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ゴミの処理

私の暮らす街のゴミ処理場はアメリカの公園くらい広い敷地に小さい焼却炉が乱立していてそれぞれが個別に管理されている為施設の維持費や作業員の人件費は馬鹿にならない程かさみ市指定のゴミ袋は10枚入で11600円という信じ難い金額にまで膨れ上がっておりこの意味の分からない市政がとうとうTwitterで大々的にバズり多数の批判が寄せられたことをきっかけに市議会は不貞腐れるようにポイ捨てし放題キャンペーンなる企画を展開すると発表しちょっとしたお菓子の空き袋から粗大ゴミまであらゆる不用品がそこら辺の道端に散乱するようになりしかしそうなった頃にはインターネットの流行はとうに過ぎ去っておりただめちゃめちゃ散らかった街の風景だけが窓の外に取り残され強い風が吹く度に細かい金属片が舞い上げられて市民の頬などを切り裂き子供らの失明が相次いだりして引越しに次ぐ引越しを経て続々と市民の数は減って行き今では月々2500円という破格の家賃目当ての貧乏学生と一個人の趣味趣向だけでは到底収集不可能な悪ふざけとしか思えない量の成人誌の蔵書を誇る市営の図書館を目当てに集結した一部のマニア集団しか住み着かない本当の意味でのゴーストタウンのような様相を呈し挙句日夜公然と行われる犯罪行為や集団ヒステリーなどの累積によって市全域の封鎖とあらゆる建造物の爆破解体が国を挙げて決定され気が付くと私の暮らすアパートを残して見渡す限りが瓦礫の山と化してしまった。
当のアパートは何故かあらゆる火薬をものともしない堅牢さで日々様々な爆薬が仕掛けられどこかしらからそれらを起爆した音が聞こえるものの生活に影響をきたす程ではない日々が続いていた。隣に住む大変思想の強い老人が部屋の中だけでは飽き足らず外壁にまで御札みたいなポスターを貼り付け始めとうとうアパートの片側一面が巨大なポスターそのもののような有様となるに至り私の部屋には日光が入らなくなってしまったので今日もまた薄暗い部屋でゆっくりと破滅を待つだけの生活という名の生活がいつまでも続けられるのである。

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