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#15 僕たちはオリジナルの必殺シュートでゴールキーパーを吹っ飛ばした

問題は、リアルかリアルじゃないか。

小学生の僕にとってリアルか、リアルじゃないかは大切なことだった。

1997年に産まれた僕たちは脱ゆとりという掛け声と共に、教育改革が推し進められた世代だった。でも、当時の僕にとってそれは全然リアルじゃなかった。やれと言われたことをやるだけだったから。

それに比べて、ドラえもんの声優が変わったこと、メリー号の前でウソップとルフィが喧嘩することはリアルだった。ビックリしたし、テレビの前で初めて泣いた。

国会中継、郵政民営化、地球温暖化はリアルじゃなかったが、友達の遊戯王カードを盗んだ犯人探しはリアルな問題だった。

小さい頃は、自分の見たものが全て。

仮面ライダーもガチャピンもムックもボクの世界に存在した。かめはめ波も出せたし、スーパーサイヤ人にもなれた。

自分の感性を中心に、リアルの範囲は広がっていく。その直径の大きさがその人の興味・関心であり、知識だ。

少林サッカーは2001年公開の香港映画。少林拳の達人シンが兄弟弟子たちと共にサッカーチームを結成して全国制覇を目指す話。

テレビで放送された次の日、クラスメイトは皆、少林拳の達人になっていた。休み時間は問答無用でサッカー対決。イナズマイレブンよりもずっと前に、僕達はそれぞれの必殺技を繰り出していた。

少林サッカーを見て、何も思わなくなったとき僕の少年心は死んでしまったということだろう。

お気持ちだけでも飛び上がって喜びます