傍聴席に堺が最前席に座り、離れた場所に家中と瀬良が座り、隅の席に橘と葛城が座っている。 無動が弁護人席で裁判の用意をしていると、反対の席で無動を威圧的に睨む執行委員の高坂智則。 裁判官席に三つのモニターがあり、それぞれにシルエットで隠された裁判官達の口元のみ映し出され立する無動と高坂。 「では、自治区裁判を始めます」 着席する無動と高坂。 「執行委員、起訴状の朗読を」 起立する高坂。 「起訴状、被告にん大山鉄也は五月十日、午後三時四十五分。旭ロードの一角
無動がバスで目的地である生徒指導館まで行き、手続きを済ませ面会室で被告人である大山の入室を待っていると、顔に痣や所々に絆創膏や包帯を巻いた大山が入室してきた。 アクリル板を挟み迎え合わせに座る無動と大山。 「大山さんの弁護を担当する無動です」 「……」 「その痣、痛そうですね」 「……」 「反応なしっと……」 「大山さんには黙秘権があります」 「……」 「ですが、黙秘を続けると裁判で印象が悪くなりますので、気を付けて下さい」 「……」 鞄からのノー
茹だる炎天下の中、冷房を利かせたバスが到着すると、我先と乗り込む学生達。 車内はすし詰め状態になる中、座席から外を眺めている茅野絵里は他校のステッカーが貼られているカブが颯爽と走っている姿に目を輝かせ、バスを横切って行く瞬間に女子高校生に手を振ると、女子高生が振り返してくれた事に嬉しくなり、これから始まる学生自治区での生活に期待を膨らませた。 自治区陵南高校予鈴が鳴り、慌てて職員室に向かう茅野。 「転入初日に遅刻ギリギリとはねぇ……」 腕組みをして、茅野を見上げ