな晴れ。
何も起きていなければ、良い一日の始まりだと思うような陽気。目に見えないって、こわい。そう思いながらコーヒーを飲む。
8:30~17:45、在宅勤務。子どもはお絵かき……も早々に、公園に行きたがる。仕方なく休憩時間に連れて行く。
公園に集う保護者はソーシャル・ディスタンスを取ってベンチに座っている。これに対し、子どもは濃厚接触お構いなし。
遊具を触るのも接触減にならないとは知りつつも、完全阻止は難しい。ちょっと目を合わせるのにも距離がある奇妙な公園で、親同士は目が合う度に苦笑い。
教師の保護者から、緊急事態はとりあえず5月6日までってことになっているけれど、その日に学校再開できるわけもなく、1~2週間ずれる前提でいるという話を聞く。
「その見通しも崩れるんじゃない?」
と尋ねると、
「そうなんだけど……」と一言。
夏休みに学校通わせても出席日数が足りない問題が出るけれど、物理的に行けない状態が終わるかどうかわからないから、準備するってことだろう。
後手後手は避けたい、ということだと受け止めた。
こんな風に、現場では先を見越していろいろな動きがある。必要なのは想像力。起きそうもないことまで考えておいたり、これがダメだった場合はああすると、これをやるのと同時に考えておいたりすればよい。
最悪なのは、状況に対処するだけで精一杯の、策のない後手だよね、とか独りごちて、自戒も込めて「後手」と一筆。
昼ご飯は子どものリクエストに応じて味噌ラーメン。今日はコーンがのっていて、札幌ふう。
先ほどの学校再開の話を思い返し、このままなら入試も難しいんじゃないかと思う。学生が東大の安田講堂に立てこもって入試ができなかったことがあったけど、もしそうなったらそれ以来じゃないかしら。
今回のように、あらゆる人に影響があった出来事は第2次大戦以来なんじゃないかと感じていたこともあり、日本史・世界史のサイトを読む。
偶然、せやろがいおじさんの動画を目にする。秀逸。
政府が間違った方針を打ち出した時に批判せんかったら 日本がそのまま間違った方向に走り出してしまう! 例えば球を打ったバッターが三塁に向かって走り出してたら そっちちゃうぞー! って言うたらなあかんやん? ここであいつも頑張ってるんだからそんなこと言うな!って言うヤツおったら 謎すぎません?
そうですね。
ましてや三塁に向かって走ってるヤツを チーム一丸となって応援してるようなアホアホ球団は 絶対に試合に勝たれへんやん! そんなアホ球団に金出してるオーナーは 我々国民や!
そのとおり。
牛肉券渡すで~言うてたのも 完全に三塁に向かって 爆走してたと思うねん!
確かになー。
あと批判が足りてないと国民と政府の感覚のズレを修正できへんと思う
?
その感覚のズレがピークに達した結果生まれたのが あの安倍首相の自宅くつろぎ動画やと思う! あのズレっぷりすごいですよね 犬を撫でながら国民の感情を逆撫でするという離れ業!
そのことか。うまいことを言う。
あと、政府の新型コロナ対策でなんで布マスクなの? なんで一世帯二枚なの? とか説明不足でイマイチ納得でけへんこと多くない?
多いですね。
批判に不慣れな国民と口ベタな政府 今の日本のヤバいとこ このコミュ力の低さだとちゃうやろか? こんな時に批判するな! じゃなくて これを機に批判慣れしていこ! のほうがええんとちゃうか~
もっともです。
「四谷三丁目」のnoteを見たときは、胸をえぐられるような気分がしたが、せやろがいの方は、笑わせてくれたうえに、ストンと落ちるような説得力があった。
その通りだ、と納得し、気分も上がってZOOM会議に臨む。好調だった。
遊び疲れた子どもが帰ってきて、晩ご飯。外食できない日々が続いているからか、なぜか居酒屋みたいなのが良いと言いだし、画用紙に「いざかや」と書き、看板を作っている。
メニューには、ジャガイモとチーズと明太子、トマト、生姜の炊き込みご飯、豚汁、かたやきそばと書いてあったので、「店員さん、全部ください」と頼む。ジャガイモとチーズと明太子とは、それらを使ったグリルのことだった。突き出しなのか、サービスで蕪の漬け物をくれた。
23:10、就寝。
4月18日(土)、11日目。
AM8:45気象。大雨。子どもが朝ご飯はホットケーキがいいと言うので、一緒につくる。といっても、子どもはかき混ぜただけ。泡立て器についたもとを味見し、焼けたそばから食べている。
親は休日だけど、学校は土曜日も午前中は授業があるのだ。そう説明して「お家学校」を開く。雨で外遊びという逃げ場もなく、しぶしぶ従う子ども。
が、これが甘かった。
UNO地獄。
最初は「ぴっぐテン」だった。
「ゲームで『さんすう』を学ぼう!」
「おー!」
と始めたのはよかった。
しかし、場の数と出す数の合計が10になるように計算するのがまだ難しい年頃のうちの子ども。
怒る・泣く・投げる、と「大人VS子ども」のゲームにありがちな行動をもれなく実行。
「さんすう」不要のUNOがいいと持ってくる。
こちらも機嫌直してねーと付き合ったのだが、昼ご飯も忘れて「もう一回」のオンパレード。
時をかける少女の再放送を見ようよとようやく説得し、「早く! 番だよ!」とせかされながら見る。
「とーきーをーかーけーる しょおーじょー」
とサビだけは覚えた子どもと一緒に歌う気満々だったが、
エンドロールがなーーーーーーーーーーーーーーい!!!!!
肩すかし。最後の歌が大事なんだけどなあ、とがっくりきてエンドロールと一筆。
すると、
「歌やらないねえ。UNOやろっか」。
さっきもやったじゃん……。
結局、何十回やっただろうか。UNOでヘトヘトになったのは初めてだ。
夕方、雨がやんで自転車乗りたいと言い出したときには、渡りに船とばかりに、「よく行く喫茶店が開いているか見に行こう!」 と、不必要に遠い場所を提案してしまった……。
晩ご飯はから揚げ、ポテトサラダ、カボチャのサラダ。
22:00、就寝。
4月19日(日)、12日目。
AM9:00起床。土曜日とはうって変わって爽やかな晴れ。
朝ご飯はコーヒーのみ。
昨日の流れで、サイクリング。隣駅の駅前にあるマックの長蛇の列に驚く。間隔を空けているからだろうけど、なんかの発売日かと思うほどだった。
団子と柏餅を買って、公園で食べる。こちらは昼時だったからか、人っ子一人いなかった。
東京・大阪とかの人出が減りましたとニュースでは言っているが、マンモスターミナルな駅以外は、人出はまだ結構あるなーと感じる。
昼ご飯はごはん、しらす、のり、明太子、納豆。
子どもは公園へ。久しぶりに一人で部屋でくつろぐ。
昼の駅前を思い出す。
みんなマスクしているし、滞留しているわけでもなく、ソーシャル・ディスタンスもとっている。こんなふうに緊急事態宣言の前後でいろいろ浸透している部分はある。
けれど、新型コロナの感染拡大は指数関数的だと言われている。
指数関数って、「せやろがい おじさん」もわかりやすく説明していたが、私としてはドラえもんの栗まんじゅうの話の方がイメージしやすい。
のび太が1つしかない栗まんじゅうを食べようかどうか悩んでいる。
ドラえもんが5分ごとに2倍にしてくれるバイバインを取り出す。
ドラえもんはのび太にちゃんと残さず食べてくれとお願いしてからバイバインを栗まんじゅうにかける。
栗まんじゅうは分裂を始め、のび太はしばらく放置。増えたところで喜んで食べ出す。
しかし、食べきれず、周囲に助けを求める。それでも分裂速度に追いつかず、栗まんじゅうは増え続ける。
のび太はのび太らしく、思わず自宅のゴミ箱に捨て、ドラえもんに残さず食べたとウソをつく。
少しして、ゴミ箱にあふれかえった栗まんじゅうをみて驚いたドラえもん。風呂敷に栗まんじゅうの山を入れてロケットで宇宙に放出する……。
要するに、倍々ゲームってことだよね。
初めはゆっくり増えてるように見えても途中から凄い勢いで増えるってこと。
この話を見た後、栗まんじゅうはずっと増えるんだから宇宙が潰れちゃうんじゃなかろうか、と子どもの頃に考えたっけ。
基本再生産数(R0)という言葉は知らなかったが、栗まんじゅうを思い出すと、指数関数の世界は、増えだしたら手がつけられないってことはわかる。
ウイルスも栗まんじゅうみたく目に見えれば、難しい状況にいるってことが認知しやすいんだけどなあ。そう思い、「指数関数」と記す。
晩ご飯はミートソースと残り物のポテトサラダ、カボチャのサラダ。
22:00、就寝。
新型コロナの緊急事態宣言(2020年4月7日)から、解除までの日々の記録をマガジンにまとめています。
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