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パンドラの箱

過去にパンドラの箱を開けたことがあるだろうか。

私はある。
その時付き合ってた彼氏のパンドラの箱を、彼氏が寝てる時に開けた。
箱を開けるための呪文も手順も何もかも知っていた。
知っていたのではない、知らされていた。
今思えば試されていたのかもしれない。

そっとそっと、私以外の全てが私に気づかないようにそっとパンドラの箱を手に取る。
呪文を唱え、手順を間違えないように慎重に作業を行う。全て終えると凄く光る。
真夜中だから余計光ってみえる。

その光に目を細めながら、箱の中身を何一つ見逃さないように端から端まで読む。

よし、異常なし。

そして安心して眠りにつく。

これが日課だった。

そしてある夜も同じように同じ手順で
パンドラの箱を開けようとしたが、今までの呪文では開かなくなってしまった。 

何度試しても開かなかった。

その時にやっと気がついた、彼の心すら私に開くことはないことを。

それっきり、彼氏が私の家に来ることは無かった。

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