【小説】ロックバンドが止まらない(109)
前回:【小説】ロックバンドが止まらない(108)
「どうだったよ、神原。実際に練習試合とはいえ、高校野球を見てみた感想は」
試合が終わり、球児たちがグラウンドの整備を始める頃になって、神原たちは練習場を後にしていた。帰りのバス停に向かう間に、久倉がふと訊いてくる。日は高く上がって、照り付けてくる日差しが夏のようだ。
「そうだな。『全振り』を読んで分かったような気になってたけど、実際に見てみると当たり前だけど、リアリティが段違いだったな。『全振り』もかなり細かく描写して