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ミスチル歌詞から紐解く アルバム全曲解説 19thアルバム「重力と呼吸」[皮膚呼吸]

19thアルバム「重力と呼吸」ラスト10曲目の曲です。歌詞全文引用します。

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と、ある日
顳顬(こめかみ)の奥から声がして
「それで満足ですか?」って
尋ねてきた

冗談だろう!?
もう試さないでよ
自分探しに夢中でいられるような
子供じゃない

生意気だった僕なら
なんて答えてるんだろう?
あぁ世界はあまりにも大きい

深呼吸して 空を見上げて 風に吹かれて
いつからか 砂に埋めた感情を
まだ生乾きの後悔を 噛み締める
I'm only dreamin', but I'm only believin'
I can't stop dreamin'
このまま
変わっちまう事など怖がらずに
まだ夢見ていたいのに...

高架下では怒鳴り声にも似た音がして
時間(とき)が猛スピードで僕を追い越して行った

意味もなく走ってた
いつだって必死だったな
昔の僕を恨めしく懐かしくも思う

でも
皮膚呼吸して 無我夢中で体中に取り入れた
微かな酸素が 今の僕を作ってる そう信じたい
I'm only dreamin', but I'm only believin'
I can't stop dreamin'
このまま
切なさに息が詰まったときが
それを試すとき

出力が小さな ただただ古いだけのギターの
その音こそ ゆがむことない僕の淡く 蒼い 願い
サスティンは不十分で今にも消えそうであっても
僕にしか出せない特別な音がある
きっと きっと

I'm still dreamin'
無我夢中で体中に取り入れた
微かな勇気が 明日の僕を作ってく そう信じたい
I'm still dreamin', but I'm still believin'
I can't stop dreamin'
このまま
苦しみに息が詰まったときも
また姿 変えながら
そう今日も
自分を試すとき

<出典>皮膚呼吸/Mr.children 作詞:桜井和寿

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桜井さん曰く、歌詞について
今の科学では正しくないって言ってるけど、昔、金粉を体に塗ると皮膚呼吸できなくなるから死んじゃうみたいな話を聞いて、人間てそんなに皮膚呼吸しているんだと思ったことがあって、多分、その昭和がかかせてるんでしょうね、きっと(笑)

ただ、意識してやっているものでない。皮膚呼吸は意識してできない。でもやっている。まさにバンドとかを長くやっていると、こういう風にしたほうが良いっていうのが正解になってしまい、物事が進んでいくことがあって、実際に正解なこともあるけれど、実はそんなことよりも、何にも考えないで、何にも意図しないで音が鳴ったときに無意識に反応しあっていることが、バンドにとっての皮膚呼吸だったりして、実は重要なんだよっていう感じ。

このアルバムを通しての全体のインタビューで答えていたことと繋がりますね。無意識を意識下に置くという逆説的王道をいくことの重要性。なぜなら、無意識下には、その音の感情に結び付くために渦巻いている膨大なデータがあるはずだから。すなわち、膨大なデータとは培ってきた経験値。この経験値から作業をしたほうが自ずと良いものができる。わたしもおこがましいですが、この感覚がわかります。何か物事を新しく始めるにあたり、その事をまずうまく運ぶには、ある程度ルールを作って、そのルールに従ったほうが上手くいきますよね。ただ、このルールに従っている以上、それより上振れることはない。より良いものを生み出すには、上振れるための余白が必要であり、その余白には決め打ちせず、その瞬時の余白の最適解を自分の経験値から見出すことで、上振れたクリエイティブを生み出せる感覚が私にもあるんですよね。

最後に私が最も印象的だった歌詞を。最後ですね<<また姿 変えながら・・・・自分を試すとき>>で締めくくられるわけですが、やっぱりこの表現は今回のアルバムのテーマでしょうね。ミスチルが様々な経験を積み、リスナーに飽きられないように常に音楽を作り続ける中で、前作のアルバム「REFLECTION」ではあらゆるタイプのメッセージを全種類やりきることで時代と向き合った。今回のアルバムでは、長いツアーを経て、自分たちの挑戦したいことがロックバンドとしてのミスチルだという選択して、よりロックなミスチルをこの時代に試してみたと。試すといってもそのレベルが最上級であるので、もはやロックに突き抜けて完成してしまったというところでしょう。やっぱり天才だな、彼らはとね。

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