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高配当銘柄でも、高成長銘柄でも、安全な投資対象は存在しない

NISAの成長投資枠で個別株のランキングを見ると、日本株の比較的高配当な銘柄が買われている印象があります。
アメリカ株において言えば、通信王手のAT&Tは低成長ですが高配当な印象があります。
このような銘柄への投資は比較的「安全」と思われがちです。
これらの銘柄への投資は本当に安全なのか?
今回は、旧つみたてNISAが最長20年非課税ということをもとに、データ所得時の2024/3/18から20年前の2004/3/18のAT&Tのチャートを参考に考察していこうと思います。

AT&Tの2004/3/18~2024/3/18週足終値チャート

AT&Tの20年間のチャートを見ての考察

2004年から2024年にかけてのAT&Tの株価チャートを眺めると、その歴史の一端を垣間見ることができます。
このチャートは私たちに、絶対的な安全性は存在しないという事実を教えています。
まずAT&Tはその巨大な顧客基盤と通信というインフラの性質上、「なくなることが考えにくい」企業です。確かに、人々が通信サービスを利用することをやめることは想像しにくいですし、それはAT&Tの収益の安定性を意味します。加えて、AT&Tはその収益の一部を投資家に還元する形での高配当銘柄で知られています。このため、多くの高配当好きの投資家にとって魅力的な投資先となっています。
しかし、投資家はこの企業のもう一つの側面に目を向ける必要があります。それは「成長性」です。AT&Tは比較的低成長の企業であり、この低成長は株価の長期的な上昇に影響を及ぼします。チャートで価格変動を見ると、20年の間に数回の大きな下落を経験しており、その都度、配当利回りだけでは補えない損失を株主は抱えることになりました。このような下落は、経済危機や企業固有の問題など、多様な要因によって引き起こされます。
低成長高配当銘柄の場合、特に売買のタイミングが重要です。もし株価がピークに近い高値で購入した場合、その後の株価の下落は、配当だけではカバーできない可能性があります。逆に、株価が大きく下落した後で購入することができれば、配当利回りはさらに高まり、株価回復の恩恵も受けることができるでしょう。
このチャートから読み取れる教訓は、いかに安全に見える投資先であっても、株式市場における変動は避けられないということです。
AT&Tのような低成長高配当企業に投資する際には、配当利回りに目を奪われることなく、全体的な市場環境や企業の成長見通しを考慮に入れ、購入のタイミングや銘柄を慎重に選ぶことが重要です。

投資家としての大切な視点

長期的な投資戦略として、NISA口座で(NISA口座でなくても)個別株に投資している投資家は、投資の安全性に関して大切な視点を持つ必要があります。
企業の将来性や技術の進歩によって、市場での企業の位置づけは大きく変わり得ることを認識しておかなければなりません。過去に高成長であった企業も低成長に変わり、いずれは低成長高配当銘柄になる可能性があります。(最悪は上場廃止なんて可能性もあります)高配当を得ることは賢明ですが、低成長になって株価が低迷してまい、配当では補いきれないほどの下落に巻き込まれてしまえば本末転倒です。安全性もクソもありません。
また、エヌビディアのようにAIブームで恩恵を受けている企業に絶対の自信を持っている投資家も、テクノロジーの進歩が今日のリーダーを明日の追随者に変え得る可能性があることを常に意識するべきです。
AI技術の革新が今後もエヌビディアを支えるであろうと予測することは合理的ですが、その革新はまた、新たな技術革新の道を開くことも忘れてはならないです。その新しい技術がさらなる成長を遂げる企業を生み出す可能性も秘めています。結局のところ、投資は予測不可能な将来に対するものであり、テクノロジーの進歩のペースは特に予測が難しいものです。
インフラ企業で倒産しないから安全、今日のリーダー銘柄だから安全、なんてことはありえないです。この視点を持つことは、賢明な投資判断をする上で必要不可欠です。


市場や技術の変化に適応する自分の能力こそが、投資の安全性を高めるものだと思います。

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