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ポリオがいまだに撲滅できない世界

こんばんは。今日もお疲れ様です。

緊急事態宣言が再発令されましたが、相変わらずワクチンの接種が日本ではいつになるのか、日本政府は国民を救うことに関心がないかのように、いまだに発表されませんし、メディアも野党国会議員も問い詰める気もないようです。

ワクチンについて、思い出したことがあるのでシェアさせて頂きます。

1. ポリオ撲滅の歴史とビル・ゲイツ財団の活動

そんな中、菅総理がビル・ゲイツと電話会談したそうです。

ゲイツ氏は、ことし夏の東京オリンピック・パラリンピックの開催に期待を示すとともに、新型コロナウイルス対策で各国が複数のワクチンを共同購入する国際的な枠組みへの日本政府の資金の拠出などに謝意を示しました。

ビル・ゲイツは、単に外交辞令のコメントを発しただけで、いやむしろ、
全世界のオリンピック関係者が安心して参加するためには、少なくとも会場となる関東甲信越と北海道の全域で、COVID-19用の接種が完了し、集団免疫が確立していると証明されてないとダメでしょう。

この電話会議で、ビル・ゲイツからは、途上国へのワクチン提供を依頼したそうですが、新型コロナウィルスワクチンの提供ではなく、ポリオ(小児麻痺)のワクチンの提供依頼だったのかも知れません。

ビル・ゲイツは、その個人資産で設立したビル・ゲイツ財団を通じて、
永年、ポリオの撲滅を精力的に活動してきた実績があります。
医師資格は、確か持ってなかった筈ですが、感染症対策については現場感覚を持っている人です。

ポリオは、我々の周囲で罹患する子供を全く見かけませんが、治療法がある訳ではありませんから、予防接種であるポリオワクチンを、世界中の子供に徹底して接種し続けなければなりません。

https://www.endpolio.org/ja/poriotoha

上記のサイトは国際ロータリークラブの日本会員の方が立ち上げたようですが、ここにもあるように、ビル・ゲイツ財団が地道な根絶活動を続けた成果が、実りつつあります。

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が、この最後の詰めの一手が、まだ効いておりません。

2015年9月に2型野生株ポリオウイルス根絶が宣言され, 3型野生株も2019年10月に根絶宣言がなされた。しかし, パキスタンおよびアフガニスタンでは, 広範な地域で1型野生株ポリオウイルス伝播が継続しており, 2019年のパキスタンの野生株ポリオ症例数は111例と, 前年同時期の8例と比較して急増している

2. 日本の活動で、私が携わった部分

2010年11月、東京大学医学部で国際保健学を専攻されていた渋谷健司教授が、ビル・ゲイツ財団幹部を伴って、国会議員事務所を訪問し、ポリオ撲滅に対する政府予算拠出の陳情に来られました。

この活動を支援する方向で、勤務先の事務所一丸となって、政府の予算策定に対し、全力で取り組むことになりました。
私は、ビル・ゲイツ財団の活動内容も当時初めて見聞きしましたが、その
活動に呼応して協力しようと、わざわざ永田町までやってきた渋谷教授と
面談させて頂いて、「東大にも、人情味溢れる人物が居るのだな」と
感激した記憶があります。

その3か月後、東日本大震災の直前だったと思いますが、遂にビル・ゲイツ夫妻が来日して、国会でもポリオ撲滅のための協力要請を行う集会が、議員会館のホールで実施されました。
その年の予算に、間違いなく組み入れてくださいね、というダメ押しのための来日でした。

その結果が、Wikipediaに記載されています。

2011年8月に日本政府との官民パートナーシップのもと、約50億円のパキスタンにおけるポリオ根絶支援を発表した。これは、パキスタン政府によってポリオ根絶事業が一定の成果を出すことができれば、ゲイツ財団がパキスタン政府に代わって日本政府に債務を返済するという「ローン・コンバージョン」と呼ばれる革新的手法を用いたポリオ根絶のための取組で、誰もが願う『ポリオがない世界』を達成するための一助となる。

具体的には、2011年の予算で、50億円の一部を日本政府が予算化し、総額
最大50億円、日本政府からパキスタン政府に支払うことになりますが、それは借金という形で、かつ返済をビル・ゲイツ財団が肩代わりする、という
スキームでした。

あいにく私はその2年後に永田町を離れてしまいましたので、結果のフォローが出来ておりませんが、根絶出来てない、ということは、借金の一部は
ビル・ゲイツ財団ではなく、パキスタン政府が支払う義務がある、ということになります。

3. 渋谷健司教授のその後

実は、渋谷教授は、東大医学部教授になる前はWHOに勤務されていたので、道理でビル・ゲイツ財団とも接点があるのだな、とつい最近(半年ほど前)
合点がいきました。

東大教授を務めた後、再びWHOに戻って事務局長の上級顧問に就任し、現在では英国ロンドン大学のキングス・カレッジで教鞭を取っておられるそうです。

新型コロナウィルスについて、インタビュー記事が掲載されてました。

渋谷教授のご指摘ごもっともと思いますので、長文になりますが引用
します。一読をお勧めします。

WHO(世界保健機関)元職員で、公衆衛生学が専門の英キングス・カレッジ・ロンドンの渋谷健司教授(54)が9日、取材に応じ、今回の緊急事態宣言の効果は「限定的だ」と危機感を募らせた。また、国内外の現状では、今夏に延期された東京五輪・パラリンピックの開催は「非常に難しい」との見方を示した。
-緊急事態宣言再発令をどう評価している
「政府のメッセージは中途半端です。店舗の時短営業やイベント中止など、効果が限定的です。やれることは全部やると言ったのに、11カ国・地域からのビジネス関係者などの入国を継続するなど、整合性も取れていない。自粛しろと言っている人たちが会食して、国民も我慢しなくていいなと思ってしまう。国民に自粛疲れやコロナ慣れもあります。危機意識の共有を国民とできていないのが非常に心配です」
-感染急拡大の中での宣言再発令は遅かった
「後出しして申し訳ないのですが、12月中に出すべきで、年末年始休みを利用して外出禁止くらいのレベルでやらないと、遅かったという印象があります」
-今後の感染状況はどうなるとみている
「今回のような中途半端な内容だと、急激に感染者が増えることは収まるかもしれませんが、減らない状況が続くと思います。1カ月では感染者数は下がりきらないと思います」
-世界から日本のコロナ対策はどう見られている
「最初の緊急事態宣言では国民の努力もありタイミングも良く、うまく抑え込んだのですが、基本をやっていない。感染対策は3つ。1つはワクチンで免疫をつけること。しかし、承認も接種開始も日本は他国と比べて遅れています。2つ目は感染経路の遮断。マスク着用、手洗い、3密を避けるなど、政府は国民の努力をお願いするだけです。3つ目は感染源の特定と隔離。コロナの1番の問題は無症状の感染者が多いこと。検査の網の目を広げ、無症状の人も含め検査しないと止まりません。そこを日本はやっていない」
-他国と比べ、なぜ日本で感染急拡大している
「同じアジアで、台湾やベトナム、ニュージーランドなど、抑え込んでいる国はたくさんあります。第3波が日本とほぼ同時期に来た韓国は検査と隔離を徹底して、感染者数は下がっている。日本は早期に徹底的に抑え込もうという姿勢がないし、検査と隔離が抑えられてきたので、今、大変な状況になっていると考えられます」
-経済とコロナの両立は難しい
「経済のために感染対策をしないとダメです。感染拡大早期に徹底的にコロナを抑え込むのが大事な経済対策です。ウィズ・コロナではなく、ゼロ・コロナにシフトすることが求められていると思います」
-状況的にみて、東京五輪は開催できる
「緊急事態宣言発令自体がコロナを抑え込んでいないということ。そして世界はパンデミックの真っ最中です。このままでは両面からしても非常に厳しい」
-どのような環境になれば、五輪が開催できる環境と言える
「(西村康稔経済再生担当相が宣言解除目安とした)500人は多い。出口戦略が非常に大事です。宣言を解除しても、新規感染者が非常に少ない状態にしておかないといけない。ワクチンを打ち始めているなど、コロナを制圧しているメッセージがなければ、誰も安心して日本に来ません。海外からの感染者をどう防ぐか、市中感染をどう収めるか。観客制限より、まずそういった議論が前提です」

4. 結論

上記の新型コロナウィルス対策に対する渋谷教授のコメント通り、感染症
対策は簡単ではありませんが、徹底して進めないとダメなものはダメです。

箱根駅伝も強行されてしまいましたし、新型コロナウィルスに対する姿勢が、既にあちこちで麻痺してしまったようです。
小児麻痺もそうですが、抜本的な対策を、勇気を持って実行しなければ、
経済も回復しないし、徒に犠牲者を増やしていくことは避けなければなり
ません。

感染症対策には、つくづく政治的なリーダーシップも必要なのだと、改めて痛感しました。


では、また。

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