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IDS Lecture Summary ~Week 11~

Outline
・Sustainability & Policy process①
・Consultancy Project ~Water~
・Aid and poverty①
・Fossil Fuel subsidies
・ARISE pandemic portraits

Sustainability & Policy process

開発プロジェクトの序盤に求められるPDM、対象の絞り込みと並行して、政策実行にあたっては行政による(行政との)明確な3D(Direction, Distribution, Diversity)の決定が必要不可欠だ。具体的にはNarrative(Discourse), Politics(Interests), Actors(Networks)の3つからなるPolicy process frameworkが活用され、政策の持続性を強固にする耐久性、安定性、社会的正義、平等性を構築していく。また、支持者・技術者・実施者・裨益者の関係性を強固にするためにPathway approachが注目されており、プロジェクト目標へのコミットメントを高めるための選択肢の増強とSocial boundaries/Planetary boundaries 間のバランスを意識した調整が各アクターに求められる。

Consultancy Project ~Water~

別日のセミナーで小グループでのMock consultancyを実施。My groupは水資源がトピック。上水・下水それぞれに違った特性がある中で、レバレッジポイントとして上流地域の水源涵養力強化をピックアップし、コカ・コーラ社の水源調査/保全活動、工場水の節約、排水管理プロジェクトを先行モデルとしたプロジェクトを計画した。脆弱な水域における水使用量と同等量の水源涵養を水ガバナンスの基本政策(法整備)とした場合のグリーンインフラ構築支援規模、普及発展のための意識改革案を提示し、特に国際河川流域での適応策/緩和策の両立には行政によるリーダーシップと水利用の大きな部分を占める民間企業の協力が必要と結論付けた。

Aid and poverty①

公的機関によって開発途上国の経済開発や福祉の向上を主目的とし、譲許的性格を有する「伝統的開発援助」と、南南協力・三角協力・民間投資に代表されるその枠組みに当てはまらない新たな開発についての比較分析を行った。前者の課題は被援助諸国への援助の過半数以上が、実質的に債務返済費用の調達に使われている点で、援助総額が政治制度に与える正味の効果は小さく、総計はガバナンスの安定的な流入によってもたらされていることが明らかになっている。その一方社会基盤システムの構築にターゲットが移ったことでインフラ分野の主役が後者の新ドナーに移り、ニーズ評価、プロジェクト設計、評価ミッションなど、開発の優先順位を各プロジェクト単位で考えることが増えたため、透明性に欠ける点、ターンキー・プロジェクトやタイド協力で現地の便益が得られない点、安全保障や土地所有権などの社会的影響力を視野に入れた進出が増えている点が後者の課題として指摘されている。現代社会においてODAか非ODAかのいずれかがすべての援助を担うのは不可能であり、リスク分散・適材適所・選択肢の確保(オーナーシップ)の観点からもこのドナー多様化の流れは続くと見込まれ、より金額的内容的に洗練された計画の提示が受注段階で求められている。

Fossil Fuel subsidies

一般的に販売されている石油は内訳として様々な政治的思惑が絡んでいることで知られている。現在石油の本体価格は約80円ほどだが、そこにガソリン税、石油石炭税、地球温暖化対策税、消費税が加わり150円~160円を販売価格として流通している。この税率は諸外国も同様で、およそ半分は国の税金に充てられる国が多いようだ。ただ、石油価格は他製品と比べても上下動が激しく、170円を超えた場合は「燃料油価格激変緩和補助金」を使って価格調整を行う。原油価格高騰が国民生活や経済活動への影響を最小化するための激変緩和措置として、燃料油の卸売価格の抑制のための手当てを行い、小売価格の急騰を抑制して消費者の負担を低減することを目的としており、コロナ下からの経済回復の重荷になる事態を防ぐため、また国際情勢の緊迫化による影響のために現在多くの国が200円程度の実質価格となっており、調整がなされている。本来の目的である政策発動による地球温暖化対策の推進と国民の生活水準維持のための救済がバッティングしている状況であり、コロナおよび紛争による新たなグローバル課題となっている。

ARISE pandemic portraits

BRACを中心としたバングラディッシュ・リベリアにおけるパンデミック時の知的・身体的障碍者のサポートについての講演。オンラインによるインタビューでの情報収集に加えて、対象者にカメラや動画で日常の問題について発信してもらうことでより視覚的感覚的に伝わりやすい形でのニーズ調査を行った点が評価されている。収入停止による経済的な側面から、行動範囲が限定されることによっておこる精神的孤独感が主な課題で、平時からいかに対象者の社会的セーフティーネットを構築し、コミュニティの機能を高めていけるかが重要だとまとめた。

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