バカにできない可視化の効果
こんにちは。ホワイトボックス(株)コンサルティング部の阿部です。
先日、金融機関の貸出残高が579兆円に及ぶという記事が新聞各紙に掲載されました。
新型コロナウィルス感染拡大の影響から多くの企業が経営ダメージを受けたため、国が無利子無担保での貸出支援を行ってきた結果だと理解できます。
しかし無利子無担保といっても、元金は返済していかなければなりません。そのためには、経営に関する指標を可視化して月次の推移をチェックし、対応していくことが有効です。
▽医療機関における可視化の例
私の仕事は医療機関における経営支援です。医療機関には、病院・診療所といった違いから、病院でも高額の機器を揃え救急医療に対応する医療機関から、高齢者を中心に慢性期の患者さんに対応する医療機関まで、その形態は多岐に渡ります。また、内科、外科、整形外科、皮膚科など、診療科によって受け取る報酬額には濃淡があります。
そのため、それぞれの領域で何人の患者さんが来て、1人当たりの単価はどのくらいだったのか、また新しく来た患者さんの数や、再診というリピーターがどのくらいあったか、などといった指標を月次管理していくことが有効になります。
▽業態の違いはあれど基本は同じ
医療機関は電子カルテの普及を通じて、様々なデータを分析することができていますが、こうしたことは他の業界でも同様でしょう。だとすれば、入手できるデータを様々な角度から分析し、経営に役立てていかない手はありません。このとき、数字を羅列するだけではなく、グラフ化するなどして視覚に訴えることが有効だったりします。
私が編集を担当しているメールマガジン「☆キラリと光る☆ 病院マネジメントのヒント」で、以前可視化をテーマにしたときの資料を参考に添付していますので、興味のある方はご覧になってください。実際にただの数字の羅列と、たかが折れ線グラフですが、後者のケースの分かりやすさは一目瞭然だと思います。
▽空中戦を地上戦に
私は、なんの資料もなく行われる議論を空中戦、一方で上記のように可視化した資料を用いて議論することを地上戦と呼んでいます。空中戦の議論のメリットは個々の思いをぶつけられること、また議論の飛躍から思わぬ発見へと導いてくれることにあると理解していますが、一方で根拠が不明瞭なため曖昧な議論になってしまったり、声の大きなほうが優位に立ってしまう点がデメリットだと考えています。
地上戦ではこのようなことがなく、根拠をもって仮説を展開していくという点でメリットがあります。ただ、資料に目を落としがちになってしまう傾向があるため、議論が盛り上がりにくいという点は否定できません。このあたりは、使い方次第ということになると認識しています。
▽おわりに
毎日/毎週/毎月のデータをとることは確かに面倒な作業です。でも、料理でもなんでも、一手間かけることで各段に違いがでることは、誰もが認めるところだと思います。例え面倒なことでも、習慣化してしまえばそのように感じることも少なくなるでしょう。
以前、懇意にさせてもらっている精神科の先生から、物事を習慣化するには21日間を一つの目安にすると良い、という話しを聞いたことがあります。「日々のデータを見ないとなんだかスッキリしない」となればシメたもの。まずは手を動かすことからはじめてみることをオススメします。
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