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マック技報_20TR01

マックエンジニアリング株式会社・技報担当 2020/4/1

http://www.makeng.co.jp/ http://www.mr.makeng.co.jp/

【目次】

1.はじめに

2.連続フロー合成について

3.マイクロスケール有機合成について

《1.はじめに》

 今回から、マック技報を配信開始します。主なテーマは「連続フロー合成」、想定する対象読者は、「有機合成は一通り学習し実験してはいるものの、(ラボスケール)連続フロー合成は初めて行うという研究者(いわゆる実験屋)」を対象としています。 

 この文を書いている現在、パンデミックの最中ですが、その対策のひとつとして、製薬業界等で進展している連続生産の潮流を、ひしひしと肌で感じている方々も多いと思います。その一方、思い立っても先立つもの(情報)が不足してお困りの方々も少なくないと感じています。

 そこで、この技報を通じて不足する情報を多少なりとも提供することにより、少しでも、読者の皆様のお役に立てば幸いと考えています。

《2.連続フロー合成について》

 厳密な定義については色々あるようですが、バッチ合成の対義語として理解するのが一番分かり易いと思います。ここ何年かの間に進んだことは、バッチ合成におけるフラスコに相当する部分(反応器)だけでなく、後処理、抽出、濃縮(単蒸留)、再結晶、濾過、リアルタイム分析(NMR、HPLC、近赤外、ラマン、等)に関する装置が次々と連続フロー化されつつあることでしょう(ラボスケール連続生産か?!)。反応器についても、高温、高圧、電磁波(UV、マイクロ波)照射にも対応するものが出てきました。また、マイクロリアクター(PFR)の最大課題であった閉塞(clogging)の多くは、マイクロスケールCSTRで解決できるようになり、今や「2方式(PFRとCSTR)を使い分ける時代」となっています。

 詳しくは、以下に例示したキーワードで軽く文献検索(Google Scholar)してみて下さい。多くの文献が見つかることでしょう。

continuous flow、flow chemistry、microreactor、microfluidics、microchannel、PFR(Piston or Plug Flow Reactor)、CSTR(Continuous Stirred Tank Reactor)

 ちなみに、この分野の論文が多く掲載されている代表的なジャーナルは、次のとおり。

・アメリカ化学会 Organic Process Research & Development (OPRD)

・王立化学会(イギリス) Reaction Chemistry & Engineering

※国内では、Journal of Chemical Engineering of Japanや化学工学論文集(いずれも化学工学会)に、時折、掲載されています。

 なお、最新のMarch's Advanced Organic Chemistry(第8版)のp.336には、新たにフロー化学の章(7.D. FLOW CHEMISTRY)が加えられました。他の章と同様、多くの参考文献が掲げられていますので、ぜひ参照してみて下さい。

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《3.マイクロスケール有機合成について》

 少しだけ、マイクロスケール有機合成について、記載します。

 (ラボスケール)連続フロー合成に取り組む理由は様々ですが、危険な反応条件を避け、安心・安全を確保しつつ、手間隙かけずに(ラボにおける)大量合成(せいぜい100g程度で、現実的には10g程度)したいという意図が必ずあるのではないでしょうか?もちろん、企業であればその先(実生産)に繋がらなくてはなりませんが、それにしてもこのスケールの実験は避けては通れないのでは。

 連続フロー合成に取り組む第一歩は、やはり、「バッチ合成を繰り返し、反応条件はもちろん、精製方法などの後処理を(程度の問題はありますが)確立すること」です。その次に、その確立された手順を基に連続フロー化していきます。もちろん、全く同じ手順や試薬が使えるわけではありません。一捻りも二捻りも必要になるはずですが、大きくズレることなく連続フロー化できると信じて下さい。

 ところで、ラボにて「危険な反応条件を避け、安心・安全を確保しつつ、手間隙かけずに」合成を行うのであれば、バッチ合成もまた「危険な反応条件を避け、安心・安全を確保しつつ、手間隙かけずに」行わなければなりません。

 そこで、そのバッチ合成については、0.01〜0.1gスケールのマイクロスケール有機合成を実施することをお薦めします。既に、Org. Synth.等の文献で知られていても、あるいは、自社工場内で(バッチ合成が)実施されていても、ぜひ、一度ならず二度、三度、マイクロスケールにて実施してデータ取りを行って下さい。必ず役立ちます!

マイクロスケール有機合成実施例(動画): https://youtu.be/LTpxuPgrOFg

 なお、マイクロスケール有機合成の操作手順は、日本でこそ馴染みが薄いですが、国外では広く普及しています。聞くところによれば、アメリカ・スクリプス研究所でも使われているとか。日本化学会のウェブサイトにも「マイクロスケール化学実験」のコーナーがありますし、書籍も数多く出版されています。

・日本化学会・マイクロスケール化学実験 http://microscale-exp.csj.jp/

・主なマイクロスケール有機合成関連書籍

 1)Microscale Organic Laboratory with Multistep and Multiscale Syntheses, 6th ISBN-10: 1118083407 ISBN-13: 978-1118083406

 2)A Microscale Approach to Organic Laboratory Techniques, 6th ISBN-10: 1305968344 ISBN-13: 978-1305968349

 3)Macroscale and Microscale Organic Experiments, 7th ISBN-10: 1305577191 ISBN-13: 978-1305577190

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 今回はこれまで。

 次回以降、「実験道具のあれこれ」、「連続フロー合成のオリジナル実施例(モデル反応)」、「有用なサイト」等について、順次、発信する予定です。


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ラボ用フローリアクター(PFR&CSTR)普及のために情報発信します。具体的には、基礎的な情報、連続フロー合成のオリジナル実施例(モデル実験)、注目の論文、製薬業界等における連続生産の最新の動き、等々、様々な関連情報をnoteから発信します。

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