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種苗法改正案のどこがいけないのか

こんばんは。
文春砲炸裂のおかげで、現在は種苗法改正よりも検察庁改正の方が大きな論争を巻き起こしておりますが、こちらも重要な問題ですので、今日はこの点について考えてみたいと思います。

種苗法改正については、元農林大臣の山田正彦さんが、ずっと反対の主張を続けてました。

ただ、山田さんはどうもTPP絶対反対のイメージが強く、そのTPPはトランプ大統領が就任直後に離脱を宣言したのでそもそも米国主導ではなくなり、その後はうまく(?)日本主導で締結しているので、山田さんは正直外しています。

個人的にも、何度かお会いしているのに名前覚えてもらえないし...。(笑)
まぁ、私のような一般市民の顔と名前覚える暇もないのでしょうけど。

前衆議院議員の福島伸享(のぶあき)さんのFacebookでの解説投稿が、より判り易いです。

少々長いですが、全文を掲載します。

私が一番問題であると考えるのは、種苗法第21条第2項に規定している農家が自ら作付けした種苗から得られた種をもう一度作付けする「自家増殖」を原則禁止にしたことだ。
 これは、経済的な問題以上に、価値観の問題である。私がかつて経済産業省生物化学産業課でバイオ産業政策に携わっていた時に、国際班長としてさまざまな国際会議に出た経験がある。その時、いつも大問題となるのが、生物や遺伝子などに知的財産権を認めて経済の対象とするのことの是非、という極めて本質的な問題であった。
 日本の得意な発酵産業など工業分野については、「菌やその遺伝子に関する知的財産権を強化せよ」ということを主張していたが、農業分野についてはその土地土地で農民が長い年月をかけて風土に合う農作物を改良しながら作ってきた歴史から、工業分野と同一には扱われてこなかった。
 したがって特許とは異なり、種苗については植物の新品種の保護に関する国際条約(UPOV条約)で、農家の自家増殖については品種保護の例外とできることとされており、日本もそうした対応をとってきた。
 
 さらに、日本は安倍政権下の2013年に、種子の保全や改良などの扱いが農民の権利であることを明示した食料・農業植物遺伝資源条約を批准しており、「農民の権利」を極小化してバイオメジャーの利益を保護しようとする米国などは、一線を画してきた。
 今回の法改正は、そうした日本のこれまでの路線を転換するものである。果たして、与党内でそこまでの本質的な問題であると認識して法案の審査がなされたのか。
 検察庁法に続いて、内閣提出の火事場泥棒法案の審議が取り下げられるのは、前代未聞のことだ。それは、与党の法案審査能力の低下もしくは形骸化が表れていることを意味する。そして、そのことはこの国の立法機能そのものが形骸化しているという民主制度の根本的な危機にあることを、認識しなければならない。

私なりに端的に申しますと、日本は1991年にUPOV条約を批准しているのですから、それと農家の育成者権保護を否定する今回の種苗法改正案とは、そもそも平仄が合いません。

海外から見れば、日本は商取引上、自分達に不利な国内法を制定しようとしているのだから文句はないでしょうが、「変な国だなぁ」と思われてしまうことは間違いありません。

マスコミは報じませんが、せっかくTPPをわが国主導で友好国と締結したという実績があるのですから、それと平仄を合わせた政策を策定していくことを期待したいものです。

(5/27追記)
重要なポイントを加えるのを忘れました。

問題は、「シャインマスカット」や「あまおう」等の日本発の人気品種が海外に不法に持ち出されており、具体的には韓国で大々的に栽培されているようです。

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/200527/dom2005270002-n1.html

それを防ぐための国内法の整備は、それはそれとしてしっかりやるべきなのですが、それは、農家の育成者権保護を否定することをわざわざしなくても、達成可能です。まぁ、彼の国とまともに交渉するのは難しいのでしょうが。

ではまた明日。

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