薬制薬事の雑記(3) 薬事に関する法令とは?

2019(令和元)年薬機法改正において、製造販売業者などの許可等事業者に「法令遵守体制」の整備が義務付けられました。

該当する事業者は次の通り。
・薬局(9条の2)
・医薬品/医薬部外品/化粧品の製造販売業者・製造業者(法18条の2)
・医療機器/体外診断用医薬品の製造販売業者・製造業者(法23条の2の15の2)
・再生医療等製品の製造販売業者・製造業者(法23条の35の2)
・医薬品の店舗販売業者・配置販売業者・卸売販売業者(法29条の3、法31条の5、法36条の2の2)
・高度管理医療機器販売・貸与業(法40条→法9条の2を準用)
・管理医療機器販売・貸与業(法40条→法9条の2を準用)
・医療機器修理業(法40条の2→法23条の2の15の2を準用)
・再生医療等製品販売業(法40条の7→法9条の2を準用)

ここでいう「法令遵守体制」の「法令」がタイトルの「薬事に関する法令」です。

根拠条文は次の通りです。

・麻薬及び向精神薬取締法
・毒物及び劇物取締法(昭和二十五年法律第三百三号)
・その他薬事に関する法令で政令で定めるもの
薬機法5条1項3号ニ
一 大麻取締法(昭和二十三年法律第百二十四号)
二 覚醒剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)
三 あへん法(昭和二十九年法律第七十一号)
四 安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律(昭和三十一年法律第百六十号)
五 薬剤師法(昭和三十五年法律第百四十六号)
六 有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律(昭和四十八年法律第百十二号)
七 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和四十八年法律第百十七号)
八 国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成三年法律第九十四号)
九 独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成十四年法律第百九十二号)
十 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成十五年法律第九十七号)
十一 再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成二十五年法律第八十五号)
十二 臨床研究法(平成二十九年法律第十六号)
薬機法施行令2条

何とも読みづらいので略称でまとめると、薬機法を含む次の15法令を遵守する体制を整備しろと言っていることになります。

(1) 薬機法
(2) 麻向法
(3) 毒劇法
(4) 大麻取締法
(5) 覚醒剤取締法
(6) あへん法
(7) 血液法
(8) 薬剤師法
(9) 有害家庭用品規制法
(10) 化審法
(11) 麻薬特例法
(12) PMDA法
(13) カルタヘナ法
(14) 安確法
(15) 臨床研究法
薬事に関する15法令リスト

(2), (4), (5), (6)をまとめて「薬物四法」と呼んだり、これに(11)を加えて「薬物五法」と呼んだりすることがあるようです。薬機法(指定薬物)と毒劇法(いわゆるシンナー遊び)にも規制薬物に関する規定があることには注意が必要です。

薬剤師国家試験に出題されるような法令は薬事に関する法令じゃないのか?と聞きたくなりますが、おそらく厚生労働省が所管するものだけを選んでいるのでしょう(例えば、化審法は経産省・厚労省・環境省が所管していますが、化管法は経産省・環境省が所管しており、厚労省は含まれていません)。

ちなみに法令遵守体制に不十分があった場合、大臣/知事は改善命令を出すことが出来ます(72条の2の2)。罰則規定はありませんが、この条文が該当する段階では、他の違反も生じていることでしょう・・・

*許可/届出の対象ではない次の業種には義務付けられていません。
・一般医療機器/医薬部外品/化粧品の販売

*パブコメの回答で以下の業種は対象外であることが明確化されています。
・外国特例承認取得者(選任製造販売業者は対象になる)
・外国製造業者
・原薬等国内管理人
・外国製造業者認定の代行人

*ガイドラインが3つ公開されていますが、再生医療等製品の販売業に関するものはないようです。
・令和3年1月29日 薬生発0129第5号「「製造販売業者及び製造業者の法令遵守に関するガイドライン」について」
・令和3年6月1日 薬生発0601第1号「「医療機器の販売・貸与業者及び修理業者の法令遵守に関するガイドライン」について」
・令和3年6月25日 薬生発0625第13号「「薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン」について」


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