或る薬剤師の文転院進②就職〜試行錯誤の院試(20210526)

続きです。

そうして、未経験新卒なのに中途枠9月入社という社会人デビューを飾ります。
もう一般的な社会人からのズレが深刻で逸脱パーソンとして生きるしかなくなります。

やるとなったらそれなりに真剣に臨んでしまう、不真面目と真面目の間で揺れ動くタイプですので、保険薬剤師時代もそれなりに壁にぶち当たり、苦しみました。
最終的にトレーシングレポートの活用にやり甲斐や活躍の可能性を見出したりしました。2年で退職するのですが...

社会保障制度の運用に携わるということは出来なくなってしまいましたが、公務員試験を通じて知ったことがありました。
それは社会人の大学院進学です。
公務員には要件を満たすと積極的に大学院進学を支援する仕組みがありました。
就職をしても働きながら学ぶ、研究するという道があることを知ります。

公務員であれば学費を行政機関が負担してくれるのですが、今の私は民間の雑兵でしかありません。
働きながら大学院進学をするのであれば、学費を貯める必要があります。
保険薬局での仕事はそれを目標にして臨み、同時に社会保障制度を学ぶためにはどういう進学をすれば良いのか考えるようになります。

社会保障にはいろいろと分野があります。
医学や薬学にも医療技術評価(HTA)というものがありますし(QALYどうのこうのというやつです)、法学にも社会保障法というのがありますし、政治学にも福祉国家論といったものがあります。
その中で私は学部生の頃に、
・マンキュー『入門経済学』
・ハイルブローナー『入門経済思想史』
を非常に面白く読んだことから、経済学に興味を持ち、社会保障論やら医療経済学やらといった分野に進もうと決めました。

ここで問題になるのは文転になるということ。
理系の修士ならイメージが出来ますが(研究室を受ける感じ、実験漬け、論文紹介フルボッコゼミ)、文系の修士はどうもそうではないらしい。
研究室に所属するのではなく、授業を取り指導教官に相談しながら修士論文を書くという感じ(?)らしい。
そういったこともよく分からず、周りにそういう方もおらず、手探りです。

とはいえ、どこを受けるかは制約条件から考える方が早いので、そうしました。
第一に、私大の学費を準備するのは難しい。なので国公立であること。
第二に、仕事を続けないと学費を準備するのは難しい。なので夜間休日に通える大学院であること。
第三に、二と関連しますが、現在の住処から通えるということ。なので、東京埼玉とその近郊であるのと。
第四に、これも二と関連しますが、働きながら受験の準備が出来るということ。TOEFL iBTも試しに受けてみましたが、必要と言われる80〜100には遠く及ばず...
最後に、当たり前ですが社会保障を専門にする教職員が在籍している大学院であること。

これらを鑑みたとき、お茶の水にある某医療系大学の医療経済コースが適しているように思われました。
そしてここを受験します。
2018年の秋でしたので、就職して1年経った辺りです。
ここの試験は書類と面接のみです。しかも研究計画書すら求められません。
今考えると、公務員を受け入れることを前提としたコースだったのかな...と。
国立系の機関にはこういう背景がそこそこあったりするように思います、やっかみかもしれませんが。

当然落ちます。

はてさて困りました。

(続く)

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