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#16 パッチ・アダムスをみるとデザイナーとしての生き方を改めて考えさせられる

デザインが人を殺す。

という話を、学生時代に聞いたことがある。日本医療機能評価機構によると、医療過誤の70%以上が"ヒューマンエラー"といわれる人為的ミスによるもの。中でも、医薬品の名称やデザインが似ているためにおこる事故は少なくないという。(詳しい事例はこちら

現場で起きる医療過誤が全て、看護師や医者の責任だろうか。パッケージデザインにも責任があるんじゃないか?この話をしてくれた講師の先生は最後にこう言った。

「デザインが人を殺したんだよ」

(※noteの最後に製薬会社の安全対策への取り組みのリンクを貼らせていただいております。そちらも合わせてお読みください。)

「パッチ・アダムス」は1998年公開のアメリカ映画。実在の医師パッチ・アダムスの半生を描いています。

大学の医学部で医療を学ぶ彼は、患者のアイデンテティを軽視したシステム体制、儲けを優先した医療制度を目の当たりにした。

「患者のことをなぜ名前で呼ばず病名で呼ぶんだろう」
「困っている人がいたら助けたいんだ」

彼は、医者と患者は対等であることや患者の心をほぐすことが何よりの治療になると考え、多くの患者に笑顔を届ける。決して"自分"のための医療ではなく、"誰か"のための医療に彼は注力した。

印象に残ったのは、彼の思想に懐疑的な大学の医学部長、医師会を相手に言ったこのセリフ。

「あなた方はボクから資格を奪って白衣を脱がす権限があります。しかし、誰も僕の情熱を奪うことはできません」



誰かの目に触れて、初めてデザインは完成する。見た人がどう思うのか、どう感じるのか。誰かが傷つかないか。

パソコンの画面だけじゃなくて"デザインの向こう側"にいる人のことを考えて、デザインをしたい。ボクはポスターやチラシが置かれる場所にはできるだけ行く。デザインが機能するかどうかを検証するためだ。

冒頭に書いた「デザインが人を殺す」も、向こう側をもっと意識して、薬剤をしまう棚のことや、病院内のことをもっと深く知っていれば防げるのかもしれない。

ソフトの普及によってデザイナーになる人が圧倒的に増えた。未経験からフリーランスになる人も増えた気がする。それが良いとか、悪いとかの話はここでは明言しない。が、一言だけ。

パソコン画面の向こう側にいる人の存在を忘れないで。デザインは社会をよくする最高のツールの1つです。自分の仕事に誇りと、情熱を持ってください。パッチ・アダムスのように。

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※現在、各製薬会社では医療過誤を防ぐために様々な安全対策が行われています。代表で2社の会社様の安全対策のリンクを貼らせていただきます。

ニプロ株式会社 https://www.nipro.co.jp/corporate/csr/quality.html
沢井製薬 https://scienceshift.jp/generic-design-interview/

お気持ちだけでも飛び上がって喜びます