データから札幌のサッカーを見る

清水戦は"不屈の男"深井一希の逆転弾で一時はリードするが、その後追いつかれるという厳しい展開で結果的に引き分けに終わった。
4戦勝ち無しと、引き続き厳しい状況が続いている。

攻めれてはいるが決めきれないという、煩わしい思いが募る今季の札幌。
今回はそんな今期の札幌を、データを通して見ていきたいと思う。 
なお、今回はFootball LABさんのデータスタジアムのデータを参考にする。(35節終了時点までのデータ)


チャンスの数の割に上がらない順位

札幌はチャンス構築率(攻撃がシュートに結実する確率)がリーグ2位である。
首位川崎のチャンス構築率はリーグ3位であり、札幌の方が川崎よりもシュートまで打ち切れる攻撃をより多く創造出来ている

"攻めれてはいるんだけどね~"
"押し込めてるのに、なかなか決められないね"

今年はこんな声をよく耳にしたが、データから見てもこのような意見は正しいと言える。

リーグ2位のチャンス構築率を誇るチームだが、順位は12位と、チャンスを多く作れている割には低い順位と言えるだろう。
このような状況になった要因は大きくわけて2点あると考えられる。


要因1: 失点数の多さ

多くの人が思いつくのが、失点数が多いという要因であると思う。
実際、札幌の失点数はリーグワースト8位の48失点と、最小失点の川崎の25失点とは23点の差がある。

だが、攻撃的なサッカーを戦術とし、オールコートマンツーマンなどリスクを背負った守備システムを敷く札幌にとって、勿論失点を少なくするに越したことはないが、失点はある意味仕方ないとも言える。

仮に失点を少なくするためにディフェンシブな戦術を選択した場合、今のように多くのチャンスを作ることは不可能だろう。
そしてミシャがそのような選択をすることは到底考えられない。

上記のようなことから、失点数に関してはもう1つの要因に比べればさほど重要視するべきものではないと考えられる。

要因2: 決定力不足

札幌の1試合平均のシュート数は14.9となっており、この数値はリーグ2位タイである。
14.9という数字は、先程も例に出した川崎と同じ数字である。

リーグの中で見ても攻めることが出来ているし、フィニッシュも出来ているということだ。
ただ、シュート成功率、つまりシュートがゴールに入る確率は8.3%であり、リーグで15位の数値だ。
同じだけシュートを打った川崎は13.2%でリーグ2位である。

ではここまで決めきれない理由はなぜなのか。

決めきれない理由

決定的なチャンスを作れていない
②選手の決定力不足
大きく分けてこの2点だろう。

例えばシュートまで打てた攻撃でも、相手を崩しきり、相手GKと1体1の局面でのシュートだったのか、時間をかけて敵陣の深くまで進んだが、相手は既にブロックを組んでいて、ゴールから離れた位置から仕方なく打ったシュートでは同じシュートでもゴールが決まる確率は大きく変わる。
今季の札幌は、後者のようなシュートが多く目立つ。

このような問題が、決定的なチャンスを作れていないというものだ。

そして、札幌と川崎のシュート数上位5人のシュート成功率の平均を比べると、札幌10.6%、川崎15.4%と、おおよそ5%の差がある。

更に札幌の数値に関しては、Aロペスの22.6%というかなり高水準の数値を含めて計算していて、ほかの4人に関しては誰も10%に達していない
決定的なチャンスを作れていないというものも、このような数値に繋がった部分もあるだろうが、あまりにも低すぎる数値とも言えるだろう。


改善策

上記のような問題を解決するためにはどのような策が有効なのか。
大きくわけて3つあると考える。

まず、2つの要因に共通する改善策として、選手の補強というものが上げられるだろう。 
具体的な獲得するべき選手の像としては、対人に強く、後ろからのビルドアップについての理解度が高いDF、決定力が高く、個人の力で決めきることの出来るストライカーだろう。

そして2つ目は、決定的なチャンスをより多く創造することだ。
相手にブロックを組まれる前に少ない手数で攻め進めることや、ブロックを組まれたなかでも崩しきるパスワークをもつことなど、戦術をより洗練しアップデートすることが、現状を打破することに大きく効果的だろう。

最後に、今いる選手がもっと決定力を上げていくことだ。 
前線のポジションでスタメンで出場することが多い、小柏・金子・青木はまだ25歳以下とまだまだ成長出来る年齢だ。
現状出場が少ない選手でも、高卒ルーキーの中島や加入して半年のトゥチッチもまだ25歳以下。
伸び代は十分ある。
このような選手たちがより多くの経験を積んでいき、決定力をより高めていくことはとても有効な解決策だ。


まとめ: あと一歩

ここまで見てきた通り、チャンスの構築率やシュート数などはデータにも裏付けられた素晴らしい数値となっている今年の札幌。
そして改善点も明確である。
少しづつでもそういった点を良くしていくことで
、まだ見た事の無い景色を見れるはずだ。

またシーズン終了が近づいてきたので、近いうちに個人的に獲得してほしい選手についても書こうと思っているので、気になる方は是非フォローして頂いてお待ち頂けたらと思う。

ミシャが振るタクトの下で4年間創り続けてきたパズルも、シャーレやトロフィーの姿を完成させるまであと数ピースのところまできている。

これからの札幌が楽しみで仕方がない。




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