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者共よ 永遠なれ

「ラッキィ池田の容姿をあなたは見たことがあるだろうか。私は無い。生まれてこのかた一度たりとも見たことが無い。この世にはラッキィ池田の容姿を知る者と知らぬものとが存在する。私は後者に属しており、中でも過激派として恐れられる『ラッキィ池田の容姿知らなすぎ軍』で将校の座についている。そう、『ラッキィ池田の容姿知らなすぎ軍』はマジの軍なのだ。最初期はラッキィ池田の容姿を知らぬ者同士で徒党を組んで活動するに留まっていたのだが、少しづつ規模を拡大して行き今では軍部を組織するまでになった。我々は徹底してラッキィ池田の容姿を知らぬままでいることを崇高なる理念として掲げ、不定期で行う抜き打ちテストなどによってラッキィ池田の容姿を知っていると判断した隊員に対しては教育という名の拷問などを行ったりしている。もちろんめちゃめちゃ犯罪行為なのだが、そんなことよりも枢要で守らねばならない秩序があると我々は信じている。先月も諜報課に属する隊員の一人が“非無知”の判定を受けたとの報告が届いた。私はその隊員をすぐさま教育室へ呼び出し教育を施すことにした。足の小指を革靴の踵で踏みつけるなどしていると、突如として教育室のドアが乱暴に開かれた。そこにはすごい数の機動隊がかなりの重装備で陣形を組んで立ち並んでおり、一様に私に対してすごい敵意を向けている。そして、つかの間の静寂がその場を支配した。彼らの背後の窓から差し込む午後の陽気が逆光線で彼らの輪郭をぼやけさせ、舞い上がった砂埃をきらきらと輝かせている。数瞬の間を置いて猛烈に突撃してきた彼らに対して私は為す術なく現行犯逮捕され、弁解の余地などが一切無いままかなりしっかりと起訴された。私はこれから監禁や傷害などありとあらゆる刑法によって裁かれることになるだろう。しかし、私は諸君らに言いたい。この件において最も重要なのは私がまだラッキィ池田の容姿を知らないままでいるということだ。ラッキィ池田の容姿を知らぬ者共よ!!!永遠なれ!!!!!!」

「被告人は静粛にして下さい。」

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