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超ざっくりとマレーシアのこと書いてみました

こんにちは。アセアン進出支援協会の阿部です。

アセアンの国々紹介、超ざっくりシリーズの第4回は「マレーシア」のことを書いてみたいと思います。


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▼マレーシアってどんな国?

マレーシアの主要な国土は、マレー半島とボルネオ島の北部側の部分から構成されています。上のイラストをみてもらうと分かるように、朱色の点線で囲まれた部分がマレーシアで、南シナ海を挟んでマレー半島とボルネオ島の上1/3部分から構成されているんですネ(ボルネオ島の一部分は小さくて見えにくいですが「ブルネイ(Brunei)」という国があります。また下2/3はインドネシア領です)。

この2つの部分をあわせるとどれくらいの大きさかというと、日本の北海道と本州・四国をあわせた位の広さと言われています。

首都は、マレー半島にある「クアラルンプール(Kuala Lumpur)」。よく、KLなんて呼ばれ方をしています。

マレーシアに暮らす人々の主な民族はマレー系(67%)、中華系(25%)、インド系(7%)などの人々から構成されていますが、昔から民族間の衝突が大きなニュースになるようなことはあまりなく、互いを尊重する「多民族・多文化・多宗教・多言語」の社会が構成されています。

とくに首都のKLは、当地の人に加えて観光客も相まって、非常に国際色豊かな状況を呈していると言われています。

実際、私もKLにはトランジットの際に少しの時間だけ立ち寄ったことがありますが、アジア系、アラブ系、ヨーロッパ系といろんな国の人たちがいて、特に空港はそれぞれのお国柄を表すような服装の人たちで賑わい、とても活気があった印象が強く残っています。


▼マレーシアの歴史をざっくりと

マレーシア概要

マレーシアは上の地図をみると分かるように東南アジアの中心に位置していて、マレー半島を経由して、東南アジアの大陸部と群島部を結ぶ交通路となっているだけでなく、インド洋と太平洋を結ぶ最短航路にもなっていて、古くから周辺国の地域情勢に敏感に左右されてきました。

もともと小さな国々があるだけで、国家組織としての成熟が遅れていたマレー半島に、14世紀頃最初の小国家「マラッカ王国」が成立しますが、この頃陸続きのタイ(当時はシャム)のアユタヤ朝からの侵攻を受けています。アユタヤ朝はマレー半島にあった国々に定期的に貢物を献上させることで、服従を誓わせました。

15世紀になるとヨーロッパで大航海時代がはじまります。ポルトガル、スペイン、イギリス、フランスといった国々は競って海外進出を進め、マレーシアは16世紀にポルトガル、17~18世紀にはオランダ、18世紀~20世紀はイギリスと、マレー半島の国々はその時代の欧米諸国の趨勢の反映を受けて変遷してきました。

18世紀後半のマレー半島には、ジョホール、アチェ、パハン、ペラク、ケランタン、トレンガヌ、ケダ、セランゴールといった数々の王国が存在していましたが、これらの王国のいずれもがイギリスの強い影響を受けました。


▼戦後の独立とマレーシア独特の政治事情

第2次大戦後の1946年、マレー半島で今のマレーシア連邦の礎となるマラヤ連合が発足し、1963年には今のマレーシア連邦が成立しました。マレーシア連邦成立当初はお隣の国シンガポールも入っていましたが、シンガポールは連邦成立からたった2年で離脱してしまいます。

色々な事情があってシンガポールは離脱してしまうのですが、その理由の一つがマレー人を優先させた特権だったと言われています。

冒頭に紹介したように、マレーシアに暮らす人々の6割以上がマレー系の人々です。ところがシンガポールは事情が少し異なり、中華系74%、マレー系13%、インド系9%という民族構成になっています。シンガポールの人口に占める中国人比率が高かったことから、「マレー系:中華系」の比率が逆転してしまうことを恐れて、マレー人を優先させる政策が執られたのです。


▼マレー人を優遇するブミプトラ政策

マレー人を優先させた政策は「ブミプトラ政策」と呼ばれています。具体例をいくつかあげてみましょう。

1.教育分野:大学入学定員の割り当て

マレー系55%、中華系35%、インド系10%など

2.職業に関する分野:雇用の割り当て

マレー系55%、中華系35%、インド系10%など

3.住まいに関する分野:マレー系に対する低価格住宅の建設。不動産の値引き販売

4.融資に関する分野:マレー人、マレー系企業向けの低利融資制度の設定

…とこのようにマレー人を優遇する政策がマレーシアでは執られてきました。でも、国内では大きな民族争いは起きていません。むしろ、それぞれの民族の宗教観は尊重され、各々の宗教色を拝したお祭りが国内を彩っています。

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           (2016年にトランジットのため降りたKL国際空港)

▼マレーシアの宗教

マレーシアの国教はイスラム教です。マレー系住民の多くはイスラム教を信仰していて、国内では約61%の人がイスラム教を、20%の人が仏教を、9%程度の人がキリスト教を信仰し、6%程度の人がヒンドゥー教を信仰しているといわれています。

イスラム教は日本ではあまり馴染みがありませんが、断食月(ラマダン)に代表されるような、厳しい戒律があることで知られています。また、豚肉やアルコールは口にしないといったことや、さらにはそれ以外の加工食品であっても、正規の手順に則って加工されたものでなければ、口にしないといった決まりがあります。

このようにイスラムの教義に従っていると判断されたものを「ハラル(ハラール)」と言い、ハラルは食品だけでなく、化粧品や医薬品など広く適用されています。マレーシアの場合、この「ハラル認証」を政府系機関(JAKIM)が行っているという点でルールに透明性があると周辺国から認められています。

マレーシアの特徴に民族の多様性があることをこれまでも再三書いてきましたが、不思議と民族間の融和というものは進んでいないと言われていますが、それにはマレー人の大半がこのイスラム教を信仰していることにあると言われています。

というのも、イスラム教では「イスラム教徒と結婚する場合、非イスラム教徒も必ずイスラムに改宗しなければならない」とされていることから、マレー系イスラム教徒と結婚する多民族が少ないようです。


▼マレーシアの魅力

マレーシアは、台風や地震、洪水といった自然災害が少ない国です。また、先に述べたように、民族や宗教が多様であるにもかかわらず、民族間の争いは過去をみてもほとんど起きていません。むしろアセアンのなかで治安は良く、かつては日本人が海外移住先として行きたい国のTOPを10年以上堅持してきました。

最近では、タイやシンガポールにその地位を譲ることもあるようですが、依然としてその人気は高いようです。


食事も、マレー、中華、インドといった民族料理を楽しむことができますし、それぞれが多民族の料理に刺激を受けて、長所を取り入れながら発展したマレーシア料理を楽しむことができるのも特徴です。

私もいつか、たっぷり時間をとってマレーシアを訪れたいです。

ペトロナスツインタワー(photo AC)

                      (画像提供元:Photo AC)



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