多拠点生活のススメ−#ADDress
今年の4月から始まった#ADDressという多拠点居住サービスを利用して7ヶ月半経過した。このところ俄然注目を集めているようなので、極私的他拠点生活のススメというか、良く聞かれる、乃至は一般の方が不思議に思うことについて、備忘録的にまとめてみた。良く取材されるということはまだ珍しいということだし、自分がその中でもマイノリティな使い方をしているのも自覚しているのだけれどね。
Q1:なんで#ADDressを使おうと思ったのですか?
王道質問から。元々、それこそ中学校の頃から当時1万円だった青春18切符を使い、テント担いで回るような旅行好き少年だったんです。それが高じて、江戸の五街道を徒歩で制覇したり、東日本大震災後に東北地方の太平洋岸を歩いて巡礼したりしていました。ちなみに今は奥州街道を歩いていて、日本橋スタートで郡山まで来ました。で、子供たちもみんな成人して身軽になったので、そろそろ旅の中で生活しようかなーと思い立ち、キャンピングカーを買ったんですね。それが去年の10月。だから、ADDressよりも先に、流浪の民生活をやろうとしていたわけです。毎日いろいろなところに移動して、移動先から都内に通勤するというジプシー生活をしようと。そんなときにたまたまADDressの立ち上げを知り、2月18日だったかにサービスのプレス発表があったときに聞きに行ったんですよ。とはいえ、普通のシェアハウスみたいにドミトリー生活は嫌だなーと思っていたら、個室の予約ができるというので、「これだ!」と思って、即その場で契約しました。絶対第一号だと思ったら、残念ながら会員番号2番でしたけど。
Q2:どんな使い方をしていますか?
日曜日の夕方入って、金曜か土曜の朝に出る感じですね。要は、平日使って、週末は自宅に戻る生活です。
Q3:え?自宅があるのに平日はADDressを使うんですか?
ええ。職場が汐留で、ご存知の通りコンクリートばかりの人工的な街で仕事をしていて、自宅も都内のマンションなんですよね。そうすると、bldg to bldgで全く味気ないわけです。ところが、ADDressの物件はたいてい微妙な、いや絶妙な距離感にあって、頑張ったら都心に通える場所なんですね。2時間くらいかかりますけど。そうすると、道々、海や山を見ながら帰ったり、目の前がすぐ海だったりするんです。一宮だと朝日を見てから出勤、南房総だと帰ってから夕日を観ることができます。めちゃめちゃ贅沢だと思いませんか?
Q4:通勤時間どれくらいかかるんですか?
だいたい2時間くらいですねー。一般的には通勤する距離じゃないと思うかもしれませんけど、30分とか1時間の距離で満員電車に鮨詰めにされるのと、のんびり座って2時間通勤するのと、どっちが楽だと思います?微妙な距離感だからこそ、ゆったり座って通勤できます。その間本を読んだり映画を見たり、自分の時間に使うことができますよ?それに週1回はリモートワークをしているので、滞在している拠点から仕事をします。
Q5:仕事は何をしているのですか?
外資系IT企業で人事をやっています。時間に融通が効くので、自由に働かせてもらっています。それに昨今の働き方改革の流れもあって、私が広告塔として自由な働き方を見せるのにも意味があるんです。今はテクノロジーが発達していますから、PCさえあれば、面接だってリモートでできるんです。そのときに海を見せたり山を見せたりして、「ほら、こういう働き方ができる会社なんですよ?」と言えるわけです。これって、応募者には魅力的じゃないですか?社員にもリモートワークを推奨していて、極端な話、実績出せばパチンコしたっていいんだぜ?と応募者には言っています。実際は実績出せない人ほどパチンコしますけどね。ただ、人事という仕事柄、対面で話す必要があることも多いので、完全リモートは難しいですが、職種によってはリモートワークは十分機能すると思います。
Q6:そういう働き方が今後は主流になると思いますか?
いや、ならないでしょうね。逆説的に思うかもしれませんけど。私たち50代以上の人間が、会社の上層部にいるわけですが、まだまだ保守的な人が多いですからねー。何時に来ようが何時に帰ろうがどこで働こうが、実績を出せばいいと思うんですけどね。人によって生活リズムは違うので、そもそも全員が9時に来て6時に帰るのは全く効率的ではないと思いますよ。朝方人間夜型人間いるんですから、その人が最も効率的に働ける時間に仕事してもらえばいいと思います。でも、残念ながら周りの目を気にする人が多いですから、なかなか難しいでしょうね。管理職が率先してそういう働き方をしないと若い人はやりにくいですよ。中高年こそ平日にADDressを使え!と言いたい。今でこそ、少しずつリモートワークが増えてきましたけど、それこそ自分が就職した30年くらい前にも「サテライトオフィス」を作る動きが流行ったんですが、すぐ下火になりましたね。働く人の意識が変わらなかったので。30年経ってようやくまだリモートワークが話題になるレベル感です。今の若手が会社の中枢を担う20年後くらいまで、ゆっくりとしか進まないのではないかと感じています。
Q7:ADDressの魅力はなんですか?
代表の佐別当さんですかねー。あー、すいません。嘘でした。ちょっと日和った回答してしまって反省です。私にとっては「日常と非日常の融合」が一番大きいです。毎日寝に帰るのは、どこに住んでいてもそんなに変わらないのですが、通勤途中に海や山を見たり、ちょっと足を伸ばしたらすぐ緑に触れることができるというのは、間違いなく魅力です。単純にビル to ビルだと毎日が無味乾燥でなんの彩もない日常の繰り返しです。でもADDressの拠点は絶妙な距離感にあるので、日常生活をしながら非日常な空間を同時に感じることができます。これが、私にとっては一番魅力的です。飽きっぽいので、毎週違うところに住むというのは「旅の中で生きる」ことができて、本当にたのしいです。もう一つは各拠点で他の会員さんや家守さんと交流できることですねー。私は平日利用がメインで、しかも都心物件には全く興味がないため、普段ほとんど他の会員には会わないですが、たまに会ったりすると、普段仕事では接点のない人たちが多い(フリーランスの人たちがメイン)ので、とても新鮮ですね。違う頭を使うので、良い刺激になります。
Q8:デメリットはありますか?
交通費ですねー。月額利用料は4万円と破格ですが、各拠点を回遊するので、月の交通費が10万を超えます。結果的に全くリーズナブルなサービスになっていませんね。若者が都心に住むなら、光熱費込みで4万というのは格安ですけどね。ただ、都心物件や1時間内で通える物件は、そういう若者が住むので、完全に普通のシェアハウスになっている感じがします。都内で光熱費込み4万とかあり得ませんから。そこは値付けの失敗だと思いますね。安すぎます。シェアハウス化すると、私はもう二度とその拠点に行きたくないですね。今後会員が増えて、最初のコアなメンバーから一般化していくと、そういう物件が増えてしまうのではないかと心配です。
そんなこんなで、私にとっては、本当に面白いサービスです。自宅は来年から娘が彼氏と同棲するので、私の居場所がなくなります。完全に「家なき子」いや、「家なきおっさん」。あ、それ一般的にはホームレスだ!なので、ADDressは強い味方。ぜひ成功して欲しいです。
ちなみに、本文と写真はほぼ関係ありません。
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