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映画の感想

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映画とかドラマの感想とか。
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2024年5月の記事一覧

「水深ゼロメールから」(2024)

「天然コケッコー」「リンダリンダリンダ」の山下敦弘監督作品。高校演劇が原作。 主題歌のadieuコラボも嬉しい。 真夏の水の無いプールは"青春"だと思う。ほぼ全編、プールでの女子高生の会話だけという、まあ地味と言えば地味な、でもじぶん好みの青春邦画です。 ラストの、決意を秘めた子の眼差しが良いです。

「ゴジラ-1.0/C」(2023)

配信に来てたのでモノクロ版を。 「浜辺美波は小津映画の女優さんを思わせる」って友人に話して笑われましたが、こないだ佐野史郎が同じことを言ってててちょっと嬉しかった。この映画のモノクロの浜辺美波は現代的な顔立ちなのに不思議に昭和の風情があります。サザエさんヘアーもよく似合う。 「シン・ゴジラ」が「組織vsゴジラの物語」ならこの映画は「個人vsゴジラの物語」と見立てられる気がします。神木隆之介演じる臆病な特攻隊員がゴジラと向き合うことで、自分の「戦争」を終わらせるお話。 「生き

「霊験お初 〜震える岩〜」(2024)

宮部みゆき原作のホラー風味時代劇ミステリ。上白石萌音ちゃん主演。 萌音ちゃん日本髪が似合う。熱演の「怪談牡丹燈籠」は焦がれ死んで幽霊になる武家のお姫様、「中村仲蔵出世の階段」はきっぷの良い三味線のお師匠さんでしたが、今回は聡明な町娘。ちょっと頼りなげな同心見習いとの「バディ物」、ちょっと天然な同心を叱る元気のいい娘は高畑充希と星野源の「引っ越し大名」を思わせるコミカルさが楽しいですが、そこは宮部みゆき、100年前野赤穂浪士討ち入りの悲劇から始まる、幽霊の物悲しさ。

「生きとし生けるもの」(2024)

渡辺謙、妻夫木聡、原田知世。余命三ヶ月を宣告された男。彼に寄り添おうとする若い医師。自分もこれが他人事ではなくなる年になりました。初恋の人への切ない想いをバックに描く人生最後の時間。

「張込み」(1958)

「高峰秀子生誕100年展」にいってきたのでDVDを。松本清張原作、野村芳太郎監督作品。音楽は黛敏郎。 東京の質屋殺人事件の犯人を追い、そのもと情婦で今は佐賀に住む主婦を張り込む刑事。この映画の高峰秀子はほとんど笑顔を見せない儚い女性。若い刑事は最初は捜査対象にすぎなかったその女にだんだん心を寄せていく。犯人の男(田村高廣!)と話すときの無邪気な笑顔がせつない。 この映画は当時の鉄道旅行の記録映画の趣も。ブルートレイン登場まえ、冷房のないすし詰めの夜行列車。 なんといっても