須永慶三は4年程前まで横浜に居た。
須永が横浜に居たときに友人の一人にこう言われたことがある。

「お前は横浜で一番嫌な奴」

そう言われた須永は否定する事もなかった。
むしろ、そうなのかもしれないとすら思った。
自分はもしかしたら横浜で一番嫌な奴なのかもしれない。そう思う様になった。

須永にそう言った人間はその一言を言う前に何かを懇願しており、須永は懇願されている最中にもかかわらず友人を車から降ろした。
その時に言われた事だった。

横浜から千葉に転居した須永はその年幕張メッセにソニックマニアを見に行った。確かフライングロータスがラインナップされていたからだった。

須永は幕張メッセに着くと会場に入って行った。

とにかくあまり興味の持てない詰まらないライブばかりでいくつかに別れたステージを移動し続けた。

お目当てのフライングロータスの時間になったので会場に行くと3Dのメガネを渡されたのでかけてみた。滑稽な赤いフチのサングラスだった。会場中ほとんど満員の客で埋め尽くされていたが妙だったのは9割くらいの人間が踊っていなかった。たまに踊っている人がいるのだがそれ以外はだだっ広い会場に密集してただ棒の様に立っていた。
須永は日本は滅亡するかもしれないと思った。
ほとんどの客がフライングロータス目当てでそこにいるはずなのにも関わらず死体の様に、または棒の様に突っ立っていた。
リズムアプローチが細かく複雑すぎるのか、、、須永には分からなかった。

それで死体の群れの様な会場を後にしてサンダーキャットを見に行くと演奏会場が広すぎたのか音響が良くなかったのか全く何をやっているか分からなくて直ぐに帰った。



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