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スケッチまとめ

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ある町のスケッチのまとめです。
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記事一覧

あとがき  架空の町の貌

これ、というのはスケッチのシリーズですが、去年の夏の終わりから書いてたみたいですね。中…

サミダレ町スケッチ  20  最終話  グレートコンジャンクション(大会合)  SKETCH…

彼と音楽好きの少年が、彼の家の、作業スペースである一室にこもっている。いまは作業の仕上…

サミダレ町スケッチ  19  グレートコンジャンクション(大会合)  コートを買う日…

磨かれた自分の手を見ながら歩いていて、人にぶつかり、睨まれた。軽く頭を下げて詫びた。睨…

サミダレ町スケッチ  18  グレートコンジャンクション(大会合)  竜王の棋譜

銃弾を手に入れてから、友人が取り組んでいたのはモデルガンの改造だった。改造には発砲に耐…

サミダレ町スケッチ  17  グレートコンジャンクション(大会合)  ヴァジュラエス…

開店前、いつもの日課として、この店をどう改良するかを考えている。オレンジ色のパラソルを…

サミダレ町スケッチ  16  グレートコンジャンクション(大会合)  強さについて

とっくに朝の食堂の掃除を終えたのだが、店主はまだ倉庫から出てこない。寝ているのだろうか…

サミダレ町スケッチ  15  グレートコンジャンクション(大会合)  コートを買う日

十分な金が貯まったとき、もう冬は訪れていて、雪こそ降らないものの雨が降れば冷たく、晴れた日だとしても体が冷えてしまう。 普段通りに路地裏で朝を迎え、尻のポケットに手をやる。紙幣の厚みがある。これだけあれば買えるはずだ。今日、中央市場に行こうと思う。いま着ている汚れたジャケットなどではなく、念願の温かいコートを買って着るのだ。 光が差すほうへ目を向ける。暗闇から見ているせいもあるだろうが、路地裏の出口はいつもより明るいような気がした。 まっとうな買物客として中央

サミダレ町スケッチ  14  小腹がへる問題

朝、まずは中央市場の食品売り場で仕入れをする。まだ腐っていない肉を見つけてそれを買う。…

サミダレ町スケッチ  13  書くということ

白いナイロンの上着がわたしの作業着で、その上着の背中には看板替わりの文字が踊っている。…

サミダレ町スケッチ  12  殺すためのもの

僕らはーーというのは僕とその友人だがーーある日偶然、中央市場を歩いていて、やはりまた偶…

サミダレ町スケッチ  11  ブルースカイ・ムービーシアター

元々はサッカーやラグビーなんかのグラウンドだったところに、夜の九時、町の連中が集まる。…

サミダレ町スケッチ  10  デビルエスプレッソ

客用の日よけも兼ねて、かわいいオレンジ色のパラソルを広げてみたが、やはりこれが露店であ…

サミダレ町スケッチ  9  遊びの発明

ぼくはいま10歳かそこらだそうだ。周りのやつらもだいたいそのくらいの歳なのだろうと思う。…

サミダレ町スケッチ  8  将棋いくさ

かつて立派な電車が停まった駅も、廃線になってからは荒れ放題であり、あちこち破られた鉄条網の先の線路は、伸びに伸びた雑草と腐ったゴミと狂犬病の野良犬がいるような状態となった。そこに寝起きする者もない。俺たちは線路からやや離れた駅前に住んでいる。駅前はまだましな状態だ。 この駅前にはなぜか大量にベンチがある。電車が通っていたことを考えても多すぎる。広場として使われていたのだろうが、それにしても多い。おかげで助かってはいるのだが。 朝、駅前のそこら中から起きてきた連中が