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映画の感想

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映画とかドラマの感想とか。
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2021年9月の記事一覧

「浜の朝日の嘘つきどもと」(2021)

新宿武蔵野館で。この映画は映画館で観るべし。 「映画の半分は暗闇。その半分の暗闇に救われる、優しい根暗も意外にいると思うよ」映画好きは観るべし。 高畑充希、柳家喬太郎、大久保佳代子。 廃業を決めた福島は相馬の小さな映画館。館主の前に突然現れて立て直しを宣言する、茂木莉子(もぎりこ)と名乗る若い女。 高畑充希と柳家喬太郎の口の悪い掛け合いが楽しい。 大久保佳代子は名演。 これは映画館だけじゃなく、震災とコロナに傷ついた心の再生の物語でもある。 インタビューで高畑充希が「この映画

「わたしはダフネ」(2019)

ダウン症の女性ダフネは両親と3人暮らし。母親が事故で亡くなり悲嘆に暮れる父を励まそうと、ダフネは父を母の墓までの徒歩旅行に誘う。 人懐こくて優しい人気者のダフネがどんどん愛しく思えてきます。ダフネ、お喋りさんだけど意外に鋭い。

「子供はわかってあげない」(2021)

夏にピッタリのいい映画。上白石萌歌主演、斉藤由貴、豊川悦司。 「魔法左官少女コテコ」を愛する水泳部の美波。プールから見えた屋上でアニメの絵を描いていた書道部の門司くんと仲良くなり、幼い頃に別れた実の父をさがす。 オフビートでとてもキュートな青春映画の佳作だと思う。 上白石萌歌という女優さんの10代最後、大人でもない子供でもない宝石のような瞬間を記録した大切な映画、といってもいいかもしれない この映画の最大の魅力はファーストショットから画面いっぱいのアップになる、コンパス

「となり町戦争」(2007)

「戦争は、世界の日常なんですよ」 行政活動として隣町と戦争をしている町の役場の生真面目な「戦争推進室」職員の原田知世さんと、辞令で一緒に偵察業務をすることになる江口洋介。 文字通り「人をアゴでつかう」。効果音に笑った このシーンの原田知世さんの表情がかわいい。 原田知世さん、こういう役がよく似合うとおもう。生真面目で有能なんだけど、それでいてちょっと現実感のない女性。優しくて情感豊かな反面、人間臭さみたいなものをすこしだけ、どこかに置き忘れて現世にあらわれた姫君。