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テレビ業界を目指す人だけ読んでくれればいい記事

フジテレビでディレクターをしています日置です。

つい先日こんなDMを頂きまして…

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この時期になると大学生や高校生からこんな相談を頂くのです。ツイートのリプで色んなテレビマンに爆弾投下するように質問してる人もいればDMで送ってくる人もいます。
ただ、返答しても最終的に「映像の道に進むことになりました!」も「ダメだったので〇〇って会社に就職しました」も無い。まぁネットなんでそれぐらいライトでもいいと思いますが、一応「どうだったかな」なんて気にしたりもしてるんです。

(全然、関係ないけど今思い出した。7〜8年前に営業部の人に頼まれて「現場の話してあげて」って言われて、なんか偉い人の大学生の息子のOB訪問受けたな。アイツ今どうしてるんだろ?あれからメールすら貰ってないけど。別にいいけど。)

そんなDMの行違い的なことがあってツイートしてたら数年前に僕がリプを返した人から「この春から映像業界に行くことになりました」なんて連絡を貰えて、すごく嬉しかったんです。

で、毎年「テレビ局に入るには何学部に行けばいいですか?」「何を大学でやっているとテレビ局に入れますか?」的な質問が僕なんかにも一応来るのでこのnoteに書いておけば「note見ろ」で済むかなと思い記事にすることにしました。

とはいえ、いわゆる就活テクニックやら「面接ではこんなことが聞かれる!」みたいなことを書くつもりはないのでそういったことが知りたい方は他の記事を探したほうがいいと思います。あくまで個人的なことと考えだけを書かせていただきます。

ちなみに何でそんなお節介なことを僕がするのかと言うと、毎年来る質問に同じように返信するのが面倒…ってのは建前で、テレビ局もそれなりに人材難になってきてると感じています。「ネットの方が面白い」「テレビはしがらみが多くて窮屈」「もう給料そんなに高くないらしい」みたいなことを言われているので、いい人材が他に流れていくのはしょうがないことです。
それでもテレビ局で働きたいって少しでも思っている人がいたら、その背中を押したいなと。そんな志高い人が集まればテレビもまだまだ面白くなれるんじゃないかと思っているわけです。いや、今も志高い若手がたくさんいるんですけどね。

ここからはよくある質問に対して僕が必ず返す答えを書いていきます。何度も言いますがあくまで個人の意見です。会社の意向とかでは無いですし、僕は会社の中枢にいないので何の力もコネもありません。ただの1ディレクターの戯言と捉えて頂いて結構です。

Q.何学部に入ればいいですか?

どこでもいいです。何なら理系でも文系でも関係ないです。なぜなら何を勉強したかより、何を勉強して何を感じたかの方が重要だからです。何なら何も勉強しなかったでもいいと思います。その代わりに、人生でこんなことをしてきてそれが勉強になったということがある方が尊いと思います。
僕の周りには経済学部出身も、法学部出身も、理工学部出身も建築学部出身もいます。学部関係ないんです。
ちなみに僕は教育学部でした。学校でメディアのことも勉強しましたが、番組制作において役立ったことはほとんどないです。

Q.コネがないとダメですか?

ダメじゃないです。でもコネ入社はあります。何をもってコネというかわかりませんが、某企業の社長の令嬢や大手広告代理店の重役の息子はたくさんいます。いますが、全然その人たちは無能じゃありません。すごい有能な人が多いです。小さい頃から色んな物を学ぶ機会や芸術に触れる機会が多かったんでしょう。3ヶ国語喋れる人や人脈が凄い人、何十カ国も旅をした人、「孫正義の家で・・・」的な超面白いエピソードトークを持っている人がいます。勝てないです。
で、そんな家柄じゃなくても僕みたいなフツーの人にも門戸は開かれています。僕の親は大学も出てないですし、何のテレビ局との繋がりもなかった人ですけどちゃんとフジテレビは試験を通してくれました。
「コネ入社ばっかりじゃないか」と文句を言っている人がいますが、コネが無くても入れる枠があるのです。だから頑張ってくださいとしか言い様がありません。僕が何を評価して頂いたのかは今でも全くわかりませんが。
ちなみに僕はOB訪問もしていません。訪問できる知り合いがいなかったからです。試験でちゃんと自分をアピールできれば、コネも何も関係ないはずです。

Q.テレビ業界を志したのはいつですか?

高校2年ぐらいだったと思います。小中高と野球をやっていて、何となく高校2年ぐらいの時に「あ、プロ野球選手にはなれないな」と気づきました。
でも野球は好きだし、野球に携われる仕事に就きたいと思いました。野球中継をやっているテレビのスタッフかアナウンサーになれば、それが叶うかなと思ったのがキッカケです。
仕事を調べているうちに、バラエティ番組のスタッフというのがあるのを知り目指しました。お笑いも好きだったので、そっちをやりたいと思いました。もう野球が関係なくなりました。夢なんてそんなものです。
バラエティのスタッフと言っても、プロデューサーとかディレクターとかそんなものは入社するまでよくわかってなくて、「ハハハハハ!」とカメラの向こう側から笑って、収録が終われば芸能人と仲良く遊べるのがテレビのスタッフなんだという認識でした。
進路指導の先生にテレビ局に入るにはどうしたらいいか聞いて、「早稲田と慶応出身が多いらしい」というフワっとした情報を元に、早稲田大学に入りました。※結果的にその情報は正しかったです

Q.編集はできたほうがいいですか?

出来るに越したことは無いですが、就職してから嫌が応にも覚えます。僕が入社してしばらくはVHSテープで編集する機械があって(※通称キュルキュル)、それでオフラインしてました。2010年前後からファイナルカットで編集するようになり、今はプレミアを使ってます。局や番組によってアビットっていうのを使っているところもあるようです。
つまりソフトが変わったりするとまた一から編集ソフトの使い方を覚えるので、今使える編集ソフトが仕事で役立つかどうかはわかりません。
また、編集が出来るから優秀っていう訳でも無いので、他にも色んな経験を学生のうちに積んでいたほうがいい気がします。

Q.しんどいですか?家には帰れないというのは本当ですか?

しんどいのは本当です。でもそれはどんな仕事だってしんどい瞬間はあると思います。それは体力だけではなく精神的にも。なかなかアイデアが浮かばなかったり、自分の考えたものが形にならなかったり、相手にうまく伝わらなかったり、先輩に怒られたり・・・どの職場でもあることです。仕事は一人だけでは出来ないので、色んな困難が起きます。でも助けてくれる人もいます。それも、何人もの人が関わって仕事をしている良さです。
家には帰れます。泊まりの仕事はあります。ありますが、僕がADの頃よりだいぶ少なくなりました。編集が大詰めでなければみんな10時ぐらいには帰ります。というかADが一番早く帰るように言われます。それくらい働き方改革が進んでいます。僕も仕事が無ければ昼ぐらいに帰ることもあります。ADさんが帰りづらくならないように率先して帰ります。
ADさんは基本土日は休みです。旅行もデートも行けます。むしろ、行ってください。


と、思いつく「よくある質問」には答えました。何か思いついたらまた追記します。
とにかく言いたいことは「テレビ業界もまだまだ楽しいことあるよ」ってことです。


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