【緊急事態日記3】もっと遊びたかったのに

4月20日(月)、13日目。

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AM7:00起床。雨。寒の戻りか、寒い。

在宅の人が多いだろうから、週末に雨だったら人出も自動的に減るのに、とか思いつつ、ミルクティーを飲んで9:30~17:45在宅勤務。

One World Together At HomeをYou tubeで流しながら作業をする。レディー・ガガとかいろいろなアーティストが部屋で生で歌っている。本当の家からなのかは確かめようもないけれど、格好も飾らない感じで、自然体。

何というか、その人がより感じられたような。こちらも自分の部屋で何かをしながら見れる。

アーティストの「いま」が私の「いま」に溶け込んだような。ライブを見に行くことが非日常なら、これは日常。1対多数が1対1に感じられ(錯覚なんだろうけど)、普通にしながら、よりダイレクトにつながってる感がある。

体感しないと伝わらないものなのかもしれないが、すごい時代になったと思った。見て良かった。「One World Together At Home」と書くことにした。

晩ご飯はラザニア。

22:00、就寝。

4月21日(火)、14日目。

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AM7:30起床。晴れ。暖かい。

ミルクティーを飲み、9:15~17:30在宅勤務。緊急事態宣言から2週間。在宅生活は体がなまる。食べる量も増える。

子どもと一緒にいる時間が長いのはうれしいが、思うように外に出られない子どもはストレスがたまる。しかも良い天気。

かまってあげられる時ばかりではないので、親1人で子どもを見ていて急に仕事が立て込んだ時などは、子どもに「後でね」「ちょっと待って」を連発せざるをえない。

「お仕事忙しいから1人でおうち探検に行こう」

とかつぶやかれると、しわ寄せが行っちゃっていて申し訳ない気持ちになる。

という反省もあり、昼ご飯を一緒につくろうかとか声をかけてみる。

「うん!」

とうれしそうにリアクションするのだけれど、結局、私つくる人、あなた(子ども)食べる人。

子どもはたらこスパゲティ、トーストにイチゴジャムを塗って3枚も食べた。よく食うなー。

ニューヨークの原油先物市場で取引価格が初めてマイナスになったらしい。新型コロナで出歩かないからあり得るといえばあり得るんだろうけど、超絶ざっくり考えると、原油が金を出さないと買ってもらえないものってことになる。

オイルショックを歴史の授業で習った身としては、ちょっと想像を絶する事態だ。なんせ、エネルギーを買わないと困る島国が、困らなくて良いって解釈も理屈上は成立するってことですよね(これまたざっくり妄想するとですが)。

ま、そんな単純な話ではあり得なくて、結局はコロナショックで大恐慌につながるのかな、とおぼろげに思う。

スペイン風邪と大恐慌があった100年前と似た展開。関東大震災もあったな。

不気味。なす術もなくというか、準備が足りないまま突入させられるのが……。

テレビ会議の前にそんなことを考え、逆オイルショックと一筆。

おやつ時、子どもの友達がその母親と一緒に「あそぼ」と誘いに来てくれる。「面倒見てますよ」という言葉に甘え、お世話をお願いする。本当にありがたい。

逆の時は、こちらから声をかけて助けようと思う。

晩ご飯は焼き鮭、から揚げ。

ブロックスをひとしきりやり、22:00就寝。

4月22日(水)、15日目。

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AM7:30起床。晴れ。コーヒーのみ。

9:45~18:00、在宅勤務。淡々と業務をこなす。

Zoom会議に慣れっこになってきた。親がPCに向かって話している様子を遠巻きに見ていた子どもも、段々とちょろちょろし出す。手を振られたり声をかけられたりすることも増えてきた。

うれしいようで、引っ込んですぐに乗り出してきたり。会議の雰囲気が和らいだり、邪魔したり。それを楽しめる時は良いけれど、いやマジで勘弁してって時もある。

その辺分かってよ、と子どもに求めるのはどだい無理な話なんだけど、冷や汗をかくことも増えてきた。具体的には割愛するけれど、こういう状況だからと言ってもらえてありがたい限りです(本心)。

昼ご飯はお子様味の麻婆豆腐にご飯。本当は花椒が効いてしびれるような四川風が好きなのだけど、子どもには無理。肉豆腐に近く、色も赤くない麻婆豆腐で我慢。

JR五反田駅で書道の手書きポスターが話題になっていることを知る。

「謎案内が再びやって来た」

「恒例の書道大会をやっていた」

とかツイートされているので、初めてではないらしい。改元の時にやっていた駅かなあとか思ったが、あまり記憶に残っていなかったので、しげしげと画像を見る。

ぼかぁねぇ、一生 手洗い・うがい しますよ

文が振るっている。思わずリツイート。

いまは見に行けないけれど、もし自分がコンコースを通っていたら、何事かと思ってまず見入ってしまうと思う。通路のポスターが筆書きだけだったら、なんだかいつもよりモノクロな感じがするはずだから。

達筆とは言いがたい。でも、味がある。駅員さんが書いているようだ。ドイツ語もある。

こういうふうにさらりと提示されると、心に残る。

作る方はさらりではないのかもしれない。駅だから、よい・悪いの影響を考慮してもいるだろう。でも、受け手と送り手の両方の気分がバランス良い。

標語チックというか、啓発的な意味というか、そういう面があるんだろうけど、笑えるし、一方的な感じがしないから、聞く耳を持ちたくなるんだよねえ。

いろいろかけ声をかける側の人も見習えば良いのにとか思いつつ、手を動かすことにする。夕方になり、風が冷たい気がしたので、「花冷え」と書く。五反田駅のポスターを越える単語は思い浮かびませんでした。

晩ご飯は豪華。鰹、タマネギスライス、生わかめ、トマト、アサリの酒蒸し、焼き鮭。

22:00、就寝。

4月23日(木)、16日目。

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AM7:30起床。晴れ。紅茶のみ。

9:45~18:00、在宅勤務。洗濯をし、淡々と業務をこなす……とは行かなかった。

メールやSkype、Zoom会議と立て込む。

昼ご飯は昨日のアサリの酒蒸しを使って手軽にスパゲッティ。

ヒマな子どもが「つまんない」を連発。こちらも「もうちょっと待って」を連発。やはり学校が休校というのは親にも子にもきつい。

岡江久美子さんの訃報を知る。がんを患っていたそうだ。抗がん剤とかで免疫が下がっていたところなのか、コロナで肺炎になられたのだという。

志村けんの70歳も若いと思ったけど、ええーっ63歳でって、心の中で声が出てしまった。

ワクチン・治療薬がない病気が昔から人類の最大の敵だったのだという当たり前のことを改めて思い知る。

武漢の封鎖の頃と、病気の質が変わっているのかもな……と、にわか知識ゆえの不安を若干覚えつつ、はなまるマーケットの司会の頃を思い出し、はなまるを書くことにする。

子どもは、はなまるが大好き。絵なら一緒に書けるので、二人ではなまるを書く。

「どうして赤じゃないの?」

と聞かれたので、

「今日は赤はやめようね」

とだけ答える。

勤務後、近くの公園で子どもを少しだけ遊ばせる。

「もっと遊びたかったのに」

と涙がポロリ。申し訳ない……。

そう思い、気を取り直してボールけりでもするかーと誘い、もう一度、家の前でボール遊びをする。

仕方ないのだが、子どもには今の状況、つらいよねと思う。

晩ご飯は焼きうどん、にんじんの甘酢漬け。焼きうどんには春キャベツを使う。

22:00、就寝。

24:00、目が覚める。体を動かしていないからか、今週は良く夜中に目が覚める。今日はカレンダー的に休みだし、と一度起きて、3:00に木曜日まで書きためた日記を投稿する。もう一度寝ます。

4月24日(金)、17日目。

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AM7:30起床。晴れ。

朝ご飯は納豆チーズトースト、コーヒー。

9:45~18:00、在宅勤務。

静かな朝だ。仕事がはかどる。一息入れにベランダに出る。散歩をしている年配の方が多い。皆マスク姿で、なんとも言えない気持ちになる。

ふと、子どもの姿が少ないことが気になる。そういえば、静かだなあ。なんかあったっけ? とは思ったものの、それほど気にならずに仕事に戻る。

昼ご飯はなぜか子どもがホットケーキを食べたがり、メープルシロップが切れていたので作ってみる。

砂糖と水が2:1で煮詰めればできるはずが、砂糖が多すぎたのか水飴的に。お湯でのばしてみたが、ホットケーキを焼いている間に固くなってしまい、今ひとつだった。

おなかがふくれた子どもを近所の公園に送りに行くと、遊具に規制線が張られていた。お友達の保護者が「今朝からよ」と教えてくれた。

聞けば、「自粛中なのに公園だけは子どもとその家族で3密だ。なんて苦情が役所に来ているというニュースが流れていた。だからじゃない」と言う。

ウイルスの拡散防止のために多くの人が触る遊具は使わないようにする。その目的だろうから、目的は正しい。しかし、それを「そうだよね」と思わせるように伝えていないという点で、やり方がよろしくないと思う。

「そう思わせたくないんかい?」とざらっとさせられるから。

精神論を全部否定はしないけれど、自分の頭で状況を判断せず、「空気」が、自己増幅する同調圧力に、押し流される。日本人にありがちだが、思考フリーズでとても変なので、いい加減やめたほうがよい。

だから竹槍鉄砲とか非国民とかいう、後世から見るとおよそ理解不能な言葉がまかり通ったんだよ。そういうの大キライだ……と頭の中で考えが飛躍したが、規制された本当の理由はわからないので、「そうなんだ。子ども、かわいそうだねえ」とだけ答えた。

穏やかな春の陽気。つつじがきれいに咲いているのに、子どもの声が聞こえない。昔読んだレイチェル・カーソンの「沈黙の春」というタイトルみたいと思う。本とは違い、鳥のさえずりは聞こえたけれど。ということでタイトルを記す。

その後、親の通院先の医師と、親と、病室から今後の治療についてテレ会議。コロナでその他の医療にしわ寄せが行っている現実を実感する。

医療崩壊という言葉だと、ある日を境に急に壊れる事態が始まるような印象を与える。けれど、むしろ、広く薄く地味に徐々に影響が及び、気がついたら壊れていた、ってことになっているって過程を意味している言葉なのだと思う。

コロナは、アジアと欧州ではウイルス変異でタイプが異なっていて、今の日本ではやっているのは、感染爆発した欧州で罹患した人のものらしいということ。それに「無症状」の人から感染する率がかなり高いようだということ。

欧米では、流行からたった一週間で医療が追いつかなくなった。

私たちは、いま、その渦中にいる。

「コロナで怖いんだよ」。

親はそう漏らした。本当にそうなんだろうなと思い、結構堪えた。

晩ご飯はかぶとマグロのカマのグリル、ぶりの刺身、ちまき。

22:00就寝。

新型コロナの緊急事態宣言(2020年4月7日)から、解除までの日々の記録をマガジンにまとめています。

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