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テキスト版:昭和40年男の梶原一騎論

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(株)クレタバブリッシングから刊行されている隔月誌『昭和40年男』にて、2013年から2018年まで連載した「昭和40年男の梶原一騎論」の全話の本文とコラムをテキストのみで再録。
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2019年11月の記事一覧

第六回「初恋物語」(後編)(2014年6月号より本文のみ再録)

第六回「初恋物語」(後編)(2014年6月号より本文のみ再録)

初恋ー
だれもが一度は
その果実をかじる
しかし その果実の味が
同じであることは絶対にない
神はそれをやさしさで
与えたもうたのか
あるいは残酷さでー
(ジャン・コクトー)
 物語冒頭で引用された一文である。多感な思春期の連載当時、マンガやドラマでこうした愛や恋・青春に関する詩や文章に出会った時、それを忘れないようにノートに書き写したり、切り抜いたりして必死に暗記していたことを覚えている。恋に恋

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第五回「初恋物語」(前編)(2014年4月号より本文のみ再録)

第五回「初恋物語」(前編)(2014年4月号より本文のみ再録)

今回取り上げる『初恋物語』は、百を優に超える梶原一騎作品において知名度ではややマニアックな部類といえる。しかし、連載期間(80~81年)に多感な思春期を過ごし、恋愛のノウハウをメディアから学んでいた昭和40年男にとっては、思い出深い一作である。そこで今回は『初恋物語』について語っていこう!

※『初恋物語』作品データとあらすじ

ラブコメマンガ全盛に苦戦した時代 『初恋物語』が週刊少年マガジンに

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第四回「タイガーマスク」(後編)(2014年2月号より本文のみ再録)

第四回「タイガーマスク」(後編)(2014年2月号より本文のみ再録)

 1月21日は梶原一騎の命日である。没後27年。僕ら昭和40年男に多大なる影響や数多くの思い出を与えてくれた梶原作品の数々を、この連載を通じて可能な限り紹介していきたい。そして、これをキッカケに一人でも多くの方に作品に触れていただきたい。さて、今回は前号に続き『タイガーマスク』について語っていこうと思う。

※『タイガーマスク』作品データとあらすじ

主人公の命を狙う敵組織❝虎の穴❞の魅力 『タイ

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第三回「タイガーマスク」(前編)(2013年12月号より本文のみ再録)

第三回「タイガーマスク」(前編)(2013年12月号より本文のみ再録)

 今回取り上げる『タイガーマスク』は、本連載第1回で提示した梶原マンガ世代別分類でいう“第三世代”(※1)の初期作品である。昭和40年男にとって雑誌の連載(※2)が3〜6歳、テレビアニメ放送(※3)が4〜6歳だから、リアルタイムの記憶はおぼろげなものでしかない。むしろ、後に繰り返されるアニメの再放送に関する記憶がほとんどだろう。
 ちなみに筆者の、最も古い記憶は、保育園の友達宅にあった当時の大ヒッ

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