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マック技報_20TR05

マックエンジニアリング株式会社・技報担当
マイクロリアクター専用ウェブサイト

 今回は、Flow Chemistry(以下FC)に関連する有用なサイトの紹介です。たくさんありますが、食傷気味になることを恐れていますので、厳選した上、2回に分けて紹介します。
 その1:「論文誌、コンソーシアム等、公的機関」編
 その2:「企業」編
何事も「百聞は一見に如かず」で、筆者の説明とは比較にならないくらい驚きがあるのではないかと思います。
 では、「論文誌、コンソーシアム等、公的機関」編を始めます。

1. 論文誌サイト(3)

1-1. Organic Process Research & Development
 これは米国化学会の論文誌のひとつで「journal scope」にも「flow chemistry」の文言がはっきりと盛り込まれています。そのせいか、かなりたくさんのFC関連の論文が常に掲載されているサイトです。「ASAP Articles」や「Just Accepted Manuscripts」も含め、筆者は毎日のようにチェックしています。  

1-2. Reaction Chemistry & Engineering
 これは英国王立化学会の論文誌のひとつで「scope」には「New synthesis technologies (including electrochemistry, photochemistry, mechanochemistry, continuous processes, and reactor design)」と記載されており、こちらもたくさんのFC関連の論文が常に掲載されています。「Recent Articles(Include Accepted Manuscripts)」も含め、こちらも、毎日のようにチェックしています。

1-3. Organic Syntheses
 説明するまでもありませんが、この中にもFC関連の論文がいくつか掲載されていることだけお知らせします。
 例:Photochemical Benzannulation of N-Phosphoryl Ynamides and α-Diazo Ketones in Continuous Flow

2. コンソーシアム等サイト(5)

2-1. フロー精密合成コンソーシアム(FlowST)
 法人会員数は102社。

「設立の目的と事業概要」より抜粋
本コンソーシアムは東京大学や産総研等公的研究機関で開発されたフロー精密合成にかかわる技術を、いち早く実生産に結びつけるため、産学官の連携の場を提供、共同研究を推進し、日本の「ものづくり」の新たな力へと発展させることを目的としています。

2-2. 近畿化学協会 合成部会 フロー・マイクロ合成研究会(GRAMS)
 法人会員数は75社。

「研究会の趣旨」より抜粋
フロー・マイクロ合成研究会では、フラスコやバッチ型反応器にかわる新しい反応器としてフロー・マイクロリアクターを用いた合成・製造に着目し、この分野の最新の情報を収集するとともに、産学の意見交換や共同研究の可能性を探る場として活動を行っています。 

2-3. 岡山マイクロリアクターネット
 法人会員数は記載無し。なお、幹事メンバーには、当社会長・小谷功も名を連ねています。

「本会について」より抜粋
マイクロ化学反応プロセス及びマイクロリアクターの設計・製造技術に関連する研究者や企業、研究機関、団体等のニーズに応える窓口として必要な連携を構築するとともに、マイクロリアクターを活用した高効率な物質生産プロセスの研究開発や技術の普及活動を推進することにより、マイクロリアクターの実用化・事業化・市場化を促進し、併せて岡山県をその保有する精密生産技術のポテンシャルをもって、マイクロリアクターの設計・製造拠点とすることを図っています。

2-4. 化学工学会
 化学工学会では、反応工学部会・マイクロ化学プロセス分科会、関西支部などが、FC関連の講演会を定期的に開催しています。講演会例:マイクロプロセス最前線シリーズ(関西支部主催)

2-5. 京都大学マイクロ化学生産研究コンソーシアム(MCPSC-KU)

「トップページ」より抜粋
マイクロリアクターを利用した次世代化学プラント・製造法の実用化・事業化・市場化を促進するため,マイクロリアクターを軸にした研究開発及び技術の普及活動を産学連携で推進しています。

3. 公的研究機関サイト(3)

3-1. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)
3-1-1. PMDAとは

「PMDAとは」より抜粋
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA;Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)は、平成13年に閣議決定された特殊法人等整理合理化計画を受けて、国立医薬品食品衛生研究所医薬品医療機器審査センター、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構及び財団法人医療機器センターの一部の業務を統合し、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づいて平成16年4月1日に設立され、業務を開始しました。
 PMDAは、医薬品の副作用や生物由来製品を介した感染等による健康被害に対して、迅速な救済を図り(健康被害救済)、医薬品や医療機器などの品質、有効性および安全性について、治験前から承認までを一貫した体制で指導・審査し(承認審査)、市販後における安全性に関する情報の収集、分析、提供を行う(安全対策)ことを通じて、国民保健の向上に貢献することを目的としています。

3-1-2. 革新的製造技術WG
 日本において、医薬品の連続生産を主導してるWGです。FCをラボだけの取り組みに終わらせず、実際に医薬品の生産へ展開する強い味方です。

「活動内容」より抜粋
QbD(Quality by Design*)に基づく医薬品の開発・製造・管理が浸透しつつある今、新たな製造技術の導入も活発化しております。革新的な医薬品製造技術に対する審査・GMP調査に関する検討を行い、適切な品質を確保しつつ、革新的製造技術の導入を促進していきます。
直近の活動としては、主に連続生産について検討を行う予定です。
(中略:とても参考になる発表実績PDF多数有り
*Quality by Designとは、事前の目標設定に始まり、製品及び工程の理解並びに工程管理に重点をおいた、立証された科学及び品質リスクマネジメントに基づく体系的な開発手法。(ICH-Q8(R2)製剤開発に関するガイドラインに示された定義)

3-1-3. 医薬品規制調和国際会議(ICH)

「ICHとは」より抜粋
 ICHとは、International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use(医薬品規制調和国際会議)の略称です。
 ICHは、医薬品規制当局と製薬業界の代表者が協働して、医薬品規制に関するガイドラインを科学的・技術的な観点から作成する国際会議で、他に類がない場となっています。ICHは、1990年の創設以来、グローバル化する医薬品開発・規制・流通等に対応するべく、着実に進化を遂げてきました。ICHの使命は、限られた資源を有効に活用しつつ安全性・有効性及び品質の高い医薬品が確実に開発され上市されるよう、より広範な規制調和を世界的に目指すことです。

3-2. 国立研究開発法人産業技術総合研究所
3-2-1. 産総研とは

「産総研について」より抜粋
国立研究開発法人産業技術総合研究所は、我が国最大級の公的研究機関として日本の産業や社会に役立つ技術の創出とその実用化や、革新的な技術シーズを事業化に繋げるための「橋渡し」機能に注力しています。
そのための体制として産総研のコア技術を束ね、その総合力を発揮する「5領域2総合センター」があり、全国11か所の研究拠点で約2,300名の研究者がイノベーションを巡る環境の変化やそれらを踏まえて策定された国家戦略等に基づき、ナショナルイノベーションシステムの中核的、先駆的な立場で研究開発を行っています。

3-2-2. 材料・化学領域 触媒化学融合研究センター

「触媒化学融合研究センター・詳細情報」より抜粋
触媒化学融合研究センターは、「砂、植物、空気から化学品をつくる実用触媒を開発する」をキャッチフレーズに、化学品製造技術の要である革新的触媒を開発し、基礎化学品並びに機能性化学品の製造プロセスを革新することで、持続可能な開発目標(SDGs)の達成とわが国の化学産業の国際競争力の維持・強化に貢献します。

3-2-3. 材料・化学領域 化学プロセス研究部門

「化学プロセス研究部門・詳細情報」より抜粋
化学プロセス研究部門は、産業界が必要とする高効率・省エネな新しい化学プロセスを提案するために、原料多様化や生産効率の向上に向けた反応プロセス技術の開発、分離プロセスの省エネルギー化や難分離物質の分離に向けた分離プロセス技術の開発、材料の開発効率・生産効率の向上に向けた材料プロセス技術の開発、様々な要素技術やLCAを考慮したシステム設計・評価技術の開発を行います。
《one-point》
モジュール型製造装置を連結したコンビニサイズの連続生産設備「iFactory」の開発事業を加速 ~医薬品原体の生産量を柔軟に変更できるオンデマンド生産の実現に貢献~

3-3. Fraunhofer IMM
3-3-1. Fraunhofer IMMとは
 Fraunhofer IMM=Fraunhofer Institute for Microengineering and Microsystems
 フラウンホーファー研究機構を構成する研究所のひとつである「マイクロエンジニアリング・マイクロシステム研究所」。1990年代からFCの一大中心地であり続けています。なお、日本のFCは「IMM所長(当時)W.Ehrfeld氏の講演(※)に対する衝撃から始まった」と言っても過言ではありません。筆者もその講演会に参加しており、Ehrfeld氏の講演内容に度肝を抜かれた一人ですので。
(※)1998年開催の近畿化学協会合成部会ロボット合成研究会(現在のフロー・マイクロ合成研究会)主催の公開講演会における講演「Microreaction Technology - A Novel Approach to Chemistry」

3-3-2. フラウンホーファー日本代表部

「フラウンホーファー日本代表部・トップページ」より抜粋
フラウンホーファー研究機構はヨーロッパ最大の応用研究機関であり、ドイツ国内に点在する74の研究所および研究ユニットでは「社会に役立つ実用化のための研究」をテーマに、あらゆる科学技術分野において応用研究を行っています。 フラウンホーファー日本代表部はフラウンホーファー研究機構の日本における窓口として、日系企業の皆様のニーズに応えるべく多彩なサービスを提供しています。

次回は「企業」編です。今回はこれまで。

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