IDS Lecture Summary ~Week 18~
Outline
・Sustainability & Policy process (Public Health)
・Impact Evaluation (Data collection)
・Member`s seminar (local governance with tax divide)
・UN Water Conference Event
・Action Research (UK strike)
Public Health with pandemics
Haylayの授業。エイズ、エボラ出血熱、コロナなど近年の感染症の起源、感染拡大経路、人類の対処法について比較考察を行った。国際機関として関与すべきポイントは正確な情報収集と平時からの予防策の推進。風評被害や人種差別につながらないように考慮しつつも、早期の報告、原因特定、政策アドバイザリー、ワクチン分配などのアクションを進めていく。政策レベルの規制・意思決定は各国政府が行うのに対し、WHOら国際医療機関は比較不利な国地域への資金・技術協力とプロジェクトとして捉えた際の成功例失敗例の発信を進める役割を担う。予防策に関して、性行為と蚊を媒体とした感染経路は対象の生活レベルによって対策が異なる点を考慮しつつもハード(コンドーム、蚊よけ製品の普及)ソフト(教育)の両面での意識付けを進めている。その一方母子感染に関してはワクチンや予防によって避けられず、倫理的な観点も相まって現代においても対策が難しい。コロナに関しては空気感染が起こりうることからロックダウンなどの強硬措置が取られたが、経済活動との両立に課題が残った。ネット普及によるオンラインサービスでのアプローチが進むポジティブな側面を保ちつつも、個人やコミュニティが生活運営に積極的に関わる基盤づくりを進めたい。また平時の貧困層がリスク時に最も被害を受ける構造は他の問題にも増して顕著で、貧困対策が直接公衆衛生に関わる点も忘れてはならない。
Data Collection and sample analysis
Impact Evaluation 3週目。先週のWhat/Why questionから派生して、仮説に対する検証がどのような数値、エビデンスによって測定されるのか、またどのような環境と条件でデータをそろえるべきかを実例を交えて議論した。重要なのはデータの属性をどのくらい細かくとれるかという点。例えばDegital Divideをテーマにした調査においても、年齢性別だけで傾向を見ることも可能だが、その背景にある地域性、職務・教育経験、携帯電話の使用歴など実態をより顕著にあぶり出すためにはいくつものファクターが存在している。予算や時間、方法が限られている中でできるだけ多くの、そして成果に関わるデータを集め、各項目でどの数値が最も結果を分けているかを分析できるかが研究の質を決定づける。グループワークのマイクロファイナンスの例では、ターゲットの企業を考える女性だけでなくトレーニングを実施する側の現地カウンターパートの能力強化にも焦点を当て、内容に関する知識や地域コミュニティとの関係性などのQuaritative Dataの実用可能性について話し合った。
local governance with tax divide
アルゼンチンでの税収分配についてのオープンディスカッション。30以上の税種があるが、約半分が国家に入り、stateやprivinceなど規模が小さくなるにつれて入ってくる税収も低く設定されている傾向は他国と同様。税収の使い道に関しては政務を担当する選挙で選ばれた政治家が意思決定を行うが、アルゼンチンでは政治家の長期政権がたびたび問題になっており、特に地方部では何十年にもわたって同一人物が、あるいは同一家族が政権を握っているケースが目立つ。選挙で選ばれているため構造自体にメスを入れられることはないが、支持基盤である土地所有者や現地有力企業にとって優位な政策が続くことで税金利用に関するガバナンスは危険な状態であるとの指摘もある。日本でも知事選・市長選レベルでは5選以上の政治家も複数自治体で存在しており、目に見えたガバナンスレベルに危険兆候はないものの、構造自体はInvisibleなパワーが働いている。現状の政治構造について既存政権勢力から変更を加えることは考えにくく、少子高齢化も相まって日本の政治的窮屈さ、大きな変化を産み出す難しさは今後問題となってくる可能性がある。
UN-Water Conference Event
Lylaのプレゼン発表と第46回国連水カンファレンスの考察。水のセキュリティを取り巻く議論は毎年新しいトピックが増えているわけではなく、世界的な水危機への認識を高めること、そして国際的に合意された水関連の目標とターゲットの達成のための協調行動を決定することが開催意義となる。健康のための水(栄養衛生面)・持続可能な生活のための水(農業エネルギー面)・水からの強靭性(洪水排水面)の3つの側面での各国のプロジェクトの動きをモニターし、今年は特に協力のための水(国境をまたぐ河川、湖沼、帯水層の利用に関する国家間協定)の考え方の浸透推進をメインテーマとしている。水へのアクセス、利用効率性は技術の進歩によって右肩上がりに成長を続けているものの、そのペース以上に人口が増えているため水問題は深刻さを増している。そのため限りある資源として水を捉え、深刻な問題となる前の緩和策を研究実践の両面で進めていく必要がある。
Action Research (UK strike)
今学期も多くの授業がストライキによって中止もしくはオンラインへと移行された。フランスや他のヨーロッパでも公務員の待遇に関するアクションが展開されているが、非西洋圏の留学生にとってはその影響が自分たちに及んでいるのにサポート・理解を頼まれるのは理解できず、本業であるサービスを止めることで社会を人質に取っている感があり、構造変化に対するアクションとして疑問を持っているメンバーが多い。前回の秋のストライキは3日の実施だったが今回それが19日間に増え、曜日によっては約半数の授業に影響が出た。教員側はストライキ実施日の給料は支払われないとしているものの、そうであれば授業料の返還は対価として当然であり、対面授業を望んで渡英してきた学生に対してのサービス対価としてオンライン授業では釣り合わない。Student Unionや各学部の有志の学生を中心に補償を求める活動が盛んになっており、4月以降も学長レベルとの話し合いがもたれるようだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?