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パーキンソン病を、深掘りちう2✌️

おはようございます。

前回は、パーキンソン病を診断する上で使用される【ブレインバンク診断基準】についてみてきました。

今回は、2015年にInternational Parkinson and Movement Disorder Society(MDS)が提唱した診断基準をみてみようと思います。

International Parkinson and Movement Disorder Society(MDS)

なんでも、こちらの診断基準は

特異度が90%以上になる事を目標とした厳格な診断基準
clinically established Parkinson's disease
感度・特異度の両方が80%以上となる事を目標とした実用的な診断基準
clinically probable Parkinson's disease
【参考文献】
【パーキンソン病診療ガイドライン2018 序章 パーキンソン病とは】

の2つで構成されているそうです。

ん?この違いはなんなんでしょ?

とりあえず、どんな内容なのかをみてみますと、

パーキンソンニズムの定義として
1.運動緩慢がみられる事
2.静止時振戦か筋強剛のどちらかの一つがみられる事

ブレインバンク診断基準で入っていた、姿勢保持障害が外されています。
パーキンソン病では、姿勢保持障害は、進行期に出現されます。
そのため、早期には他の疾患のことを考慮しないといけなくなるそうです。

なるほど、確かに、パーキンソン病は運動症状の出現はかなりの進行を示しますしね。ですが、まぁ、運動緩慢が出現しているというところで、立ち直り反応などは出にくくなっているようにも思います。
筋強剛も同じで、関節を屈伸させる時にどちらに動かしても抵抗感を感じるため、筋弛緩が十分に行われないです。
その際にも、姿勢保持障害への影響もあるかなって思います。

一旦、内容をみてみることにしてみます。

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特異度が90%以上になる事を目標とした厳格な診断基準
clinically established Parkinson's disease
感度・特異度の両方が80%以上となる事を目標とした実用的な診断基準
clinically probable Parkinson's disease
【参考文献】
【パーキンソン病診療ガイドライン2018 序章 パーキンソン病とは】

この二つの違いは、英語をみると【確実パーキンソン病】か、【ほぼパーキンソン病】かの違いでして。

内容的な違いは、【確実】な方は、2つい上の支持基準に合致していて、相対的除外基準がみられないって事で、【ほぼ】な方は相対的除外基準と同数以上の支持基準がみられていて、2つを越える相対的除外基準がみられないってことだそうです。

ふむふむ。ドパミン補充療法を行ってみて用量の増減でUPDRS Part 3でのスコアが30%を越える症状の変化があることになっているわけでしたね。


そして、嗅覚喪失や嗅覚低下もあったかぁ〜。ちょっと、これは、臨床上では、ほとんど確認した事がなかったので確認してみることにしてみます。

MIBGシンチグラフィ

MIBGシンチグラフィによる心筋交感神経系の脱神経初見。発症早期からMIBGの取り込みの低下が多くみられるっていうけど。

MIBGってってなったので、調べてみると。

【参考にしたサイト: 画像診断.jp 123I-MIBG心筋シンチの画像診断(H/M比の値、パーキンソン病、DLBの診断)】

MIBG(123I-metaiodobenzylguanidine)ってのは、ノルエピネフリンと同じ働きをする物質で交感神経終末に取り込まれ、貯蔵、放出される。

MIBGがよくわからぬ。。。。

で、ここを、みてたところ。
ここの図をみたら、しっくりきました。
MIBGの心筋への集積は主に能動輸送のuptake-1によっておきてて、正常心筋では多くの交感神経終末があるので、MIBGがたくさんとりこまれる。

で、障害心筋の交感神経機能がなくなっちゃうので、MIBGが取り込めないと。

さらに、動物実験でこのMIBGの取り込みが、集積が心筋での交感神経機能とよく相関するってことだそう。
はーなるほど。だから、MIBGをみるってわけね!

で、さらにさらに、健常人やParkinson症候群ではMIBGの取りこみの低下はほとんどみられないって事から使っているわけか。なるほど。

で、取り込まれないと、交感神経が働いてないってことだから、自律神経障害が出てくるわけか。

はーしっくりとしてきましたわ!!


さらに、MIBGが集積低下する病理形態学的根拠ってのが報告されています。

【引用開始】
剖検心臓の検討では,Lewy 小体病では特異的に心臓交感神経が変性しており ),これが Lewy 小体病に認められる MIBG 集積低下の病理形態学的な根拠と考えられている.
Fig. 3 は PD および類縁疾患における心外膜神経束の tyrosine hydroxylase(TH)染色である.PD(Fig. 3b)ではコントロール(Fig. 3a)や他の変性疾患に伴うパーキンソン症候群(Fig. 3c~e)と異なり,心外膜神経束の TH 陽性線維が激減し心臓交感神経の変性・脱神経が認められる.

画像2

Fig. 3 Tyrosine hydroxylase (TH) immunostaining of epicardial nerve fascicles and macroscopic findings of the midbrain in neurodegenerative
parkinsonian syndrome.TH-immunoreactive nerve fascicles are markedly decreased in Parkinsonʼs disease (b) in contrast to a control subject (a) and the other neurodegenerative parkinsonian syndromes (c, d, e).Depigmentation of the midbrain due to degeneration of melanin containing dopaminergic neurons is observed in neurodegenerative parkinsonian syndromes (g, h, i, j) in contrast to a control subject (f) .
【引用終了】
【引用元】【織茂 智之 パーキンソン病の診断と治療の新たな展開 臨床神経学 57 巻 6 号(2017:6)
【DeepL翻訳開始】
図3 神経変性パーキンソン症候群における心外膜神経筋群のチロシン水酸化酵素(TH)免疫染色と中脳の巨視的所見。TH免疫反応性神経筋群は、パーキンソン病(b)では対照群(a)や他の神経変性パーキンソン症候群(c、d、e)と比較して著しく減少している。神経変性パーキンソン症候群(g、h、i、j)では、対照群(f)と比較して、メラニンを含むドーパミン神経細胞の変性による中脳の色素沈着が観察される。
【DeepL翻訳終了】

いやーなるほど。ちゃんと、脳との相関もみられるっていうところね。

それにしても、よくこんな相関関係に気づくもんだな。

自律神経症状が出るから、なんでだろうっていう事で、心臓も調べてみるかって事だったんだろうなぁ。

それでは!

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