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令和5年-国年法・問7-D「年金の支払の調整」

今回は、令和5年-国年法・問7-D「年金の支払の調整」です。

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国民年金法第21条の2によると、年金給付の受給権者が死亡したためその受給権が消滅したにもかかわらず、その死亡の日の属する月の翌月以降の分として当該年金給付の過誤払が行われた場合において、当該過誤払による返還金に係る債権に係る債務の弁済をすべき者に支払うべき年金給付があるときは、その過誤払が行われた年金給付は、債務の弁済をすべき者の年金給付の内払とみなすことができる。

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「年金の支払の調整」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H14-厚年3-C[改題]】
老齢厚生年金の受給権者が死亡したにもかかわらず、死亡した日が属する月の翌月以降の分として当該年金が過誤払いされた場合において、過誤払いによる返還金債権に係る債務の弁済をするべき者に支払うべき遺族厚生年金給付があるときは、当該過誤払いの債権の金額をもって当該遺族厚生年金の給付の内払いとみなす。
 
【 H6-厚年10-D 】
受給権者の死亡により返還金が生じた場合、その返還金は、債務を弁済すべき者に支給する老齢厚生年金の内払いとみなすことができる。
 
【 H26-厚年-選択 】
年金たる保険給付の受給権者が死亡したため、その受給権が消滅したにもかかわらず、その死亡の日の属する月の翌月以後の分として当該年金たる保険給付の過誤払が行われた場合において、当該過誤払による返還金に係る債権に係る債務の弁済をすべき者に支払うべき年金たる保険給付があるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該年金たる保険給付の支払金の金額を当該過誤払による返還金に係る債権の金額( E )ことができる。

【 H29-国年9-C 】
夫婦ともに老齢基礎年金のみを受給していた世帯において、夫が死亡しその受給権が消滅したにもかかわらず、死亡した月の翌月以降の分として老齢基礎年金の過誤払が行われた場合、国民年金法第21条の2の規定により、死亡した夫と生計を同じくしていた妻に支払う老齢基礎年金の金額を当該過誤払による返還金債権の金額に充当することができる。

【 H23-厚年2-E 】
障害厚生年金の受給権者が死亡したにもかかわらず、当該障害厚生年金の給付に過誤払いが生じた場合、返還金請求権に係る債務を弁済すべき者に支払うべき老齢厚生年金の支払金の金額を当該過誤払いによる返還金債権の金額に充当することができる。

【 H11-厚年4-D 】
年金たる保険給付の受給権者の死亡により、当該年金給付に係る返還金が生じた場合、当該返還金に係る債務を弁済すべき者に支給する老齢厚生年金の支払金を、当該返還金に充当することができる。

【 H16-厚年3-A[改題]】
遺族厚生年金の受給権者が同一支給事由に基づく他の遺族厚生年金(同一の実施機関が支給するものに限る。)の受給権者の死亡に伴う当該遺族厚生年金の支払金の金額の過誤払による返還金債権に係る債務の弁済をすべき者であるときは、当該年金の支払金の金額の過誤払による返還金債権への充当を行うことができる。
 
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「年金の支払の調整」に関する問題です。
「年金の支払の調整」については、国民年金法、厚生年金保険法のどちらにも規定があり、いずれからも出題されています。
 
年金の受給権者が死亡した場合、過誤払が行われることがあります。
ここに掲載した問題は、その過誤払をどう処理するのか、というのが論点です。
 
まず、最初の3問では、「内払」とあります。
受給権者が亡くなっているので、将来分の内払として処理することはできません。
いずれも誤りです。
受給権者が死亡したことにより受給権が消滅した場合における過誤払の調整、これは、内払ではなく、遺族厚生年金・遺族基礎年金の支払金の金額を返還金債権の金額に充当することができるとされています。
誤って支払ってしまったものと遺族に支給するものとを相殺してしまいましょう、というものです。
 
この内払なのか、充当なのかという点は、選択式でも空欄にされています。
それが、【 H26-厚年-選択 】です。答えは「に充当する」です。
ここでは掲載していませんが、選択肢に「の内払とみなす」という語句が置かれていました。
ということで、「内払」と「充当」、これらを混同しないようにしましょう。
 
次に、【 H29-国年9-C 】【 H23-厚年2-E 】【 H11-厚年4-D 】では、「老齢基礎年金の金額」や「老齢厚生年金の支払金」を充当することができるとしています。
老齢基礎年金や老齢厚生年金は、年金の受給権者の死亡とは、まったく関連を持たないものです。
そのため、そのようなものを充当することはできません。
充当することができるのは、死亡との関連で支給されるものに限られます。
つまり、過誤払による返還金債権の金額に充当することができるのは、「遺族基礎年金」や「遺族厚生年金」(同一の実施機関が支給するもの)の支払金の金額に限られます。
したがって、これら3問は、誤りです。
もう一つの【 H16-厚年3-A[改題]】は、正しいです。
 
ということで、「充当」に関しては、厚生年金保険と国民年金、横断的に押さえておきましょう。

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